『もりのてがみ』すみれがさく季節

今日はすっかり春のあたたかさで、フリージアがふわあっとうっとりするようないい香りです。そろそろ本当に春が近づいてきましたが、『もりのてがみ』は寒い冬から春に移り変わる季節にぴったりの絵本です。主人公の女の子、ひろこさんは森(林?)の中のおうちに住んでいます。と言ってもどこか遠い外国の森ではなく日本のどこかの森です。たぶん長野とかそんな感じ。寒い冬、外で遊べない日にひろこさんは自分の部屋で森のおともだち(りすさん、とかげさん、うさぎさん、ことりさん、もみのきさん)に手紙をかきます。暖かそうなひろこさんの部屋には昔学校にあったようなやかんが上にのった円柱型の石油ストーブがあります。手紙を書く勉強机の上には蛍光灯の電気スタンドとスヌーピーの置物、昔懐かしいデザインの文房具(シャチハタのスタンプ台とか青い筒に黄色いキャップののりとか)などがおいてあります。そしてそれぞれに宛てた手紙は見開きのページいっぱいに机の上の様子とともに描かれているのですがこれが最高にかわいい!手紙はカラーペンや色鉛筆で描いたイラストつき。そして手作りの封筒にはそれぞれにぴったりの絵柄の手作りの切手が貼られています。一通一通時間をかけて丁寧に書いていることがよくわかります。 そしてなにより手紙の中身!なんともいえず文章に味があってかわいらしくてにっこりしてしまいます。手紙の最後は「もりにすみれがさいたらこのもみのきの...

お雛祭り 2018

今日はのんびりしたい、という夫と娘達を残して一人買い物へ出かけました。帰りに寄ったデパ地下には長蛇の列。見るとお雛祭りケーキが並んでいました。娘がわ〜っ♡と喜ぶ顔が頭に浮かんだのでわたしも並んで、オシャレケーキもあったけど、いちばん6歳女子が好きそうな、ベタなのを選んで帰宅しました。ケーキを見せたら、ほんとにわ〜♡♡って言ってくれたから今日はめちゃくちゃいい日です。あたちよくわかんない、って顔してる9か月次女にとっては初節句。姉妹になって初めてのひな祭りです。春からは小学校と保育園。 あと仕事復帰。育児休暇中は、本読んだり料理したり写真の整理したり、やりたいことたくさんあったはずだけどほとんどできなかったな。ただひたすら赤ちゃんにくっついて愛でていたら、休みが終わってしまいそうです。一日中一緒にいたから離れるのさみしいな。新生活はドキドキ不安。でもふと春の気配を感じるとドキドキ楽しみなような気もしてきます。二人ともすくすく大きくなあれ。

『きょうは、おおかみ』寄り添うこと

『きょうは、おおかみ』はある姉妹のおはなしです。(ネタバレしてます)ある日目がさめると妹バージニアはむしゃくしゃしていました。何をみても気に障り、おおかみみたいに吠えまくります。姉のバネッサの着ている服の色にも、歯磨きするシャカシャカいう音にもイライラ。しまいには小鳥にすらピーピー泣くんじゃない!と怒るしまつ。姉のバネッサはそんな妹をみて、(ほんとにえらそうなおおかみね)とあきれつつも、なんとか元気になってほしくてお菓子をあげたり、バイオリンを弾いてみたりあれこれ試しますがまったく機嫌はなおりません。バージニアは毛布をかぶってじっと横たわってしまいます。バネッサは隣にそっと横たわり、一緒に毛布をかぶってハリネズミのようにトゲトゲしている妹に根気よく尋ねます。「なにか きっと あるはずよ、あかるい きもちに なれること」バージニアはむしゃくしゃしつつも、話しているうちに「かんぺきなばしょ」「ぜったいかなしいきもちにならないところ」に飛んでいきたい、という自分の気持ちを言葉にします。

『パパがサーカスと行っちゃった』 えっ⁇

インフルエンザだった娘が一週間ぶりに登園して久々に静かな朝です。インフルエンザと言ってもすぐに解熱してめちゃくちゃ元気だったのでエネルギーを吸い取られました…。さて『パパがサーカスと行っちゃった』。タイトルのまんま、パパがサーカスと行っちゃうお話しです。ある朝、こども達は超絶ハイテンションなパパにたたき起こされます。町にサーカスがやってきたから見に行くぞ!というのです。大興奮のパパとは裏腹に、こどもたちはまたか、と言った感じできわめてクールです。きっとこのパパは普段から夢中になると猛突進するタイプに違いありません。行かないと言っても無駄と知っている家族(妻と息子と娘)は一緒にサーカスに向かいますが観客席はガラガラだし出し物もパパがいうほど面白いとは思えません。サーカス終了後、こども達を車に待たせ、ママとパパは口論をはじめます。そしてついに車にはママだけが戻ってきました。ママは一言「パパがサーカスと行っちゃた!」‼︎サーカスと行っちゃっても、パパは世界中から手紙をくれます。手紙には会えなくてさみしいと必ず書いてあるのでした。さて時がたち、パパはついに立派な立派なサーカスの人になって帰ってきました!口から炎を出しトラをあやつりナイフ投げだって完璧です。家族は感激、大絶賛。そしてパパはもうけっして家を離れないと約束し、家族はまたみんなで仲良く暮らすようになりました。うちの子はこういうぶっ...

『かさの女王さま』幸せなこども時代

絵だけを見たら中国のお話しかと思いましたが舞台はタイの山あいの村だそうです。この村では何百年ものあいだ傘作りがおこなわれてきました。主人公の女の子ヌットの家でもかさを作っています。木と竹で骨を作るのはお父さん。かさに張る紙をすくのはおばあちゃん。そして絵をつけるのはお母さんの仕事です。ヌットは自分が絵つけしたかさをほこらしげにかかげる女の人たちにずっと憧れています。そんなある日ついにヌットも絵つけをさせてもらえることになりました。ヌットは上手に絵つけをしました。それを見たお母さん、お父さん、おばあちゃんは感心し、口々に褒めてくれました。お父さんはぎゅっとだきしめてくれました。つぎの日ヌットは絵つけをしていない5本の白いかさをまかせてもらいます。お手本どおりに花と蝶を描くつもりでしたが、まず蝶をかいたヌットはつい蝶を追いかけるゾウをかいてしまいます。その後も夢中になって生き生きと動くゾウをかくヌット。ヌットは象が大好きなのです。それに気づいたお母さんとお父さんは心配そうに困った顔をうかべます。 作ったかさをおろす村のお店では花と蝶のかさしか売らないのです。ここでの一文が印象に残ります。「絵つけはあそびではなくしごとでした」ヌットもそれがよくわかっているのでそれからは花と蝶をせっせとかいて働きます。でも夕方になると余った竹と紙で小さなかさを作りゾウの絵をかいてはまどべに並べる...

『ほら あめだ!』かわいい自然科学絵本

『ほら あめだ!』雨や雲ってどうやってできるの?寒い日に息が白くなるのはなんで?コップに氷を入れると水滴がつくのはなんで?そんな素朴な疑問にやさしく答えてくれる本です。この本のいいところは、表紙も中身もパッと明るい色使いで、文字も多すぎず、科学絵本にありがちなカタイ感じがないところです。科学系の絵本は挿絵が可愛くても、文字による説明が多すぎたり、逆に簡略化しすぎてわかりにくかったりする事が多い気がしますが、この本はその点とってもバランスが良いです。とはいえ年長さんには全部は理解できなかったようなので、ぜひ覚えておいて、小学生になったらもう一度読んでみたいと思います。

『王様と九人のきょうだい』 バカウケ

昔話の絵本ってなぜか絵が地味なことが多くて、うちのこどもに絵本を選ばせるとあんまり自分からは手にとりません。でも読み聞かせた時に目を輝かせて夢中になるのは昔話が多かったりします。長い長い年月をかけてブラッシュアップされたお話しの完成度ってすごいなあ、と思います。今日読んだ『王様と九人のきょうだい』は中国の少数民族の昔話です。〜大昔のこと。あるおばあさんが、これまで子宝に恵まれなかったことを悲しんで泣いていると、謎の老人があらわれます。老人は飲めば子どもが生まれるという薬を9粒くれます。9つの薬をいっぺんに飲んだおばあさんはいっぺんに九人の赤ちゃんを生みます。生んではみたものの、今度は9人も育てられない!と困って泣いているとまた老人があらわれ、こどもは勝手に成長するから大丈夫と言ます。そして子どもたちそれぞれに名前をつけてくれます。その名というのは「ちからもち」「くいしんぼう」「はらいっぱい」「ぶってくれ」「ながすね」「さむがりや」「あつがりや」「切ってくれ」「みずくぐり」というなんともヘンなものでした。さてさて成人したきょうだいはひょんな事から王様に命を狙われるようになります。しかしきょうだいたちは、それぞれの名前通りの特質を使って王様をやりこめてしまいます。「切ってくれ」は王様に切りつけられても「ああ、いいきもち、もっとちからをいれて切ってくれ! 」とへっちゃら、「さむがりや」は...