橋が築く都市景観

ターナーとロンドンのウェストミンスター橋

 

発表者:大石和欣氏

コメンテーター:アルヴィ宮本なほ子氏

 

東京大学ヒューマニティーズセンター

2024年3月21日 17:00-19:00 ZOOM

 

 

昨日はオンラインでオープンセミナーに参加しました。

ロンドンと聞いて大多数の人が浮かべる観光イメージが

ウェストミンスター橋と国会議事堂です。

そのイメージはターナーを中心とした

18世紀末から19世紀初頭の

絵画・版画によって形成されていったことを

沢山の絵画と詩に見るという内容でした。

 

まず問題提起が非常に面白かったです。

ロンドンの都市としての歴史を見る場合、

ウェストミンスターは後から作られていった

新しいエリアにも関わらず

今ではロンドンを代表する場所となっています。

その要因としてロンドン大火やペストによって

裕福層がより郊外に移動したことから

ロンドンが拡大した歴史が背景にあります。

いわゆるシティ(The City of London)への

対抗として

The City of Westminsterが形成され、

ウェストミンスター橋は

シティのロンドン橋に対しての競争の証でした。

その証拠としてダニエル・デフォーが

ロンドンの拡大に言及していました。

 

ターナーのウェストミンスター橋の絵は

版画のためそのイメージが広く流通し、

後のホイッスラーなどの絵画だけではなく

その影響がワーズワースの詩など

文学にも見られるということでした。

ターナーだけではなくトマス・ガーティンなど

多くの画家がウェストミンスター橋の絵を描き、

それらがウェストミンスター橋を

ロンドンの景観の象徴にしていきました。

テムズスクールと呼ばれる

これらの画家のことは知らなかったので

勉強になりました。