教育セミナーは専門外の先生が、勉強にくるセミナーです。今回、付加価値眼内レンズアップデートに参加しました。トーリック眼内レンズ、多焦点眼内レンズ、表面改質による後発白内障抑制効果、有水晶体眼内レンズの4つの分野に分けての講演でした。
今回聞いていて、違和感をもった2つの演題があります。
それは、多焦点IOLの話と、フェイキックIOLについてです。確かに、多焦点で、水晶体が強ければ、単焦点でも多焦点でも満足しますが、多焦点は先進医療ではありますが、自費診療です。当然、患者の要求は高いです。ほとんどの不満足の原因は度数誤差で、これは、必ず治す必要があります。それに対して1例も不満症例がなく、当院はタッチアップの器械がありませんので、やれません。という答えは、教育セミナーとしてはおかしい。もし、本当に1例もないなら、ものすごく、症例を厳格にしているか、症例数が少ないだけです。症例数が全て出ていませんでしたから、また、近方視力0.8程度でチャンピオンデータといっているのですから、本当に患者さんが満足しているかどうか、わからないものです。若い先生ですから、屈折矯正の怖さがわかっていないとしか思えません。自分の施設にその器機がないのであれば、例え大学病院であったとしても、LASIK施設に紹介して満足させるべきです。
もう一人の有水晶体眼内レンズの講演には、怒りを覚えました。ほとんどの人は専門ではないですから、ここで聞いたことが真実だと思ってしまいます。主任教授が3月で退官したので、少しは変化があるかと思いましたが、考えてみれば、主任教授のもとでつくったものですから当然なのかもしれませんが、高度近視で有れば、ICL等の優位性は私も認めますが、多焦点のタッチアップや-3D程度の近視もLASIKよりICLが良いという論理はあまりにも矛盾しています。ICLは眼内に異物を入れます。虹彩の下に入れますので45歳以上の人には入れてはいけないことになっています。ICLの真ん中に穴があいて白内障が起こりにくくなると言っていますが、穴を開けなければいけない時点で欠陥商品です。また、LASIKのデータは昔のデータ、それと最新のICLのデータを比較するのは意味がありません。LASIKを悪いという施設での比較は信用できません。演者も個人として会って直接話をすると、LASIKは悪いとは思っていないというのですが、演題でと言うと、以前の主任教授の意向に従うしかないのでしょう。質問に対する答えもはぐらかしで、納得できないものでした。これが、教育講演の恐ろしいことです。LASIKを貶めるために行動としか思えません。屈折調節の専門家として、今後も反論してゆきます。