僕の想いが日本全国の中学校に!! | ~まっすぐ歩く~ 水沢洋のブログ

僕の想いが日本全国の中学校に!!

日本に10000校以上ある中学校の校長先生が読む、機関紙「中学校」



{E84D094C-3F1A-4790-9BA0-07874FD98BAA:01}

その中のシリーズ「経営」に僕の想いが掲載されました。


長いですが一生懸命書いたんで読んでみてください。



「ありがとう」の反対語



株式会社サガミ

代表取締役社長 水沢 洋





私の人生で一番成功したこと

ある映画監督に言われたことがあります。私の名刺を見て、「今まで色々なことをされてきているみたいですが、一番成功したことはなんですか?」と。緊張していた私は質問の意図が仕事上での成功と理解できず、「日本に生まれたことが人生で一番の成功だったと思います」そう答えてしまいました。

大学まで野球に明け暮れ、野球を引退すると先輩の影響で、海外へリュックサックひとつで一人旅によく出かけるようになりました。素晴らしい自然や建築物、異文化に感動しましたが、一番印象に残っているのは、やはり発展途上の国々。小さいころから親に働かされたり、食うに困ってゴミ拾いをしたりしている子供たち。ひったくりにも遭いました。贅沢さえしなければ、生きていくのに苦労しない日本は、本当に良い国だと思うようになりました。

②ガス老舗の三代目として

弊社サガミは60年以上続くプロパンガス会社の老舗です。創業者である祖父は日本のプロパンガス販売の先駆者で、日本で一番初めにプロパンガスの事業を始めたとも言われています。

後を継いだ昆虫学者である父は、その温和で欲の無い性格から、新しい事業には一切手を付けず、会社を守りました。バブルの当時、父が土地でも買い漁っていたら、サガミは僕が引き継ぐ前に無くなっていたと思います。

そして私の代。成熟し切ったプロパンガス販売の業態で、さらに人口が減っている横須賀では、明るい将来はどうしても見えてきません。だから今、私は自分の専売特許である行動力で業態を広げ、プロパンガスに依存しない会社作りを目指して奔走しています。

ガスの売上は、ほぼ横ばいですが、サガミのお客様にリフォーム、宅配水、オール電化や太陽光発電システムの販売も行い、全体的な売り上げは伸びています。また、元寿司職人だった経験を活かし、飲食業にも参入。さらに昨年はカンボジアに会社を設立し、ガソリンスタンドとプロパンガス事業を開始しました。

経営環境が悪い時期の社長の役割

私が色々な事業をしている理由を書きたいと思います。会社を倒産させてしまった経営者の多くが、時代の移り変わりのせいにしますが、それは違うと思います。例えば、写真フィルム世界最大手のコダック社は銀塩フィルムの衰退で倒産しましたが、富士フイルム社はデジカメ普及の時流を読み、医療の分野に進み、成果を上げています。

 バブル時のような景気の良い時は、社長は何もしなくても会社は成長します。しかし、経済や人の気持ちが落ち、先が見通せない不透明な時代には、リーダーである社長は社員を導き、行動する必要があります。会社を潰してしまうのは時代のせいではなく、社長が適切に行動しなかったせいです。

不透明な時代に行動する時に大切な事

先が見通せない不安の中で新しい行動を起こす場合、一番大切なのは社員が社長に付いてきてくれることです。人が付いてくるには三つの理由があるといわれています。最初の一つが「金」。次に「力」。最後に「心」。「お金」が一番簡単な方法です。しかし、一番簡単に離れていくのも「お金」なのです。「心」で繋がれる会社。それが一番良い会社・組織なのだと思います。

⑤ありがとうの反対語

組織が「心」で繋がる為に重要なのは、共通の価値観です。私は「今を当たり前だと思わないこと」を弊社の社員が共有する価値観としたいと思っています。

国土が広く、石油や鉱物等の天然資源が豊富な諸外国と違って、私達の先人たちは、勤勉によって食うに困らない生活を送ることができる国を作ってくれました。本寄稿の表題である「ありがとうの反対語」とは「当たり前」です。社員には今の生活が「当たり前」ではなく、ありがたいと感じる価値観を身に着けて欲しいと思っています。

私は入社前の内定者に一つの課題を課しています。それは、海外一人旅です。日本に生きていることが、いかに恵まれているかを実感してもらうためです。旅の資金作りのため、内定者にはサガミで少し働いてもらいます。時給もその分、高めにしています(笑)。別人になって帰ってくる若者を見ると、行かせてよかった、としみじみ思います。最初は密かに反対していた親御さんからも感謝されます。

当たり前を当たり前と思わず、ありがとう、と思える人で会社が満たされれば、お客様とも取引先とも、そして会社の仲間ともお金ではなく、心で繋がることができると考えています。

⑥不道徳な権利主張

昨今、モンスターペアレンツや孫を装った詐欺、悪質なクレーマー、ストーカーといった、自己都合主義の日本人が増え、さらに、お金のために不道徳な権利主張を手助けする法律専門家もいます。

自分の思い通りになることを「当たり前」とし、今に不満を持ち、他人からお金やモノ、そして幸せを奪い取ろうとする人たちです。彼らは小賢しく勉強はできるのでしょうが、その前に道徳心を身に着けて欲しいと思います。

⑦お金の稼ぎ方

ここで、幸せとも関係するお金の話を書きます。

最近、中学校で「お金の稼ぎ方」という内容の講演をしました。その時、私は「お金を稼ぐには目の前の人を喜ばせればいい」と話しました。人を喜ばせる、というと難しいことをしなければいけないように思えますが、そんなことはありません。

私は社員に「誰にでもできることを、誰にもできない位一生懸命やる」それが大事だと普段から言っています。

例えば、何か雑用仕事を頼まれた時、「はいっ」と即答する人と、返事を躊躇する人がいます。私は前者の即答する人がチャンスを掴み、お金を稼ぐ人だと思います。何かを頼まれた時、誰にでもできることなのに返事を躊躇してしまうのは、それが自分にとって損か得か、返事の間に選択しているからです。損な事だと分かっていて、自分のために一生懸命取り組んでくれる相手を見たら、その人の評価がどれだけ上がることか。若い時からそうして人に接していくことができる若者がいたら、長い人生でどれだけチャンスが転がり込んでくるか。だから僕は「雑用にこそチャンスあり」と社員に言い続けています。

喜んでもらう、というのは、相手の予測、すなわち、「当たり前」を上回る行動を常にすることです。そうすると「ありがとう」となり、お金を払って頂けます。

だから人を喜ばすことが上手な人、子供のうちからその癖のついている人は、大人になって仕事をし始めた時に成功し、お金を稼げるのだと思います。

⑧豊かさが当然の世の中で子供達がいかに幸福になるか

今を当たり前として、幸せを感じられず、他の人の幸せを奪ってまで、自分が幸せになろうとする。豊かさが当たり前となった日本ではそういう浅ましい人が増えてきていると思います。そうやってお金・財産を手にしても、欲望は限りなく、もっともっと、となり、満ち足りることはなく、結局、幸せにはなれません。
 私は、今を当たり前ではなく、ありがたい、と感じられる人、そして、人を喜ばせることができる人が自分も幸せになれるのだと思います。だから、子供たちには現状に不満を持ち、それを動機付けとして、自分の不道徳な権利を主張する方法を学ぶのではなく、今を幸せと感じ、さらに、他の人を喜ばせるような夢を持ってほしいと思います。

そのためには、私たち大人がその手本となる必要があります。

内戦の続く諸外国では、本来語り継いでいかなければならない悲しい歴史は、全て恨みの歴史として語り継がれ、その報復のために生きている子供たちがたくさんいる、と聞いたことがあります。

日本でそんな子供たちが育つ環境を創ってはいけません。

私たちは、子供に「夢を持ちなさい」と言いますが、悲しいかな、世間体や見栄、そしてお金などの要因から「そんな夢は無理に決まっている」と言うのもやはり私たち大人です。

思考がお金の奴隷になってしまうと、夢を見ることも自由にさせてくれない世の中ができてしまう。経済発展も大事ではありますが、これだけ成熟してきたら、成長しなくてはいけないのは経済よりも人間であると思います。





絶対にクリックしてほしいです!