ネット初公開!巨岩地下掘下げ隧道と獅子岩と無名滝(大洲市) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[ドルメン隧道とライオン岩と樽落しの滝]

これまで各種素掘り隧道・トンネルを紹介してきたが、100トンを超える巨岩の底の地面を掘り下げて造った水路隧道は極めて珍しい。掘下げた結果、隧道の両端は大石と岩のため、類を見ないような「ドルメン隧道」が誕生したのである。

 

工事時期は詳らかではないが、水路パイプがまだ日本(四国)になかった頃なので、明治か大正時代ではないだろうか。全長は十数メートルほどか。

 

周囲の地形からすると、水田横の沢が大雨等で増水した際、それを逃すための処置ではなかったかと思われる。但し、現在は隧道内に水路パイプが通っているため、隧道自体には水が流れていない。

 

この隧道沿い沢のやや下流には落差20m弱ほどの無名滝「樽落しの滝」が懸かっている。写真では木々が邪魔になり、滝の規模が小さく見えるが、実際は見応えがある。

 

河辺町(旧河辺村)には愛媛県大洲市の旧市域のように巨石や巨岩が多いが、隧道西の水田にも二つの巨岩がある。二つ共特に名称は付いていないようだが、仮に一つ目を「猪捕岩(ししとりいわ)」と呼ぶ。この岩には割れ目があり、昔、田畑を荒らす猪がこの割れ目に挟まり、駆除されたという。

 

もう一つの巨岩は大洲市河辺支所では「ライオン岩」と仮称している。隧道へ向かう小径からも見えているが、水田西沿いの農作業車道を南下して行くと近い。南下して向かう際はただの四角い巨岩にしか見えないが(人が上にいる岩)、裏に回って巨岩のやや南東地点に立つと、ライオンたる姿になる。

 

以前紹介した三重県熊野市の獅子岩ほどではないが、頭部や前足、口の歯等がはっきり分かる。河辺支所の観光部署職員の方には「獅子岩」という呼称の方がしっくりくるのではないかとアドバイスさせて戴いた。

 

因みに樽落しの滝下流の秋知川には用の谷渓谷(役所が今後遊歩道を整備する可能性あり)があるが、ここにも滝(支流)や岩門のような巨大岩盤がある。岩門は長靴を履かないと探訪できないが、来年度以降、遊歩道が整備されることを期待したい。

 

≪探訪ガイド≫

(1)  ドルメン隧道(筆者による仮称)

水田東沿いの野良道を南下して行き、右手の茅のヤブ奥にある祠を過ぎた先から東下の段になった所に下りる。目の前に隧道がある。懐中電灯がなくても通り抜けられる。

 

(2)  樽落しの滝

隧道を抜けて尾根を下って行くと左手に現れる。下流から滝壺まで石伝いに行くことができる。

 

(3)  獅子岩(ライオン岩)

樽落しの滝を鑑賞すると一旦県道55号まで引き返し、滝上流の沢の西方にある沢に懸かる橋(暗渠だったかも)を渡った所から未舗装農道を南下する。東方奥の猪捕岩は行きにくいが、獅子岩は農道の側にあるからすぐ分かる。猪除け柵の扉の針金を外し、畦道を歩いて行ける。探訪を終えると必ず扉の針金は元通りにしておくように。

 

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