スーパー絶景!足摺大海崖の滝(土佐清水市) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[四国屈指の海岸滝の天辺に立つ]

以前より高知県土佐清水市の足摺岬地区にある「足摺パシフィックホテル」下方の絶壁の海崖に巨大な滝が懸かり、海へ落下している、と言われてきた。しかし地元で尋ねても「船からでないと間近に望めない」という。

 

が、地形図でホテル周辺を見ると、崖の上方の等高線は比較的緩やか。つまり、滝を下から見上げることはできないとしても、滝の天辺には立てるのではないか、と思ったのである。しかし滝の具体的な場所は分からない。そこで適当に尾根を下り、途中から適当にトラバースし、沢の音が聞こえるとその沢へ下り、そのまま下ることにした。

 

車は「堂ヶ森」バス停南東の三差路を南に折れ、津波避難場所の千崎広場に駐車した。そこから少し引き返すと道沿いに良心市の木箱のようなもの(下の地図)があり、踏み跡が下っている。

 

踏み跡が消えると適当に西方へトラバースして行ったが、ヤブを避けて上り下りしていると、堂ヶ森等にあるような巨石群もあった。

沢音が聞こえるとその方向に向かい、沢に出た。予想通り、沢の傾斜も緩い。

 

水嵩もあまりなく、川床の石や左岸を適当に下って行く。

前方が明るくなると少しヤブ漕ぎして海崖に出た。そのすぐ右下が滝の天辺(下の地図)である。

 

高さ2030メートルはあろうかと思われる柱状節理の崖は垂直に切り立っており、足がすくむ。滝は轟音を立てて海へと落下している。しかし海上には碆(はえ)があるため、漁船等ではこの滝に近づけないだろう。カヌーやカヤックなら可能だろう。

 

これまで土佐清水市内や徳島県のいくつかの浜へ落下する滝を紹介してきたが、この滝はスケール感が桁違いに大きい。外国のような大自然の秘境感さえ漂っている。名付けるとしたら「屛風の滝」か。が、一応「足摺大海崖の滝」と仮称する。(後の投稿で、千崎川に懸る滝故、「千崎の滝」と名付けた)

 

滝の天辺(上の写真)横からでは全景を拝めないので、崖上を慎重に歩き、灌木をヤブ漕ぎして一つ南の崖に出て、写真を撮った。

ふと背後を見ると崖の天辺から朽ちたロープが垂らされている。どうやら’90年代頃、ここに立った者がいる模様。しかし沢を下ればロープ等不要。

 

復路は沢沿いを登って行くと、パシフィックホテルの浄化槽下(上の地図)に出た。そしてホテルの寮沿いを登り、屋根付き通路のドアを開け、内部に入り、従業員に通路横断の許可を得て、反対側のドアを開けて北側に出た。その際、従業員から「冷たいお茶でも飲んでいきませんか」と言われたが、宿泊も温泉も利用しないのにそんな図々しいことはできず、お気持ちだけ受け取ってホテルを後にした。

 

そこからは「観音ウド」展望所への遊歩道が続いていたので、寄ってみた。「観音ウド」とはホテルの南西の海崖に開く海食洞のことで、観音座像に見えるという。内部の奥には光が差し込んでいることから、天井部に穴が開いているのだろう。

ウドの左側は岩屋風になっているが、ここには直径何メートルかの渦が巻いている。

 

展望所からは滝を撮影した崖(下の写真)が見えている。30倍位のズームレンズで覗くとロープも確認できる。ここから望むと「あんな崖に人が立てるのか?」と思うことだろう。しかし実際はそんなに狭くはない。

 

展望所(下の地図)を去るとホテルの敷地内遊歩道の西に並行する歩道を辿り、ポニー広場跡入口に出た後、クランクが連続するようなコンクリート舗装の生活路を上がり、「堂ヶ森」バス停西方に出た。

 

バス停東方の谷が滝の上流にあたるが、この付近はヤブで谷に下りることはできない。

一番簡単に滝を訪ねるには、ホテルの温泉を利用するついで(入浴前)に浄化槽下から沢に下りると良い。10分程度で行けるのではないだろうか。但し、登山未経験者の探訪は危険。

 

※探訪から3年ほど経った後、ホテルの渡り廊下から裏手の浄化槽付近への立入りは禁じられていることが分かった。たとえ通路の休憩所にいる従業員が許可しても、フロントは許可しない模様。

 

また、観音ウド展望所付近もホテル利用者以外は、許可がいるらしい。つまり、そこはホテルの私有地ということ。それ故、自治体の観光パンフレットにも記載されていない。

尚、現在、千崎川へ到る廃道化した小径が載った公図を入手しているため、2023年以降、分かり易い探訪ルートを開拓するかも知れない。

 

因みにこの日、土佐清水市内の二つの海食洞門も訪ねた。それはまた後日報告したい。

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