残留へ向け後がなくなったアビスパ(その1) | Purely Belter

残留へ向け後がなくなったアビスパ(その1)

Jリーグルヴァンカップ準々決勝と天皇杯1・2回戦が終了し、今日からJリーグが再開します。残り試合が少なくなり、優勝争いや残留争いがますます激化します。

年間順位で最下位に沈むアビスパ福岡は、アウェーで川崎フロンターレと対戦。残り7試合で残留圏内とは勝点差11…残り1試合も落とせません。一方の川崎にとっても年間順位1位を守るためには落とせない戦い。順位表では真逆に位置するチーム同士の対戦となりました。


■カップ戦で敗退し、リーグ戦に集中できる環境が整う
5年ぶりにJリーグを戦うアビスパにとって、ここまで非常に厳しい戦いが続いています。第2ステージではわずかに1勝、年間順位でも最下位に沈んでおり、残留するためには残り1試合も落とせない状況です。

リーグ戦では勝星を挙げることができていませんが、カップ戦では良いパフォーマンスを見せました。ルヴァンカップ(グループステージ時はヤマザキナビスコカップ)ではグループステージを突破し、天皇杯1回戦では鹿児島ユナイテッド相手に7-2と大勝しました。しかし、先週そのカップ戦でいずれも敗退が決定。ルヴァンカップではFC東京に2試合合計で敗れ、天皇杯ではJ2のレノファ山口にPK戦の末敗れてしまいました。

カップ戦での勝ち上がりを楽しみにしたかったですが、これによりリーグ戦に集中できる環境が整ったことにもなります。過去2シーズンは、昇格後1年でJ2に逆戻りしていたため、今季は絶対に残留を勝ち取りたいところです。残留圏内のヴァンフォーレ甲府とは勝点差11、第2ステージ第15節の直接対決までに勝点差を3以内に縮めておきたいところです。

先週試合が多く疲労が心配されますが、カップ戦に出場できなかったDF駒野友一選手とMF三門雄大選手はフレッシュな状態で試合に臨めます。また、エースFWウェリントン選手も怪我から復帰し、久々の遠征メンバー入り。苦しい状況での登場に期待がかかります。

■前節はまさかの大敗…切り替えが求められる
ここまで積み上げた勝点は60、川崎は年間勝点で首位に立っています。また、第2ステージに限っても、浦和レッズを総得点の差で抑えて首位をキープしています。

攻守両面で安定感が光る川崎ですが、前節はホームで柏レイソルに2-5で大敗。第1ステージで3-1と快勝した相手に、まさかの黒星でした。前半4・5分に立て続けにFWディエゴ・オリヴェイラ選手にゴールを許すなど、前半だけで4失点。今季最多の5失点を喫しました。

川崎は天皇杯2回戦から登場し、J3のブラウブリッツ秋田に3-1で逆転勝利。前半28分に先制ゴールを許すと、なかなかゴールを奪うことができずにいました。しかし、後半22分にDFエドゥアルド選手が同点弾を決めると、終盤に2点を加点。ヒヤリとしましたが、3回戦にコマを進めました。なお、3回戦の相手はJ2のジェフユナイテッド千葉となっております。

川崎は、天皇杯を欠場した代表組が復帰。GKチョン・ソンリョン選手は韓国代表として、MF大島僚太選手とFW小林悠選手は日本代表として2018 FIFAワールドカップ アジア最終予選を戦いました。3選手とも1試合のみの出場だったため、大きな疲労もなく試合に臨むことができそうです。

■震災後から継続的に東北支援を続けている川崎
試合の詳細に入る前に、川崎が続けている取り組みを取り上げたいと思います。2011年の東日本大震災から5年…川崎は「Mind-1ニッポン プロジェクト」として、東北の復興支援活動を行っております(詳細は、「Mind-1ニッポン プロジェクト ~川崎フロンターレ 東日本大震災 復興支援活動~」参照)。震災直後には、横浜FCとチャリティー練習試合を行いましたし、定期的にサッカー教室や街頭募金活動を行っております。

この試合にも、陸前高田市の小学生が招待されていました。今回の招待も「Mind-1ニッポン プロジェクト」の一環として行われたもの。今回のアビスパ戦に合わせ、陸前高田市の小学生が川崎市に1泊2日の日程で宿泊する「かわさき修学旅行」が行われているのです。初日である今日は試合観戦を行い、明日はラゾーナ川崎でのショッピング等が予定されています。

ところで、川崎と陸前高田市は昨年9月11日に友好協定「高田フロンターレスマイルシップ」を締結し、これまで様々な取り組みを行ってきました。7月6日には陸前高田市の上長部グラウンドにて「高田スマイルフェス2016」が開催され、サッカー教室やナオト・インティライミさんのライブの他、ベガルタ仙台との試合も行われたそうです。

毎年3月11日が訪れると、テレビで震災関連の番組が放送され、世間には復興を願うムードが高まります。しかし、時期を問わずに継続して復興支援活動を行うことは決して簡単なことではないと思います。そんな中、こうした活動を続ける川崎には、いちサッカーファンとして敬意を表したい。同時に、今後もこのようなプロジェクトが長く行われることを願っております。

■"韓国代表GK対決"にも注目が集まる
この試合に臨む川崎のスタメンは以下の通り。GKはチョン・ソンリョン、DFは田坂祐介、エドゥアルド、谷口彰悟。MFはエウシーニョ、大島僚太、エドゥアルド・ネット、車屋紳太郎、中村憲剛。FWは小林悠と大久保嘉人の2トップとなりました。ベンチにはGK新井章太、DF武岡優斗、板倉滉、MF橋本晃司、森谷賢太郎、三好康児、FW森本貴幸が入りました。

一方のアビスパのスタメンは以下の通り。GKはイ・ボムヨン、DFはキム・ヒョヌン、濱田水輝、冨安健洋。MFは駒野友一、ダニルソン・コルドバ、三門雄大、亀川諒史、城後寿、為田大貴。FWには金森健志が入りました。ベンチにはGK神山竜一、DF實藤友紀、古部健太、MF三島勇太、田村友、FW平井将生、ウェリントンが入りました。

川崎は、前節DF井川祐輔選手が負傷。左膝後十字靭帯損傷で全治4ヶ月と診断されており、今季中の復帰は絶望となっております。代役は、メディアで報じられていた通り田坂選手が務めることとなりました。本来は中盤でプレーする田坂選手ですが、フィジカルの強さを活かしてCBの一角に入ります。一方、4月から戦列を離れていた森本選手がベンチ入り。出場すれば、第1ステージ第5節以来となります。

アビスパは、規定によりルヴァンカップに出場できなかった駒野選手と三門選手が先発復帰。8月に加入したベテラン選手が、再びピッチ上で選手たちを引っ張ります。また、戦列を離れていた平井選手とウェリントン選手もベンチ入り。ここ数試合は、坂田大輔選手や為田選手などスピードを武器とする選手の頑張りが印象的でした。ウェリントン選手の復帰により、これに高さが加わることとなります。

この試合では、"韓国代表GK対決"にも注目が集まります。チョン・ソンリョン選手とイ・ボムヨン選手は、2012年のロンドン五輪と2014年のブラジルW杯に韓国代表として出場し、チームを最後尾から支えました。第1ステージで対戦した際は2-2の引き分け。2度目の顔合わせは、どちらに軍配が上がるのか…非常に注目です。

チーム状況は大きく異なるが、両チームにとって重要な一戦となる。