鹿島が激戦を制して今季初タイトル(その2) | Purely Belter

鹿島が激戦を制して今季初タイトル(その2)

■前半終了間際に2ゴールを奪った鹿島
この試合最初の見せ場を作ったのは鹿島でした。4分、金崎選手が土居選手とのワンツーで抜け出し、シュート性のボールを中へ送るも、これはGK西川選手にキャッチされました。

浦和はいつも通りのサッカー。GK西川選手も加わって自陣から繋いでボールを支配します。すると、10分過ぎから徐々にペースを握ります。13分には駒井選手が中へ送ると、ズラタン選手が落とし、青木選手がシュート。しかし、これは枠を外れました。16分には再び駒井選手がドリブルから中へクロス。これをズラタン選手が合わせるも、これも枠を捉えることができませんでした。このように浦和は、長短のパスを駆使して、左サイドを使う展開が目立ちました。

浦和にボールを支配される鹿島ですが、カウンターからチャンスを作ります。21分には中央で金崎選手が倒されるもアドバンテージ。ここからレオ・シルバ選手とペドロ・ジュニオール選手が持ち込み、最後は金崎選手のミドル。強烈なシュートでしたが、これはGK西川選手の好セーブに阻まれました。また、28分にも左サイドを抜け出した金崎選手のクロスを遠藤選手が合わせるシーンがありましたが、これもGK西川選手に阻まれました。少ないチャンスを決定機まで持ち込みますが、最後の一押しが足りませんでした。

なかなかゴールを割ることができなかった鹿島ですが、前半終了間際に先手を取ります。西選手がゴール前で倒されてFKを得ると、遠藤選手が直接決め1-0と鹿島がリードを奪いました。左足で上手く巻いてのゴール。名手・西川選手が一歩も動けませんでした。直後の40分には、金崎選手のスルーパスを受けた土居選手がワントラップからシュートを放つも、これはバーに嫌われました。チャンスを逃した鹿島でしたが、43分に追加点。レオ・シルバ選手→土居選手と繋ぎ、金崎選手がシュート。これはポストに阻まれましたが、こぼれ球を遠藤選手が決めました。

前半は浦和がボールを支配する時間が長くありました。そんな中、鹿島は限られたチャンスをシュートまで結び付けました。チャンスを逃し、嫌な展開になりかけましたが、終盤に2ゴールを奪い、良い形でハーフタイムを迎えることができました。

■最後は"新9番"のゴールで鹿島が勝利
後半も一進一退の攻防が続きます。浦和は15分と18分にズラタン選手がシュートを放ちましたが、いずれも枠を捉えることができませんでした。一方の鹿島は21分、途中出場の鈴木選手が右サイドへ長いボールを送ると、遠藤選手が頭で落として西選手が中へクロス。これを土居選手が頭で合わせましたが、シュートはGK西川選手の好守に阻まれました。

ボールを支配しながらなかなか決定機を作ることができなかった浦和ですが、27分に興梠選手が小笠原選手に倒されてPKを獲得。家でリプレイを確認したところ、接触こそありましたが、鹿島にとっては少し厳しい判定となりました。これを興梠選手が自ら決め、1点差に詰め寄りました。さらにその1分後、浦和が同点に追いつきます。関根選手の右クロスをズラタン選手がヘッド、これはポストに阻まれますが、こぼれ球を武藤選手が押し込みました。

決勝ゴールが生まれたのは後半38分でした。途中出場の山本選手のロングフィードを鈴木選手が追い、相手DF遠藤選手のGK西川選手へのバックパスをカットしてネットを揺らしました。遠藤選手と西川選手の連係ミスを逃さなかった鈴木選手。今季から背番号9を背負う若武者が、プレシーズン6試合で6ゴールと好調をキープしています。試合は3-2で終了、王者・鹿島が接戦を制して今季初タイトルを獲得しました。

■"らしくなさ"が出るも、最後は流石の強さ
鹿島はJリーグで最も"勝ち方"を知っているチーム。悪い時間を耐える上手さがあります。昨季も、相手にボールを支配される時間が続いても選手全員で耐え、少ないチャンスをモノにして勝点を積み上げました。その戦いぶりは世界でも通用し、南米王者アトレティコ・ナシオナルを下し、世界王者レアル・マドリードを苦しめました。

しかしこの試合では、珍しく、一瞬の隙を突かれる場面がありました。守備面ではPKで1点を返されてからすぐに同点弾を許し、立て続けにピンチを招くシーンがありました。連係ミスから相手にシュートを許す場面もありました。一方の攻撃面でも、本来ならば決めることのできるシュートを外すシーンが多くありました。そうした"らしくなさ"が出てしまいましたが、最後はしっかりとタイトルを勝ち取ることができました。

オフが短かったことや新加入選手が多く出場したこともあってか、本来の強さにはまだ至っていないように思えます。GKクォン・スンテ選手は、連携不足からヒヤリとする場面を招きました。また、怪我の影響でプレシーズンは出場機会がなかった永木選手も、まだ本調子ではないようです。しかし、そうした苦しい状況でも大崩れしないのが鹿島。試合を重ねるごとに、昨季同様の強さを見せてくれることでしょう。

鹿島は21日に蔚山現代FCとACL初戦を戦い、25日にFC東京とのリーグ開幕戦を迎えます。いずれもホームでの試合ですが、蔚山現代は韓国代表選手が多く所属していますし、FC東京も大型補強でタイトルを狙える布陣を揃えました。決して侮れない相手です。難敵との連戦でスタートしますが、ここで勝利し、勢いをつけたいところです。

■粘りを見せるも2試合連続でミスから失点した浦和
浦和は、12日のさいたまシティカップに続き、ミスから失点してしまいました。さいたまシティカップの失点について、ペトロヴィッチ監督は「あのような失点はあってはいけません」と指摘すると共に、「公式戦になって失点するよりは、今起こっておいた方が良かった」と話していました。ところが、1週間足らずで「あってはならない」ミスが公式戦で起こってしまいました。

決勝点の場面は、遠藤選手としては、①大きくクリアする、②体を入れてGKに任せる、③GKにバックパスという3つの選択肢がありました。結局、GKへのバックパスが短くなったところを鈴木選手に拾われ、ゴールを許してしまいました。勿論、諦めずにボールを追った鈴木選手は素晴らしかったですし、対処するDFとしては意外と迷う場面でもあります。しかし、遠藤選手は日本代表にも選ばれる素晴らしい選手。上記のいずれを選択するにせよ、ハッキリとしたプレーをしたいところでした。

しかし、悲観する必要はないと思います。主力選手を欠きながら王者を苦しめましたし、さいたまシティカップよりも内容面で充実していました。手数をかけた攻撃が見られましたし、サイドの選手は積極的な仕掛けで攻撃のアクセントになっていました。柏木選手が出場すれば、より多彩な攻撃が見られることでしょう。

浦和は21日にウェスタン・シドニー・ワンダラーズとACL初戦を戦い、25日に横浜F・マリノスとのJリーグ開幕戦に臨みます。鹿島と同じ日程ですが、浦和はいずれもアウェー戦。特に、ACLはオーストラリアでの試合となりますから、疲労が心配です。この試合で主力選手を温存した判断は決して間違いではないと思います。こちらも難敵との対戦が続きますが、アジアと国内で結果を出すためには負けられない試合となります。

■Jリーグの優勝争いを盛り上げるのは…!?
今季のJリーグは、昨季から大きく変わります。長年Jリーグを放送してきたスカパー!が撤退し、DAZN(ダ・ゾーン)が放映権を獲得しました。これにより、優勝賞金は大幅にアップし、優勝クラブには、3年かけて15.5億円が支給されます。昨季までのチャンピオンシップ制度も廃止され、シーズンで最も多くの勝点を積み上げたクラブが王者になります。

Jリーグ優勝による賞金が大幅アップすることもあり、各クラブは優勝を目指し積極的な補強を行いました。鹿島と浦和は勿論、FC東京やサガン鳥栖も代表クラスの選手を揃えました。また、実現しませんでしたが、ヴィッセル神戸が、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキー獲得に動くなど、オフの話題は尽きませんでした。今季のJリーグは、例年以上に激戦となりそうです。

スーパーカップを戦った鹿島と浦和は、今季も優勝候補の一角に挙げられます。ACLに出場する川崎フロンターレとガンバ大阪も素晴らしい選手を揃えます。また、FC東京もGK林彰洋選手、MF高萩洋次郎選手、FW大久保嘉人選手、永井謙佑選手が加わり、優勝を狙えるメンバーが揃いました。メンバーを大幅に入れ替えた横浜FMも、ハマれば上位に進出しそうです。

上記クラブに加え、個人的には神戸が台風の目になるのではないか、と思います。名将ネルシーニョ監督体制となって3シーズン目。試合を重ねるごとに強さが増しており、昨季は2ndステージで2位に入りました。今オフはペドロ・ジュニオール選手が退団しましたが、FW田中順也選手が加わり、中盤には高橋秀人選手が加入しました。夏にはポドルスキー獲得も噂されています。ネルシーニョ監督の目指すサッカーが浸透してきており、今季実を結ぶ可能性も大いにあると思います。

Jリーグはいよいよ25日に開幕。12月2日の最終節まで、熱い戦いが繰り広げられます。今季も素晴らしい試合が観られることでしょう。期待しています。

まずは1冠獲得の鹿島。今季はアジアの舞台でも強さを見せつけるに違いない!!


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