前半戦の山場で黒星…アビスパの苦戦は続く(その2) | Purely Belter

前半戦の山場で黒星…アビスパの苦戦は続く(その2)

■内容的には悪くなかったものの獲得した勝点はゼロ

この試合のアビスパは決して悪い戦いをしたわけではありませんでした。立ち上がりから積極的な攻撃を見せ、大宮ゴールに迫る場面がありました。長短のパスでリズムを作り、サイドからのクロス、石津選手や松田選手の飛び出しなど、面白い攻撃がありました。

 

守備面でも、シモヴィッチ選手の高さに手を焼いたものの、3枚のCBを中心に粘り強く守っていたと思います。失点シーン以外では相手のチャンスは多くありませんでしたし、しっかりと体をぶつけることができていたと思います。しかし、結果的には2失点。大宮のような力のある相手と対戦するときには、わずかなミスや一瞬の隙すら許されないということでしょう。

 

前節の東京V戦に比して、特に攻撃面で改善が見られたと思います。ウィングバックの選手は高い位置を取ることができ、良いクロスが何本も入りました。また、中央の鈴木選手と城後選手は、相手の厳しいチェックがありながらも、少ないタッチで展開できていたと思います。リードを許した終盤では、奪ったゴールこそPKの1点のみでしたが、人数をかけて迫力ある攻撃を見せたと思います。

 

しかし、どんなに良い形があっても、一番大切なのは勝点を積み上げること。特に、ここ最近は悔しい試合が続いていましたから、たとえ内容的に悪くても、勝点が欲しかったです。相手の大宮は、決して良かったわけではありませんでしたが、少ないチャンスをしっかりとゴールに結びつけて勝点3を得ました。

 

■欠けていた"高さ" 新加入FWの起用に期待!!

サッカーの選手交代はとても難しい。外野は「誰を出せ」「誰を外せ」と好き勝手言いますが、現場で指揮を執る監督は頭を痛めながらカードを切ります。C級コーチの講習会で印象に残っているのは、「監督が悩むのは、『誰を入れるか』ではなくて『誰を外すか』ということ。」という言葉。監督は常に難しい決断を迫られているのです。

 

よく「采配が当たった」というフレーズを耳にしますが、サッカーの選手起用は運が大きく作用します。「当たった」「外れた」など結果論なのです(確かに、高い確率で的中させる監督もいますが、それは長年の経験あってこそなのでしょう)。それを前提に、あえてこの試合の選手交代について言及するのであれば、個人的にはトゥーリオ選手にチャンスを与えるべきだったと思います。

 

アビスパの前線の並びから考えるに、この試合では、大宮DFの裏に抜け出す攻撃を主として考えていたのでしょう。現に、石津選手や松田選手が巧く抜け出すシーンはありました。しかし、サイドも比較的支配できたため、両サイドからのクロスが攻撃のメインとなりました。輪湖選手と駒野選手は何度も良いボールを供給しましたが、ボックス内に高さのある選手がいなかったため、なかなかシュートに至らず。この試合では、「アビスパに高さのある選手がいれば…」と思うシーンがいくつもありました。

 

試合前のアップを観ていると、トゥーリオ選手が左右からのクロスボールを巧く合わせるシーンが目立ちました。昨季までチームを支えたFWウェリントン選手のような力強いものではありませんが、丁寧にコントロールされたヘッドでした。彼が投入されていれば、サイドからのクロスもゴールに繋がる可能性が高かったのではないか、と思います。大宮の菊地選手と山越選手のCBコンビはヘッドの強さもあります。ですから、彼らにトゥーリオ選手をぶつければ、面白い空中戦を観ることができたでしょう。

 

前節の東京V戦では途中交代でピッチに入ったトゥーリオ選手。しかし、バックラインからのボールを巧く受けることができず、インパクトを残すことができませんでした。まだアビスパのスタイルに馴染めておらず、井原正巳監督からの信頼も得られていないのでしょう。しかし、トゥーリオ選手はブラジルやヨーロッパでの経験も豊富な選手。信じて、粘り強く起用することが大切です。この試合は、トゥーリオ選手の実力を観ることができる絶好の展開だっただけに、出場機会がなかった点は残念でした。

 

■混戦が続くJ2 上位候補の復活は…!?

6試合を終えたJ2の順位表を見てみると、下馬評の高かったチームが苦戦を強いられている印象です。J1から降格してきた大宮(13位)と甲府(18位)はそれぞれ低迷し、昨季J1昇格プレーオフに進んだアビスパ(11位)とジェフ千葉(12位)も中位に甘んじています。松本山雅FCも未だ勝利がなく20位となっています。

 

一方で、首位に立っているのはファジアーノ岡山。5勝1分と無敗をキープしており、2位と勝点差4をつけています。2位にはFC町田ゼルビア、3位には水戸ホーリーホックがつけており、いずれもシーズン前の評価は高くはありませんでした。とはいえ、シーズンはまだ始まったばかり。岡山の調子がこのまま続くとは考え難いですし、2位以下も団子状態。これからの戦いが大切になります。

 

大宮は次節、アウェーで松本山雅と対戦します。開幕戦以来の勝利を挙げた大宮は、ここから調子を上げていきたいところ。上記の通り、相手の松本山雅はここまで不振が続いています。今節はアウェーでレノファ山口と対戦し、0-2とリードしていながら後半ロスタイムに連続ゴールを許し、まさかのドローとなりました。しかし、松本山雅はホームでは2戦2分。熱いサポーターの後押しもありますから、大宮としても気の抜けない90分になりそうです。

 

一方のアビスパは、ホームに栃木SCを迎えます。昇格組の栃木は、序盤は大量失点を喫する試合が続きましたが、ここ最近は調子が上向き。今節も熊本を1-0で下しました。元スイス代表GKジョニー・レオーニ選手、元日本代表FW大黒将志選手、元スロヴェニア代表FWネイツ・ペチュニク選手など、要所に素晴らしい選手がいます。特に、GKレオーニ選手はJ2屈指のGKで、ゴールを奪うのは容易ではありません。油断していれば、足元を掬われる結果となるでしょう。

 

試合後サポーターに挨拶するアビスパの選手たち。次節は4試合ぶりの勝利を狙う!!

 

 

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