【続】公共事業費 予算と現実 | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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昨日のエントリで『三橋氏のグラフは一般会計のみだが、これは公共事業予算の一部でしかない』と述べた。地方を無視しているし、国の予算という点でも特別会計や前年度からの繰越額も無視しているからだ。

まず、地方の比率は次のグラフで大体わかると思う。
平成25年度には地方は国のほぼ2倍となっている。

引用元:地方財政の状況 総 務 省 平成 27 年 3 月
次に、特別会計分だが、一般会計分と特別会計分の重複を除いた『純計』で当初予算と決算額を見ると次のようになる。



三橋氏のグラフでは安倍政権は予算を減らしているように見えるが、特別会計と合わせると増やしていることが分かる。
それより、決算額のほうが予算額より多いのはなぜだろうか。

それは予算に補正分が入っていないことと、前年度よりの繰越額の存在があるからだ。
当初予算に補正予算分と前年度からの繰越を加えた額を『予算現額』というが、こちらが実際に執行可能な額なのである。

そこで、その予算現額が実際にどう使われたかを見てみよう。
尚、こちらの方は特別会計を含む純計のデータがなかったので、一般会計分のみである。


2011年度と12年度の繰越額と不用額が非常に大きくなっていることが目につく。2011年度は震災復興に予算を計上したがこなし切れずにずれ込んだもので、そのしわ寄せは2012年度にも及んでいる。しかも、アベノミクスの第二の矢も12年度の補正予算だったからさらに増えた。

こうして安倍政権は景気対策として公共事業の予算をかなり積み上げたが、結局、前年よりもさらに予算を使い残す形となった。ただ、これは2013年度の予算との15か月予算とする意図的なもので、業界の供給力もそれなりに上がったから繰越額を大幅に減らせた

このように、公共事業はその性質上、予算成立から実績になるまでのスパンが長い傾向がある。だから、どうしても繰越額が増える。それは、事業の性格上やむを得ないのだが、これだけ巨額の繰越額が出るのは公共事業費だけではある。

景気対策という目で見ると、上記の巨額の繰越額は実にもったいないという見方もできる。予算を確保して寝かせておくより、例えばこれを低所得者に対する給付に回した方が消費喚起に直結するスピードという点では公共事業は緊急の景気対策には向いていないといえそうだ。

実は、前エントリに対しワラヲさんからが次のようなコメントをいただいた。
ワラヲさん、参考になりましたありがとうございます。


14. Re:Re:ブログ主さんが間違えてる
>akiraさん
公共事業費は確実に減っていますし、地方の方が酷い削減です、http://wjcs.net/kokyodoko/back/pdf/26_zudemiru.pdf
ワラヲ 2015-08-26 22:00:29

資料のリンクはこちら↓

図で見る 公共工事の動き 平成26年版
西日本建設業保証株式会社


上記の資料は保証事業会社が把握している『請負金額ベースの取扱高』がベースになっている。それによると国と地方を合わせた全体で(前年度比0.3%減となっている。地方は全体ではプラスではないかと思うが、大きく前年比を落としている地方もたしかにある。

しかし、最新のGDP速報値によれば、国と地方の公共事業の実績である公共固定資本形成は前年度比5.1%増となっていて、かなりの違いがある。

予算区分の違いがあるので単純に比較はできないが、『請負金額ベースの取扱高』は受注ベースであり、『公的固定資本形成』は実績ベースという点が全く違う。それにしてもかなりの差があるが、その差の理由は次の二つのグラフから分かる

 


建設業界は震災復興やアベノミクスの要請を受けて手持ち工事額を増やしてきたが、業界の供給力の表れとも言える出来高は頭打ち気味だ。2013年度にかなり大きく手持ち工事額を増やした上に供給力が伸びなければ新たな受注が増やせないのは当然だ。

もちろこれは全体の話であって、中には仕事が少なく困っている業者や公共事業を減らしている自治体もあるだろう。しかし、それは政府の予算の多少のせいではなく、それそれの自治体や業界の考え方や習慣・体質、あるいは過剰な規制など別の問題なのではないか

そういうところにメスをいれ解決することが供給力を高めることにつながるわけで、予算を積み上げるだけではうまくいかないことは民主党政権がはっきりと示してくれた。
公共事業にいま足りないのは、お金ではなく供給力を上げるための人手や知恵なのである。

(以上)

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