シアターコクーンにて鑑賞。

 

原作は浦沢直樹×手塚治虫。
演出・振付はシディ・ラルビ・シェルカウイ。

出演は森山未來、土屋太鳳、大東駿介、吉見一豊、吹越満、柄本明、他。

 

2015年、イスラエルから帰国した森山さんの凱旋舞台のような形で上演された作品ですが、今回は「手塚治虫生誕90周年記念」と銘打って再演されました。

 

初演を観た時は1月にして、私は「本年ナンバーワンかもしれない」と感想を記しましたし、事実その年のナンバーワンと言える作品でしたが、それは今回も同じでした。

 

初演はもちろんベースとなっていますし、話の流れももちろん初演と変わりありませんでしたが、細かい部分で色々と変更が加わって、初演よりもさらにバージョンアップしていて、原作を知らない人や初演を観ていない人にもすんなり劇に入っていけるような改善が施されていました。

 

漫画のコマ割り風ブロックの組み合わせによって次々と舞台転換がされていったり、そのブロックなどに巧みに浦沢直樹が描く原作漫画の画が投影されていく演出や、ロボットを演じる演者さんの周りでダンサーが様々な動きを見せていく演出は今回も健在。
相変わらず素晴らしい演出で観ていて唸らされました。

 

初演から変わったことと言えば、ダンスの要素は前回以上に増したように感じました。
森山さんはもちろん、脇を固めるダンサー陣が紡ぎだす舞踊はどれもこれもが本当に見事の一言で、ずっと観ていたいと感じたほどでした。

 

今回の良い意味でのサプライズは初参加の方々。
主要キャストの半分が初演から変わったのですが、まぁ吹越さんは今さらアレコレ言うまでもないのですが、土屋太鳳さんと大東駿介さんの2人は本当に素晴らしく、思いがけない才能と出会えた思いがしました(お前が知らなかっただけだろ!というツッコミはなしでお願いします)

 

土屋さんは今回が初舞台。
最近一番売れている役者さんの1人だと言えますが、彼女の出世作である朝ドラはもちろんのこと、出演してきた映画・ドラマはほとんど観たことがありませんでした。
ですが、ダンスの腕前が素晴らしいことは知っていたので、今回の目当ての1つは彼女のダンスだったのですが、実を言うと演技についてはさほど興味を持っていませんでした。

 

ただ、これが良い意味で完全に裏切られました。
彼女が演じたのは、アトムの妹ウランとゲジヒトの妻ヘレナの二役だったのですが、見事なくらい演じ分けられていました。
ウランは土屋さんのイメージに近いと思える可愛らしく元気いっぱいの感じで、ヘレナは声のトーンを低く落とした落ち着いた大人の感じで。
しかし、特に秀逸で胸を打たれたのは、ゲジヒト死後、柄本さん演じる天馬博士に「最初は真似でも」と促されてヘレナが号泣する場面。これがもう本当に素晴らしすぎて、思わず涙しました。

 

彼女には今後も舞台に出てほしいですし、彼女がまた舞台に立ってくれるのであれば、また観に行きたいと思えるほどの方でした。

 

ゲジヒトを演じた大東さんも初めましての方で、彼が出るドラマや映画もほぼ観たことがありませんでした。
が、彼も本当に素晴らしかった。
この作品の主人公と言ってもいいゲジヒトを、最初の冷静なところから、その後事件を追い進めていくうちに気づいた事実に対する苦悩や葛藤からその最期まで本当に見事に演じられていました。

 

今月中は東京公演が続き、その後は大阪公演もありますが、欧州ツアーまで予定されています。
あちらでどういう評価を受けるのか楽しみです。

 

 

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