ブータン料理の食卓メニュー ~2~シジュウカラ

2017年11月10日

ブータンのキドゥとは

 こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

先日、私の友人のおじいさんで、今年で85歳になるカイラさんにお会いしました。そのお話を書きたいと思うのですが、その前にブータンにある伝統的なキドゥのシステムを理解しないとわかりにくいので、今回はキドゥについて書きます。しかし、とても難しい・・・ そのため、私が理解している範囲で書いてみますね。


キドゥ(Kidu)のキは喜び、ドゥは悲しみを意味し、正反対の意味を持つ言葉が一つの単語になっています。キドゥは伝統的な下賜のシステムで、下賜は「身分の高い人が身分の低い人に物を与えること」です。キドゥは

基本的にブータンの国王が持つ権利であり義務となっています。


一般的に、私がブータンで生活をしていて「あぁ、これがキドゥでもあるんだ!」と感じたのは、懲役の免除恩赦のイメージです。特にここ十年間には王家に関わる祭事、戴冠式やご成婚、皇太子のご生誕などがありました。このようなタイミングで懲役の免除や恩赦をえるために、家族などが一生懸命に行動している姿をみかけることがありました。

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2011年10月ロイヤルウェディング にて)

ではどうやって、キドゥの恩恵を受けるのか、、というと、王様に直接お話を聞いてもらえるのです。


キドゥの意味をもう一度考えてみると、「国王と国民が、苦しみや悲しみ、そして喜びを共にし、国民全体の幸福を高めるために、国王が直接その声を聞いて支援をするシステム」と言えるでしょう。

みなさんは、ブータンの王様が遠方の村に訪ね歩き、人々を励ましたり、話を聞いているような写真や映像をご覧になったことがありませんか?それもキドゥの一環であり、ブータンの国王の伝統的な公務です。


逆に言えば、国民が国王に直接想いを届けることができる = 直訴ができる、ともいえるのです。

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そして伝統的には恩赦のほかにも市民権と土地の分与もあります。私が今回お話を伺った85歳のカイラさんは、ブータンで生まれ育った方ではありませんでした。カイラさんは市民権と土地をキドゥによりいただいた方。このお話はまた次回にしますね。


なお、このキドゥは2011年より Kidu Foundationと財団になり、より多くの人たちの声が届くようになりました。→詳しくはこちら http://kidufoundation.org/

伝統文化の保護にも力を入れ、また子供たちの教育、お年寄りたちへのサポートなど、弱者の人々に対して支援に力を入れています。この支援により通学困難であった子供たちが学校へ通えるようになったり、また学力が認められれば留学サポートされています。高齢者や身体に障害があったり病気の人も、国王から個人的なケアを受け取っています。

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ブータンの美術学校・ゾーリンチュスムにて

その他にも身近なところでは、

・子供が遊ぶ公園であるチルドレンパークの遊具の整備やメンテナンス
・災害発生時に災害管理や援助活動を行うボランティアのグループ、デスン(De-Suung)の訓練や統括
・RSSC(The Royal Society for Senior Citizens)、定年またはそれに準ずる経歴を持つ退職したシニア世代の活躍と、高齢者に向けての住居などのサービス
・病気の治療のためのサポート:国内での治療が難しい患者をインドにある病院へ紹介し、介護者が無料で宿泊できる施設を無料で提供

なども行われています。

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(タシヤンツェの漆工房にて)

苦楽を共にし国民全体の幸福を高めるキドゥのシステム。公務として歴代の王様がどれだけ尽力されてきたのかは、今現在でもブータンの人々がどれだけ王様を慕い、尊敬しているのかを見ればわかります。もちろん、恩赦や市民権、土地の分与などを行うには、詳細な調査や公平性を保つための難しさは大変なものでしょうし、そんなに簡単に直訴ができるわけでもありません。


それでも。

ブータンの人々の幸福には、このキドゥの存在はとても大きなものだと思います。

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(パロの街にて)
今度はこのキドゥによって、人生が変わったカイラおじいさんのお話を書きますね。

:僕もブータンで暮らして幸せ

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