土地の所有権の話をしましたが、山岳民族ではない地域、例えば東北部スリン県の場合はまた少し違います。
山岳地帯ではなく、平地が広がるこの地域はすでにほとんどが農地として開拓されており、それぞれ土地の所有者も明確になっています。
県の森林率はおよそ11%。タイ全土がおよそ33%であることを考えると、その森林率の低さがわかります。
今年、植林の要請を受けて調査に行った村があります。
その村にはもともと地域の里山として利用されている広い公有林がありました。
この公有林の中を横断する道路ができ、いつの間にか一部の住民によって農地とされ、私有地化が進んでしまったということでした。
山岳民族の地域と決定的に違うのは、私有地化しているのはごく一部のルールを守らない住民であり、これは利用者が長年利用してきた土地ではなく、もともとは地域の森であったということ。



森林率の低いこの地域では、森は大切な地域の財産でもあります。
だからこそ、住民の99%はこの村の森を守りたい、と私たちに話をしてきたのです。

森づくりが始まれば農地化している住民も自ら退去する、とすでに住民同士の話し合いもついていました。
でも地域として森づくりに取り組まなければ、森はいつの間にか、どんどん開拓されている現状なのです。



調査に行った日、村長や関係者たちと森を訪れると、村長たちも驚く事実が!!
夜間、何者かが人目を忍んで森を開拓し、土地を焼き、更に森は小さくなっていたのでした。
夜間にこっそりやるところが、彼らの文化習慣っていうより悪いとわかってる確信犯的ですよね。

もともと森だった場所がすっかり開墾され、焼け残った木々が残されていました。



こういう場所では、一刻も早い対策が必要です。
植林事業を大々的に宣伝し、地域の森を守っていかなければなりません。

カンボジアからほど近いこの地域は、スリン県にとっては水源地となっており、森を守ることは周辺地域のみならず県の水資源を守ることになります。
つまり逆に言えば、この地域の森林破壊は村だけの問題ではなく、県の問題につながっています。

森の機能や森林破壊による弊害は北部タイも東北タイもいっしょ。
でも普段の生活における位置づけが少し違うんですね。
だから、植林への取り組み方もまた違ってきます。

この村での森づくり、来年度から始めたいので現在スポンサーを募集中です!
個人というより企業レベルの少し規模の大きな取り組みになりますが、是非ご興味のある方はご協力お待ちしています!


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