トップアスリートのルーティンと手術 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

最近、盛り上がっているので、

タイトルを見ただけで何の話題か分かった方もいらっしゃるかもしれません。


そう、

ラグビーです。


僕は自分がラグビーをやっていたわけでもなく、

ただルールがわかって、たまに大学の選手権をみている程度のにわかファンですが、


今回のワールドカップは大変、興奮しています。


中でも、

よくメディアでも注目されているのが、


五郎丸選手のキックの際のルーティンではないでしょうか?


二回、くるくるとラグビーボールを投げて、セット、

3歩後ろに、2歩左に、

両手を合わせて体の中心を意識したのちに、8歩の助走でキック!


というのが五郎丸選手のキックの際のルーティンです。


練習の時から常にこのルーティンを確実に遂行することだけに集中することで、

試合の時も余計な緊張や外的な影響を減らし


キックの精度を高める!


ということです。


ルーティンという言葉は、

ともすれば、


ルーティンワークという言葉もあるように、


同じことの繰り返し、つまりは、退屈な仕事、という印象すら抱いてしまう言葉です。


ところが、

この五郎丸選手のルーティンであったり、


あのイチロー選手のバッターボックスに入る際のルーティンであったり、


トップアスリートというのは誰しも、

特に精度の要求される動作の前に、一連のルーティンを徹底している人が少なくありません。


これはやはり、

特定の動作の正確性を高める上で、


日ごろから一連の動作を徹底することが有効だからなのでしょう。


そう考えると、

手術についても同じことが言えることに気づきました。


とはいっても、

手術の手技一つ一つに、ラグビーのキックのように、

寸分たがわぬ全身運動が必要なわけではありません。


全身の運動というより、手術の場合はやはり手と腕の動きにおおよそは限られるからです。


アスリートほど、精密に複雑に全身を操れる能力は当然、

僕ら医師には備わっていないからです。


しかし、


定まった術式を、

常に一定の手順で行うことによって、ミスを最低限に減らすという意味で、やはり似ているのです。


何もこれは手術だけに限ったことではありません。


一連の工程を正確に進めるためには、


やはり同じ手順を繰り返すということが、

最も確実なのでしょう。


これは物事を習うときにも同じです。


たとえば、

手術の上手な先生の手順をそっくりそのまま真似て、

それを繰り返す。


繰り返すことによって、自分のものにするのですね。


もちろん、

何事にせよ、臨機応変に対応するという、


その場その場の対応力は必要です。


しかしながら、

トップアスリートのキックなどのワンプレーのように、

定まった一連の動作を極限の集中力で精密に行う上では、


愚直に同じルーティンを徹底することが何よりも効率的なのかもしれません。


全く仕事は異なりますが、

勉強になるなぁと思ってしまいます。


それはそうと、

そんな五郎丸選手はまだ29歳!


もちろん、

スポーツの世界では若いということはないのだろうと思います。、


しかし、

僕らみたいなおっさんからすれば、

何か一つのことを極めようと、絶え間ない情熱と努力を注いでいる彼らのような若者を見ると、


俺はこんなんでよいんだろうか?

何かを極めようと、追求できているだろうか?


と自問自答してしまいます。


全く、本当に、立派な選手たちです。


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