奥の細道

小さい頃に見失ってしまった本当の自分を見つけるための心の旅。道すがら、私の中の子供心が発する言葉に耳を傾けてみる。

愛はどこに消えていくの?痛みは永遠に残るのに・・・

2014年10月11日 14時32分33秒 | 心の真実
ある哲学者の意見によると、愛にはエロス(恋愛)とアガペー(慈愛)があるという。

この2つのうち、レベルが高い愛は慈愛である。
慈愛は他者を慈しみ、他者の幸せを願う気持ちから起きる愛だからだ。


それに対して恋愛は、病気のようなものとか、頭と心の化学変化などと例えられるように、ある日突然、人の心を捉えて熱病のような症状にさせるが、熱はいつかさめて、ある日突然消えてなくなることがある。また、恋愛は慈愛と違って、他者の気持ち、あるいは他者の肉体を自分のものにしたいという欲望に基づいている。

つまり、自分の欲望(結婚も欲望の1つ)のために他者を利用したい、所有したいという、自己中心的な愛である。

もちろん、自分の気持ちを打ち明けずに陰で自分の恋愛対象の幸せを願うなどという高尚な精神の持ち主もいるかもしれないが、それは「片思いの恋」と呼ばれるものの一種で、私は真の恋愛とは認めていない。

恋愛は相思相愛しかない。

片思いの恋と呼ばれるものは、本当の恋ではない。

それは単に対象を頭で愛しているだけだ


芸能人に夢中になるのと同じレベルの感情で、相手の本質を知らないのに、うわべの印象で自分の恋愛感情を焚きつけて、恋に恋する状態を作って、アドレナリンを増加させているのだ。あなたの恋愛対象があなたの愛に気づこうとしないのは、あなたの愛が本物じゃないからだ。


「君を愛してる。」とか、「結婚しよう。」とか言われても、愛されているという実感が伝わってこないことがある。

その人たちにとっては、適当な条件を持った相手と付き合ったり、結婚することが目的なのであり、愛はないのだ。

らは頭で判断して愛だと思っているだけで、自分の本当の気持ちに気づいてはいない

本物の恋愛は、多少の時間的ずれはあっても、いつも双方のお互いに対する感情が燃え上がるものである。

しかし、お互いに燃え上がった相思相愛の恋愛も、冷めてしまう場合が少なくないのは周知の事実である。

私にもそういう恋愛経験がいくつかあるが、最近、そんな過去の恋愛をふと回想してみることがあった。

そんな回想の中で一番胸を熱くしたのは、私が深い付き合いをした初めての男性との出会いと別れだった。

お互いに若く、出会ってすぐに惹かれ合い、自然に深い関係になったので、これぞ運命の出会いだと信じて、最高に幸せだった。

でも、少し熱が冷めたころに、私は、2人が全く違う人間であることに気づいた。

私が男性に望んでいたような愛を受け取ることができず、心的エネルギーが枯渇していくのを感じて苦しくなっていった。

私の方が彼のためにいろいろ楽しいことを考えたりプレゼントをしたりしても、彼は私を喜ばすために何かを考え出そうなどとはしていなかった

男は細々とした心遣いなどするものではないと思っているようだった。

お互いに20才の学生だったから、それぞれの育った環境とか、考え方が違うことなどを理解するようなゆとりはなく、私は失望して落胆した。

最高に素敵だった彼の顔も、魅力を失ってしまった。

私のアパートに来る彼のためにいつもご馳走を作ってあげていたのに、もうそんな気持ちにもなれず、「おなかすいたぁ。ご飯!」と、おどけるように言う彼の言葉にも、うんざりして「外食しようよ。」と言った。

彼と会うのがつらくなってきたので、別れなければならないと考えるようになった。

ところが彼の方は何も感じていないのか、男女の付き合いはこんなものだと思っているのか、すべてが順調だと思っているようで、将来結婚することが決まっているかのような満足げな態度だった。。。

ある晩2人でベッドにいたとき、私はもうすぐ別れなければならないという思いに満たされ、思わず泣き出してしまい、涙が止まらなくなった。

彼は私のそんな気持ちを察していたはずだが、「そんなに泣かれたら強姦してるみたいで何もできないよ。」と彼は微笑みながらおどけるように言った。

私はこのシーンを思い出すと今でも涙があふれてくる。

彼は私と違って感情的になったことはなく、いつも穏やかな人だった。

そんないい人だからこそ、私は、はっきり意思を伝えねばならないと決意し、ある日、「私たちは考えてることが全く違うし、このままでは最悪になってしまうから、そうならないうちに別れようよ。あなたに合ういい人を見つけて欲しい。」と思い切って言った。

彼はちょっとショックだったようで、「考え方なんてみんな違うに決まってるんだよ。一緒に暮らせば理解できるようになるよ。」とか、「もし別れてから他の人と結婚して、偶然に再会して、焼けぼっくりに火がついたらどうするんだ?」とか、かなり抵抗していたが、私の決意が固いのを知り、「そんなに言うなら無理には引き止めないよ。」と承諾してくれた。

そして最後に、「男なんて誰とだって寝るんだから、誘惑に乗らないように気をつけるんだよ。」と親が子供を諭すように言った。

好きな人ができたから私が別れを決めたとでも思っていたのだろうか。。。

愛は消えたけど、純粋なあの人が最初の男性だったことに今では感謝している。

彼と別れた後、思い出しては泣いてしまう日々が続いた。もう恋愛なんてしないだろうと決めていたけど、結婚するまでにまたいくつかの出会いと別れがあり、そのたびに痛みと絶望を感じたが、もうあの時のように号泣したりはしなかった。

私のファーストラブは、お互いに一目ぼれで、激しく燃え上がり、そして消えていったから、痛みと懐かしさが入り混じった一番鮮明な思い出。。。

自分を子供から大人にしてくれた経験だから、他の出会いよりも一番強く心に残っていて、数年間忘れ去っていても、どことなく彼と似た人に言い寄られたりすると、心がしめつけられて、切なさが鮮やかに蘇ってくる。

20才の時、愛は永遠に続くと信じていたナイーブな自分がなつかしい。

夏の嵐のような恋愛感情が消えてゆく運命を持っているのは悲しいけど、恋愛感情を慈愛に昇華できれば、そして自分自身の愚かさを慈愛で包み込めれば、深くて穏やかな永遠の至福を味わえるのだろうか、などと今では思っている。



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