Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

4/26(木)N響Bプロ定期/ブロムシュテット翁の青春溌剌としたベートーヴェン:交響曲 第8番 & 第7番

2018年04月26日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
NHK交響楽団 第1884回定期公演(Bプログラム2日目)

2018年4月26日(木) 19:00〜 サントリーホール B席 2階 LA4列 18番 4,800円(会員割引)
指 揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
管弦楽:NHK交響楽団
コンサートマスター:篠崎史紀
【曲目】
ベートーヴェン:交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92

 NHK交響楽団のBプログラム定期公演を聴く。今月のマエストロは、N響桂冠名誉指揮者となったヘルベルト・ブロムシュテットさん。1927年7月生まれというから、今年2018年誕生日が来ると91歳となるが、身のこなしから音楽作りまで、まったく老いは感じさせない。実に溌剌として、フレッシュなのである。
 今回のベートーヴェンの交響曲第8番と第7番。いずれも、巨匠にありがちな遅めのテンポの堂々たる佇まい・・・・ではなく、速めのテンポで躍動的な演奏には本当に驚かされる。

 第8番は、第1楽章から速めのテンポで、アウフタクトのリズムが弾む。むしろコクが無さすぎるくらいのインテンポで、前へ前へと躍動していく感じだ。第2楽章のAllegretto scherzandoは、ちょっとおどけた感じが瑞々しくフレッシュな印象をもたらす。第3楽章のメヌエットは古典的な佇まいの中に躍動する生命を感じる。第4楽章はAllegro vivaceだから速いのは当然としても、ダイナミックレンジを十分に取って、N響から躍動的な推進力を引き出す。とにかく、全体的に生命力が充ち満ちていて、とても90歳の指揮者が振っているとは思えないばかりか、あまり演奏機会の多くないこの曲の魅力を再認識させる素晴らしい演奏だった。

 第7番は、第1楽章の序奏から、余分な間合いを取らずにインテンポでグイグイと押していく感じ。それなのに1本調子にならないのは、さすがに超ベテランの巧さだろう。ソナタ形式の主部に入っても一定のテンポ感を維持しながら、リズム感を前のめり気味に刻むことで、実に生き生きとした世界を作り上げていく。提示部を繰り返して展開部へ。木管の各パートが同じフレーズを交替しながら演奏していくのが、2階のLAブロックからだととても鮮やかに聞こえる。ヴァイオリンが少々聞こえずらいのが残念だ。全体を貫くリズム感は、常に前に向かっていく感じで、激しく打楽器が打ち鳴らされていても、決して重くならないとこがブロムシュテットさんの持ち味でもあり、N響の巧さでもある。
 第2楽章は、短調に転じ、濃厚な憂いを感じさせる執拗に繰り返されるリズムと、霧が晴れるような中間部の明るさの対比が美しい。
 第3楽章のスケルツォは、強力な推進力と、極端なダイナミックレンジ、強弱のメリハリの効かせ方が巧い。こういう目まぐるしい展開の速い曲は、サントリホールの豊かな響きの中にハマッてしまうと混濁して聞き取りにくくなってしまうことがあるが、その辺りもブロムシュテットさんの巧いところで、ホールの響き方も熟知しているのだろう。ダイナミックなのに非常にスッキリ聞こえるのだ。
 第4楽章は狂喜乱舞のフィナーレ。ブロムシュテットさんはここでも速めのインテンポを守り続け、キレの良いリズム感で曲をグイグイと押し進める。木管も金管も、打楽器も、もちろん弦楽器も、意識が1つの方向に集中していく感じで、アンサンブルがまとまるというよりは、リズム感と曲の流れが見事に一致していて、全楽団員の持つエネルギーが怒濤のごとく集約していくのが聴いていてよく分かる。ブロムシュテットさんの素晴らしいところは、自分でオーケストラを牽引するのではなくて、N響から自発的なエネルギーを引き出して自然に曲を作り上げてしまうところだ。昔から慣れ親しんだベートーヴェンの交響曲第7番であるが、久し振りに血湧き肉躍るような演奏を聴いたような気がする。素晴らしい演奏であった。

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