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「株式交換」の場合、原則として、株式交換完全親会社・株式交換完全子会社の債権者に対して、債権者保護手続きを行う必要はありません。

これは、「株式交換」の手法に理由があります。

 

元々「株式交換」は、子会社となる会社の株式を、親会社となる会社へ移転させることにより、完全親子会社の関係を作るところに目的として行われる会社再編行為の一種です。

 

では「株式交換」はどうやって行うのかといえば、基本的に以下のとおりです。

  1. 親会社となる会社Xが、子会社となる会社Aの株主に対して、「ウチ(親会社)の株式と、オタク(子会社)の株式を交換してくれへん?」と申し出る(「なぜ関西弁?」かは置いておいて)。
  2. 会社Aの株主は、「よし、わかった」ということで、自己が保有する株式と会社Xの株式を交換する。
  3. すると、どんどん会社Xのところに、会社Aの発行済株式が溜まっていく。
  4. その結果、会社Aの株式を保有している者(株主)が、この世で会社Xだけになる(これが、完全親子会社の関係)。
  5. 以上から、会社Aの株式を100%保有している完全親会社Xが誕生する。
というわけ。
 
ここで注目して欲しいのが、「株式交換」では、金銭ではなく、会社Xの株式を用いて完全子会社Aを誕生させている点です。
つまり、「株式交換」をするにあたって、(極端な言い方をすれば)会社Xの懐(財産状況)は1円も変化していません。
また「株式交換」は、会社Xと“会社Aの株主”との間で行われる作業ですから、会社Aの懐自体に何か影響を与えるものでもないので、やはり会社Aの懐は1円も変化していません。
 
 
では、「株式交換」の前後を通じて、会社Xに対して債権を有する者(会社Xの債権者)の“お金を返してもらえるかどうか”という立場に、何か変化はあるでしょうか?
 
‥‥ありませんよね。
だって、会社Xの懐に変化がなければ、「株式交換」の前後で、会社Xの債権者の“お金を返してもらえるかどうか”という立場に何ら変化は生じないはずです。
 
次に、「株式交換」の前後を通じて、会社Aに対して債権を有する者(会社Aの債権者)の“お金を返してもらえるかどうか”という立場に、何か変化はあるでしょうか?
 
‥‥やっぱりありませんよね。
だって、会社Aの懐に変化がなければ、「株式交換」の前後で、会社Aの債権者の“お金を返してもらえるかどうか”という立場に何ら変化は生じないはずです。
 
 
つまり、「株式交換」というのは、元来会社債権者の“お金を返してもらえるかどうか”という立場に、何も影響を与えないのです。
そのため、異議もへったくれもないってことで、「株式交換」の場合、原則として会社債権者には異議を述べる手続が用意されていないのです(会社法789条1項3号・799条1項3号)。
 
 
ここまで来ると、例外の話が見えてくるのではないかと思います。
 
そうです、会社債権者の立場に何らかの変化が生じるときには、会社債権者の異議手続きをとる必要があるのです。
 
 
では、行きましょう。
まずは、完全親会社となる会社Xのほうからです。
  1. 株式交換完全子会社となる会社Aの株主に対して、会社Xの株式以外のもの(要するに「金銭」ね)を渡すとき(会社法799条1項3号前段)
  2. 株式交換の結果、完全子会社となる会社Aの債務を、会社Xが引き受けることとなったとき(会社法799条1項3号後段・768条1項4号ハ)
このときは、会社Xの債権者に対して、異議を述べる機会を与える必要があります。
 
もうお分かりかと思いますが、何せこれをやってしまえば、会社Xの懐が減ってしまいます。
会社Xの債権者からしたら、「おいおい、大丈夫かよ(汗)」となりますわな。
したがって、このときは、会社Xの債権者は異議を述べることができます。
 
 
次に、完全子会社となる会社Aのほうです。
  • 完全子会社となる会社Aの新株予約権付社債を有する債権者がいたとき(会社法789条1項3号)
このときは、この人たちに限って、異議を述べる機会を与える必要があります。
新株予約権が付いた社債ということは、この債権者は単なる債権者ではなく、株主となる可能性を秘めた債権者です。
上記のとおり、「株式交換」は完全親子会社の関係を作ることを目的として行うものですから、完全親会社以外に株主となる可能性を秘めた人が1人でもいることは目的に反します。
したがって、この人を、ある意味排除する必要があります。
 
具体的には、会社Aの新株予約権付社債を保有する債権者から、この社債を取り上げてしまい、その代わり会社Xの社債としてしまいます。
こうすれば、上記の「会社Aの株主となる可能性を秘めた人」を完全に排除することができます。
 
しかし、債権者の側からみれば、これは債務者が代わることを意味します。
免責的債務引受もそうでしたが、債務者が代わるというのは、債権者からすれば基本的に「えらいこっちゃ」案件です。
なぜならば、債務者が代わることで、“お金を返してもらえるかどうか”という立場がぐらついてしまうから。
 
したがって、この場合、債権者に異議を述べる機会を与える必要があります。
もっとも、以上の話は新株予約権付社債を保有する債権者に限り通用する話ですから、他の債権者については異議を述べる機会を与える必要がありません。
 
 
以上です。
どうだろう?