雷が発生しやすい季節と地域

 雷が発生しやすい季節と発生しにくい季節がある。また、雷が多い地域と少ない地域もあるのをご存知だろうか?なぜ季節や地域で雷の発生に違いがあるのか、雷はどんなサイクルで発生するのか説明する。

 太平洋側では、雷とは夏の夕立前に起こるもの、季節の変わり目に起こるものと思われることが多いと思われるが、全国的にも雷の発生が多い季節は、8月とその前後の月になる。

 雷が多い月は、8月/約37回(平均)、7月/約20回(平均)、9月/約10回(平均)となっている。逆に雷が少ない季節は、1月/1回(平均) 11月/12月4回(平均)10月/6回(平均)などとなっている。



 雷の発生が多い地域と少ない地域は、日本全国では、日本海側より太平洋側の方が発生件数が多くなっている。しかし、県別で見ると「石川県」が最も雷が多い県だ。石川県金沢市は雷が日本全国で最も発生率が高い。ところが、全国的には、雷は夏に多く発生するが、石川県では冬に多く発生することが分かっている。年間発生数、第1位は金沢市の37回以上/年、2位酒田市30回以上/年、3位高田市30回以上/年となっている。

 金沢と反対に、北海道では滅多に雷が発生しません。湿度が高くない、涼しい地域では滅多に雷は起こらないのは、イメージ通りといったところだろうか。雷年間発生数で、根室5日/年、帯広5日/年、釧路5日/年となっている。


 雷の出来るしくみに太陽活動も関係か?

 全国的には夏に雷が発生しやすく、日本海側は冬に発生しやすいという事が分かったが、どんな仕組みで発生するのだろうか?

 簡単に言えば、積乱雲の発生で急激な上昇気流が生じたときに、空気の摩擦により上空と地表近くに電位差が生じ、ある程度電気が溜まったところで、空中放電したものが雷の正体である。

 今回、武蔵野美術大学の宮原ひろ子准教授らは、日本列島で広域の雷が発生する周期が、太陽が自転する約27日の周期とほぼ一致することを見つけた。太陽の活動が盛んになると、雷の発生頻度も高くなっていた。太陽活動の地球大気への影響を詳しく調べることで、長期の天気予報の的中率を引き上げられる可能性があるとみている。

 研究チームは各都府県の気象台で観測した1989~2015年の気象データから雷の発生を割り出した。15県以上にまたがって夏に発生した広域の雷に約27日の周期があることを突き止めた。

 雷の周期は、太陽表面に黒点が増えるなど活動が盛んになると明確に表れ、黒点が減ると弱くなっていた。太陽活動が盛んだと広域にまたがる雷の発生数も増えていた。

 また、周期のパターンの時間的な変化を分析し、雷の発生パターンが南西から北東に移っていくことも確かめた。例えば長野県と比べた場合、九州や四国では1~2日早く雷が発生していた。

 これまでの研究から、赤道近くの雲の活動にも約27日の周期があるとわかっている。チームは10年ごろから太陽と雷の関係を追っていた。太陽活動の影響が低緯度から高緯度に伝わっているとの見方ができるという。

 太陽活動は現在穏やかで、宮原准教授は「雷の発生頻度が減っているかもしれない」と話す。


 太陽の自転が日本の雷に影響を与えている

 地球の空には風が吹き、海には海流が流れている。そのエネルギー源は太陽からの光だ。この光が熱に変わり、複雑なしくみで風や海流を生む。地球は太陽から熱を受け、温まった自分自身が、今度は逆に宇宙へ熱を放出する。

 その熱の出入りのバランスで、地球の気温は決まっている。地球の気候は、太陽と関係がある。周期的に訪れる氷期、間氷期も、太陽と地球の位置関係の変化に関係があるらしい。

 長い期間の気象の平均像である「気候」には、こうして太陽が影響を与えているとしても、では、降雨や雲の量といった日々の気象に対して、太陽の活動はどう関係しているのか。じつは、この点については、まだあまり研究が進んでいない。

 たとえば、太陽の自転が地球の気象に与える影響。太陽は約27日で、こまのように1回転している。これが太陽の自転だ。太陽の表面は均質ではないから、地球に届く紫外線などもこの周期で増減する。武蔵野美術大学の宮原ひろ子(みやはら ひろこ)准教授(宇宙気候学)らの研究グループが、江戸時代の記録から、日本の雷もこの「27日周期」の影響を受けていることを論文にまとめて発表した。


 江戸時代の記録を紐解く

 宮原さんらが使ったのは、青森県弘前市に残る「弘前藩庁日記」と東京都八王子市の「石川日記」。弘前藩庁日記には、現在の東京都心にあたる江戸の天気も記録されている。これらの記録から、5~9月に発生した雷を調べた。

 その結果、太陽活動が活発な時期に、八王子と江戸で、雷の発生数が約27日の周期で増減を繰り返していることがわかった。太陽活動が不活発な時期には、この増減は現れなかった。約27日の周期をもつ他の自然現象としては、月の満ち欠け、つまり月が地球を回る公転周期も考えられるが、宮原さんによると、太陽活動の活発な時期、不活発な時期で雷に「27日周期」が現れたり現れなかったりしたことが、太陽の自転周期と雷発生数との結びつきを示しているという。弘前での記録には、このような傾向はあまりみられなかった。

 宮原さんによると、1989~2014年の夏季のデータでも、九州から本州の中西部にかけて、雷の発生数に「27日周期」がよくみられている。これだけでなく、江戸時代の150年にわたる長期データを分析に使ったことで、太陽と雷の関係を示すことができた。太陽の自転が雷の発生数に影響を与える理由については、今後の検討課題だという。

 太陽の変動を扱う研究分野は、太陽物理学や宇宙線物理学など。一方、地球の雷や雲は気象学の分野だ。宮原さんらの今回の研究は、その学際領域といえる。最近は国も学際研究を奨励しているが、現実は、なかなか厳しい。

 米国で研究を続けている著名な日本人気象学者が、「私が海の話をすると、米国では当たり前に聞いてくれるが、日本では『なんで気象学者が専門外の海に口を出すんだ』という妙な反応に出合うことがある」とかつて話していた。また、学際的な新しい分野だと、論文を掲載できる専門誌が限られてしまう場合もある。いまもおそらく、学際研究を阻む壁はいくつもある。その意味からも、この分野の今後に期待したい。


 雲の発生と消滅のサイクルは3段階

1、雲が作られる 水蒸気を多く含んだ空気が、上昇するときに雲ができる。上昇気流が強くなると雲の上の方で雹がつくらて下降していく。

2、上昇と下降気流が繰り返される

 最初の上昇と下降を繰り返すことで対流が発生、こうして、激しい下降運動と強い上昇気流のサイクルを繰り返して積乱雲のような雲が発達する。

3、雲が消滅する

 上昇気流が衰えると、雲の成長は止まり、最後は下降気流となって、雲が消滅する。

 夏に雷が発生しやすい地域の仕組みは?

 夏は太陽熱で地上が温められるので、午後になると上昇気流が発生しやすくなる。この上昇気流で積乱雲が作られ、一気に成長、一定の条件が揃うと、蓄電された雷が放出される。というサイクルで雷が作られる。

 また、このときに貯った水分が放出されて大雨に変わる。これが夕立である。

1、地上が温められて上昇気流発生

2、上昇気流が強まり積乱雲ができる

3、一定条件が揃うと放電

4、許容量を超えた水分も放出されて雨が降る

 注目したいのは、雷が多く発生する地域は、雪の多い冬の初め頃の日本海側。太平洋側の人には雪の日に雷を伴うなんて想像もできない事だ。

1、大陸から冷たくて乾いた季節風が日本に向かって吹く

2、日本海に温められた季節風が水蒸気を含んで、日本海沿岸に到来

3、水蒸気を吸い上げるとき上昇気流が発生して雲が作られる

4、日本の山にぶつかって雲が停滞、湿った季節風と上昇気流が続く

5、一定量を超えると雷が発生、雨の代わりに雪が降る

 こうして、雷は夏に発生するものという地域と、冬に発生するものという地域ごとの違いと、季節の違いが生まれる。四方を海に囲まれた日本ならではの気象現象なのだ。


参考 サイエンスポータル:https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2018/05/20180511_01.html


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