■韓国の「家族の情の絆」の強さ描く戦争映画として!*´▽` | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


「成功確率5000:1~仁川へ行く道を開かなければならない」


今回は、私が諸手をあげて感動した歴史映画『仁川上陸作戦(인천상륙작전)』(イ・ジェハン監督、7/27公開)です。6・25韓国戦争において、今日の韓国を地上にあらしめたマッカーサー国連軍の「仁川上陸作戦」を成功に導く突破口を開いた、「X-RAY作戦」を描いた映画ですね。観客数は700万人を超えて大ヒットしました。ヾ(≧∇≦)〃♪


前回ご紹介した『徳恵翁主』と同じように、史実に想像力を加えてつくった「ファクション(Fact+Fiction)」として演出である部分が大きいのですが、しかし前回の映画の演出がとても不自然であったのに対して、こちらは何よりもいおうとしていることが、最も腑に落ちる韓国的、韓国文化的テーマであって、観ていて胸がすくような思いがしました。すなわち、結論からいうと、「家族の情の絆」というコードによって、北朝鮮との闘いにまつわる政治や思想、理念の問題を超克するという話になっていたわけですよね。



●「X-RAY作戦」の史実はこんな感じ


1950年6/25に北朝鮮軍が南侵を始め、一気に釜山を残して韓国のほぼ全域が北朝鮮軍によって占領されますが、同年9月、敵の背後を打って補給線を断つ国連軍の「仁川上陸作戦」が成功することで戦況は逆転します。この「成功率5000:1」といわれた作戦を成功させるために行われたスパイ活動が「X-RAY作戦」です。


実際の史実のほうでは、「X-RAY作戦」はマッカーサーの指示を受けた韓国軍が、林炳來(イム・ビョンネ)海軍中尉を中心とした兵士6名に民間人7人を加えて特殊工作隊を編成し、隊員たちは8/18早朝に釜山港を出発、6日後仁川に到着します。そして戦争勃発前に情報局の地下組織要員であった情報源に接触して包摂し、仁川海岸の砲台の位置、兵力配置、規模、火力などの情報を収集。さらに月尾島に潜入して、北韓軍官2名を拉致して詳しい情報を聞き出すことに成功します。これらの情報はすぐに9/1、永宗島に到着した米軍情報局所属クラーク海軍大尉に伝えられ、そのままマッカーサーに送信されて、これをもとに9/15、「仁川上陸作戦」が決定されるわけです。


作戦成功により「X-RAY」隊はすぐに全員撤収を命じられ、9/14早朝に霊興島に集結しますが、そこで北朝鮮の一個大隊に奇襲攻撃を受けて、林炳來と一人の一等兵が、残りの隊員を逃がして抵抗を続け、最後は二人とも退路を失って自決しています。捕まって情報流出することがないようにという判断によるものでした。以上が、事実のほうですが、映画はこの基本ラインに従いながらも、かなりの劇的な脚色がなされています。



●最も韓国的コード通して答えを導く


何より、中心を流れるテーマはすでに述べたように、「家族の愛」です。北朝鮮側の敵が何度も口にする言葉が、「理念は血よりも濃い」という、いわばイデオロギーによる人間らしさの否定であるわけですが、映画はそれに対して見事に反論してみせ、いわば「血は理念よりも濃い」のだということを痛快に証明してみせるわけです。


まず物語の最初に、敵たちの酒の席のシーンがありますが、そこで、イ・ボムスさん演じる敵の司令官リム・ゲジンが、「自分が尊敬するソ連のモスクワ共産大学のミチコフ教授が、自らの妹を、キリスト教を信じるという理由で、3発の銃弾を頭に撃ち込んで殺した」という話をします。そして、スパイとして潜入しているイ・ジョンジェさん演じる主人公チャン・ハクスや、チン・セヨンさん演じるヒロインに対して、「あなたならどうするか?」と問いかけていくわけです。さらには実際にその後、同じような選択を迫られる状況も展開します。


また、最初から最後まで問いかけられるもう一つの問いが、リーアム・ニーソン演じるマッカーサーが、なぜこの無謀ともいえる賭けである「仁川上陸作戦」を強行したのか、という疑問なわけですが、それもこの映画の中では、その同じ中心テーマと重ねて答えが出されています。


全体的に映画は、親子の情、夫婦の情、兄弟の情を中心とした韓国的なコードを前面に立てることによって、現在の北朝鮮という国の体制がいかに不自然な状況に陥っているかということを明確にしてくれます。それは、共産主義という理念・思想によって人工的につくり上げられた非人間的体制であり、それがいかに非韓国的状況であるか、を浮き彫りにしながら、それを通して、北朝鮮の国家内部における悲惨さというものもまた浮き上がらせています。


何より深刻な諜報映画として、イ・ジョンジェさんとイ・ボムスさんの緊張感あふれる駆け引きが見事であり、アクションでは、チュ・ソンフンさんこと秋山成勲さんとジョンジェさんの格闘シーンもカッコよかったです。そしてラストが感動的でした。まさに演出された「ファクション」的ラストでありながら、やはりこのくらいに描く価値がある歴史的題材ではなかったかと思わされ、納得させられました。お勧めです!ヾ(≧∇≦)〃♪



【あらすじ】 1950年6月25日、北朝鮮の奇襲侵攻でわずか3日でソウルが陥落、1か月で洛東江地域以外の朝鮮半島全地域を奪われた大韓民国。国際連合軍の最高司令官ダグラス・マッカーサー(リーアム・ニーソン)は、反対の中で仁川上陸作戦を推し進める。


成功率5000:1、不可能に近い作戦。それを可能にするのはただ1つ、仁川へ行く道が確保されなければならない。


マッカーサー将軍の指示で、対北朝鮮諜報作戦「X-RAY」に投入された海軍諜報部隊の大尉チャン・ハクス(イ・ジョンジェ)は、北朝鮮軍に偽装潜入して、仁川内の動態を観察、情報を収集する。


しかし仁川の防御司令官リム・ゲジン(イ・ボムス)によって正体が暴かれる危機に面したチャン・ハクスと彼の部隊員らは、状勢を変えるただ一度の機会、ただ1日の作戦のために、仁川上陸艦隊を誘導する危険千万な任務を遂行するが…。


歴史を変えた秘密連合作戦、そのスタートはまさに彼らであった!





























映画『仁川上陸作戦(인천상륙작전)』(イ・ジェハン監督、7/27公開)予告編。

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