ちょうど6年前に担当していた、連載「フィンランドの学校で」。
改めて、いろいろな人に読んでもらいたいと思い、
最終回を、ここに掲載したいと思う。
****************
十人十色の子どもたちと向き合うアハティ先生。オウルヨキ小学校4年生の体育の授業で。
「『白』という言葉は何色だと思う?」という先生の問いかけに、とまどいもせず答えていたロヴァニエミの高校の友人たち。その姿を不思議に思い、フィンランドの教育の根っこの部分を知りたい一心で、小学校へ授業参観に通うようになって十ヶ月がたちました。
バラエティーに富んだ授業の数々、そこで生き生きとした表情を見せる子どもたちを見て、思いました。豊かな想像力や自由な発想力は、学校教育によって植えつけられたものではなく、子どもたち自身がもともと持っていたものなのでしょう。そして、学校という空間は、その力を活かす課題を常にあたえることで、ますます感性にみがきをかけているのです。
さらに、支えてくれるのは、自分では思いつかないようなアイデアで刺激をくれたり、感情的ではない冷静な意見で新たな視点をくれたりする友だち。
「まちがっても構わない。大切なのは、そこから何かを学びとること」と、はげましながら見守ってくれる先生。
子どもたちの個性は、決まった型にはめられることなく育まれ、さまざまな形になっていきます。個性がたがいにちがえばちがうほど、うまく協力できたときには、ゆるぎない大きな力を発揮できます。そしてそのときこそ、一人ひとりが、社会にとってかけがえのない存在になるのです。
一人ひとりの成長を、その子に合った最良の方法でサポートする点は変わらないまま、先を見すえて、フィンランドの教育は進化していくことでしょう。自分が自分であることに喜びを感じられる、そんな未来が築かれていくのをこれからも見続けていきたいです。
2008年12月21日 朝日小学生新聞掲載
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この回を最後に、朝日小学生新聞の
連載「フィンランドの学校で」は、終了。
9ヶ月続いた連載のまとめであるため、
これだけ読んでも
漠然とした印象しかないかもしれない。
授業の具体例などについては、
このブログのテーマ
「連載『フィンランドの学校で』朝日小学生新聞」をクリックして、
さかのぼって、ぜひ読んでみてほしい。
この目で見たもの
この心で感じたもの
この連載では、語りきれなかったことはたくさんある。
自分の中で十分に消化して、
近い将来何らかの形で
それを伝えることができたらと心から思う。