最終回⑲自分が自分である喜びを感じる | 青い光が見えたから - 16歳のフィンランド留学記

青い光が見えたから - 16歳のフィンランド留学記

「青い光が見えたから(講談社)」の筆者、高橋絵里香による
フィンランドの暮らしの記録。

ちょうど6年前に担当していた、連載「フィンランドの学校で」。



改めて、いろいろな人に読んでもらいたいと思い、

最終回を、ここに掲載したいと思う。



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十人十色の子どもたちと向き合うアハティ先生。オウルヨキ小学校4年生の体育の授業で。



「『白』という言葉は何色だと思う?」という先生の問いかけに、とまどいもせず答えていたロヴァニエミの高校の友人たち。その姿を不思議に思い、フィンランドの教育の根っこの部分を知りたい一心で、小学校へ授業参観に通うようになって十ヶ月がたちました。


バラエティーに富んだ授業の数々、そこで生き生きとした表情を見せる子どもたちを見て、思いました。豊かな想像力や自由な発想力は、学校教育によって植えつけられたものではなく、子どもたち自身がもともと持っていたものなのでしょう。そして、学校という空間は、その力を活かす課題を常にあたえることで、ますます感性にみがきをかけているのです。


さらに、支えてくれるのは、自分では思いつかないようなアイデアで刺激をくれたり、感情的ではない冷静な意見で新たな視点をくれたりする友だち。

「まちがっても構わない。大切なのは、そこから何かを学びとること」と、はげましながら見守ってくれる先生。


子どもたちの個性は、決まった型にはめられることなく育まれ、さまざまな形になっていきます。個性がたがいにちがえばちがうほど、うまく協力できたときには、ゆるぎない大きな力を発揮できます。そしてそのときこそ、一人ひとりが、社会にとってかけがえのない存在になるのです。


一人ひとりの成長を、その子に合った最良の方法でサポートする点は変わらないまま、先を見すえて、フィンランドの教育は進化していくことでしょう。自分が自分であることに喜びを感じられる、そんな未来が築かれていくのをこれからも見続けていきたいです。



2008年12月21日 朝日小学生新聞掲載


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この回を最後に、朝日小学生新聞の

連載「フィンランドの学校で」は、終了。

9ヶ月続いた連載のまとめであるため、

これだけ読んでも

漠然とした印象しかないかもしれない。


授業の具体例などについては、

このブログのテーマ

「連載『フィンランドの学校で』朝日小学生新聞」をクリックして、

さかのぼって、ぜひ読んでみてほしい。


この目で見たもの

この心で感じたもの

この連載では、語りきれなかったことはたくさんある。


自分の中で十分に消化して、

近い将来何らかの形で

それを伝えることができたらと心から思う。





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