読書「人工知能の核心」羽生善治 | 逆木 圭一郎ナノブロックブログ

読書「人工知能の核心」羽生善治



「人工知能の核心」
著 羽生善治 NHKスペシャル取材班

この本は、NHKスペシャルで2016年に放送された、「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」の取材を踏まえて書かれた本です。

番組も見たんですけど、面白い番組でした。

改めて羽生善治と言う人は凄い人だなぁ、と思います。

人工知能、AIに関しての造詣の深さ、考察の鋭さは凄いです。

専門の将棋を土台にした考察から始まるのでしょうが、人工知能の発展に関しての知識量も凄いし、そこから繰り出される考察は、羽生竜王の将棋の一手のような鋭さがあります。

人工知能と人間の将棋の対戦について聞かれた羽生さんは、「今はウサイン・ボルトぐらいなので、勝つのは不可能とは言えないんですけど、そのうちフェラーリぐらいになって、勝負にはならないでしょう。」(引用は正確では無いかもしれないけど。)と答えていて、なるほどなぁ、と思います。

で、将棋の勝負と言う狭い範囲では無くて、人工知能と人間の将来のあり方に思いを馳せる辺りが、羽生善治さんの凄い所です。

人工知能は人工知能として、きちんと寄り添えば、とても有効な人間のツールになると、羽生さんの展望は明るいんですね。

勿論、核兵器並に危険なツールであることも指摘されてはいますが、結局は人間側の問題だとも言われれています。

この一種の明るさと人に伝えるコミュニケーション力は、棋士には珍しいタイプなのかなぁ。

つい先日藤井聡太六段(当日はまだ五段)に破れた事は、大きなニュースになっていましたが、きっとまだまだ盛り返して来る人なんじゃないかと思います。

まぁ、羽生善治竜王に勝っちゃう藤井聡太六段も凄過ぎるけど。

とにかくこの本は、羽生善治さんの易しい語り口で、ややこしい内容を扱いながら、サッと読めてしまう本になっています。

AIはこれからどのような世界を作って行くのか、予想は難しいですけど、(インターネットの普及を予想したSF小説は無かったと思う。)

恐らくAIが本当に普及した時は、あまりドラマチックな展開は無いのでしょう。

今は当たり前にこのようにブログを書き、Twitterに呟いていますが、インターネットがここまで身近に普及しても、インターネットどころか、コンピューターが「電算機」だった頃と比べても、人間の生活には、ドラマチックな変化はありませんでした。

既に「スマートスピーカー」と言うAI搭載の機器が発売されていますが、まだまだ黎明期の雰囲気ですよね。

インターネットがまだ、電話番号に電話をかけて、「ピー、ゴロゴロ。」とスピーカーとマイクを通して通信していた頃みたいなものです。

これからAIはどこまで行くのでしょうね。

sakagi keiichirou     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー