映画を見る前にまずは原作からと思い、

久々に文庫本を書店で買った。

 

桐島、部活やめるってよ(著:朝井リョウ) 」が面白かったので、

期待感は大きかった。

前回は映画の方を先に見て、

何だかな、と思ったところから読み始めて、

これはさすがにいいなと思ったので、

今度は逆に攻めてみる。

主役級の旬の役者が揃った映画の方にも、

それだけ期待感が大きいということだ。

 

読み始めて少しの間だけ、

これは期待外れだったかな、と思ったが、

読み終えた感想は、「面白い」に変わった。

特にラストスパートの迫力と、

ラストシーンに漂う余韻。

さすがは直木賞だった。

 

一般にいうところの最終学年前の3月から、

最終学年の4月という時期。

就活が本格化する時期が、、

様々な事情で毎年のように変化しているので、

学年によってはピンと来ないなんてこともあるかも知れないが、

とにかくその時期、

同学年の男女5人とそれを見守る先輩と、

顔は出さないけれど重要なポジションにいる、

大学を辞めてしまった同級生の7人が、

自分たちの人生を始める物語である。

 

それぞれに守りたいプライドや想いがあって、

「普通そうだろう」

ということを、

その通りにすることというのは、

実は簡単ではない。

 

目の前にいる人と、

ラインやツイッターで会話をする場面は、

笑えるようで笑えないものだ。

SNSを使わず、

用があったら電話して、という、サワ先輩にしても、

どこか時代の本流からズレるところがあるし、

何もかもうまくやっているように見えるコウタロウも、

生真面目に生き辛い想いを抱えていたりもする。

裏アカで吐いた毒に刺されるタクヤの痛みは、

僕の心にも同じようにきつく刺さった。

 

そうしないと自分の今をを支えられない、

うまくいかない自分を、

どうにか正当化する為に必要な抵抗は、

必要悪に相違ないと思っていたが、

それが毒になってしまっていたことが、

思いがけないほど多い。

 

思ってることが、滲み出てるだよ。

そんなやつ、欲しいと思う会社があると思う?

 

リカの放った言葉が、リカ自身にも突き刺さる。

 

だけど、

そんな風に突き刺しあったから、

溜まった毒を、目の前のキミに浴びせて、

そしてその返り血を浴びたから、

今日、今までと違う一歩を踏み出せた。

 

それが人間か。

それが青春か。

心から、寂しい。

 

 

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