難聴の遺伝子検査-3- | 難聴ブログ もしも願いが叶うなら

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難聴の遺伝子検査-2- より続きます。

遺伝子検査をする事によるメリットとデメリットについて。


遺伝子検査は、難聴に限らず、引き継ぐ可能性のあるもの、引き継いでいるもの、

その症状の発現の有無、進行、予後を知る事が出来ます。

これによって、メリットは、早い段階で予防、対策、準備に向けて動けると言う事です。


将来的に発現する可能性の高い病気に対して、因子を取り除き確率を下げる事。

体質的に発現しそうと思われる事に対して、生活を考え直し確率を下げる事。

既に発症していても、その状態が、将来、どのように進行するのか、

その進行を抑える治療が残されているのかどうか。

既に発現している症状が、そのまま重篤な症状に進行する事が避けられない場合、

今、その時に向かって、何を準備し、何を身に付けておくべきか。

自分がどういう保有因子を持っているのか、その内容によって将来的な人生の在り方。


デメリットは、知ってしまう事になる、これに尽きると思います。

人にとって、知っていれば何か手が打てたかもしれない、と後悔する事、

こんな事は知らないでいたかった、不安を感じ、恐怖を感じる事、

知ってしまった事により、早い段階で求めてはいけない事が出て来る可能性。

生命保険の加入、婚姻の障害は影響が大きいかと思います。


人生は、知っている未来を歩んでも夢も希望も楽しみも無く、意味が無い。

だけど人生は命が尽きては何も望めない。


遺伝子検査をした結果、得られる内容は必ずしも悪い結果に繋がるわけではないですし

何も問題ないですよ、と言われれば全てが取り越し苦労のようなもの。

それでも、この検査を受ける人は受けるなりの必要性を既に感じる情況であると言えます。


何故、自分はこの検査に必要性を感じ、決心したのか。

それは自分の血縁による情況によるものが、まず1つです。

自分の父が中途失聴者です。実兄も軽度~中度難聴者です。

自分自身も中途失聴者です。我が子2人の内の一人が中等度難聴者です。

記憶の限り、他の血縁関係内では、老化による自然的な聴力低下以外に

難聴状態の人はおりませんし、聞いた事もありません。


我が子は10代前半の早い段階で難聴が発覚しましたが、

自分の父も、自分も実兄も、成人後、いわゆる大人になってからの発現です。

特に自分の場合、父と難聴から失聴に入る年代が似ております。

3世代に渡り難聴を発現する事を偶然と言い切るには疑いがあります。


息子の難聴が、この先、どんな情況になっていくのか。

また、今は、健聴である娘の方も、自分がそうであったように、

成人後から兆候が出ないとも限りませんし、何事もなく済むかも知れません。

既に失聴してしまった自分が、これからの病状がどう進行するか、と言うのは

もう進行も何も…と言えますが、幼い子供達の人生はこれからです。


人間として、メリット部分もデメリット部分もどちらも当然感じます。

不安を抱かないわけがない、悲観を感じないわけがない、自分を責めないわけがない。

ですが、自然な流れで言いますと、親はその子供の親であり、子供に対しての責任がありながら

子より先に歳を取り、子より先に逝くわけです。

自分がいなくなった後、子供が誰かの協力や助けを得られるよう、生活していけるよう、

精神面でも、金銭面でも、人脈でも、準備出来る事はしておきたい。

いざ直面した時に、急いで始めようとしても、経験上、精神的ダメージはかなりのものです。

動くに動ける心境ではない場合も多いですから、

そっと、親が子に出来る事として、心構えを持ちたいと思っています。

自分が恐れる「その時」は来るかも知れないし、来ないかも知れない。

遺伝子検査をしたからと言って、それを100%の現実に起こり得る事と構えるのではなく、

それが、自分が親として出来る責任だと思っています。


子供は面談に同席していましたので、流れ的にはわかっているようですが、

自分の状態が将来どうなるかを知る可能性、原因が判明するかも知れないと言う事までは

まだまだ真の意味として捉える事は難しいでしょう。

大人であっても、難しい問題なのですから。

結果報告を聞く時には、子供は同席させるつもりはありません。

そこまでの判断と精神を兼ね揃えるにはまだ幼いと言えますし、

医師がどう言う言葉で表現するかも実際にその時にならないとわかりませんので。

成長や情況に伴い、自分から様子を見つつ、話そうと思っています。


ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝子検査により

乳癌の発症確率が高かった事で、予防として乳房切除をした事は当時かなりの話題でした。

その時点では、まだ何の発現もしていない健康体の体で乳房切除と言う、

女性にとってはかなりの思いが無いとなかなか出来ない事かと思います。

この予防行為が必ずしも将来的に乳癌のリスクを0%にするとは言い切れませんし、

他の癌が起きる可能性だってありますし、

もっと別の事で生命に差し障る出来事が起きないとも限りません。

予防して自分自身が無事リスクから開放されたとしても、

その子供には遺伝として引き継がれる可能性もあります。


メリット、デメリットと言う表現はしましたが、何をメリットと捉え、デメリットと感じるか

それは人それぞれですし、どうあるべきだとか、間違っているとか、

これが正解な解答です、というものは無いと言う事だと思います。


今現在では遺伝子レベルでの傾向、予測、原因などの判別が出来る時代になって来ている事で

検査により予防対策などの措置を可能に出来る事があっても

遺伝子レベルからでの、前もっての治療の確立はされておりません。

設計図とも言える遺伝子を人為的に操作出来るようになる時代は

いつか来るかも知れませんが、人為的に操作される事は生あるものとしての

道理に反する、自然に反する、と言う考え方もあれば、

希望と捉える考え方もあると言う事だと思います。