5月下旬特選映画【15】★映画のMIKATA「メッセージ」★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

 





5月下旬の特選映画をアップロードします。今回下旬で5本を映画館で観賞、今月5月は通算で8本、邦画3本『無限の住人』『追憶』『帝一の國』、洋画5本『カフェ・ソサエティ』『ノー・エスケープ/自由への国境』『スプリット/SPLIT』『メッセージマンチェスター・バイ・ザ・シーを観賞しました。選んだ特選映画1本は、『メッセージ』でした。


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1本目は、1930年代の都会、野心的な成功を秘めてニューヨークの青年ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、ハリウッドで映画業界の敏腕エージェントで活躍している叔父フィル(スティーヴ・カレル)のもとで働き始め、ハリウッドの社交界(カフェ・ソサエティー)にデビューする。そこでフィルの秘書・ヴォニー(クリステン・スチュワート)の美しさに心を奪われ結婚まで空想するが、彼女は彼女で密かに交際中の別の男性がいた。さらに、ボビーはボビーでもうひとりの美女ヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)と出会い、恋の行方に戸惑うという、いかにも男と女の社交界のロマンティックコメディ映画『カフェ・ソサエティ』(2016年、ウディ・アレン監督)でした。


ミッドナイト・イン・パリ(2011年)、『マジック・イン・ムーンライト』(2014年) など、ウディ・アレン監督の作品は何本か見ているのだが、ほとんど見ていないも同じなので、率直に行ってウディ・アレンの作品は、よく分からないのです…しかも、さほど私は面白いと見たことがないですーネ。それがフランス映画だ、男と女の洒落た縁と繋がりを描くことがフランス映画の真骨頂さ…と言われると、面目ないです。誰か?ウディ・アレン作品の面白さを教えてください…。
 

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メキシコとアメリカの国境地帯を密入国しようと、ひたすら灼熱の砂漠を歩き続けるメキシコ移民たちを、何者かが次々とライフルで狙撃する気味悪い映画です。2本目は、ただただ生き延びるためにアメリカを目指して逃げ惑うサバイバル映画『ノー・エスケープ/自由への国境』(2015年、ホナス・キュアロン監督)でした。ちょうど、メキシコ人や中東移民に限らず、アメリカの移民たちが置かれた今の絶望的な状況を映画化したと言って良いです。それこそ、映画は今の現実を映す映像です。


『ゼロ・グラビティ』で宇宙空間の狭間で人間存在の生きる意味を覚醒する映画を製作したアルフォンソ・キュアロンがプロデュース、息子のホナス・キュアロンが監督を務めた今作では、砂漠の懸命に生きるサバイバルスリラーを制作した。でも、そこから伝わるメッセージは、アメリカは、果たして未だ命を懸けて国境の砂漠を不法入国するほどの、魅力的で自由で、可能性を秘めた国家なのか…という、疑問を持たざる負えないです。自由と平等と平和と博愛を掲げる移民にとっても、アメリカ人にとってもアメリカ建国の存在意義を根底から揺るがす作品ですーネ。

 

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高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)と、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)と、クレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)は誕生パーティーの帰りに、駐車場から見ず知らずの男(ジェームズ・マカヴォイ)に拉致・誘拐、監禁され、三人は、薄暗く狭い密室で目を覚ます。頓珍漢で奇妙な会話する男がドアーを開け、誘拐されたことを知る。3本目は、時にデザイナー、時に少年、時に女性などの複数の人格を共有する多重人格の男(ジェームズ・マカヴォイ)に幽閉される誘拐&スリラー映画『スプリット/SPLIT』(2017年、M・ナイト・シャマラン監督)でした。
 

さてさて、シックス・センス』を製作したM・ナイト・シャマランが、新しくどんなスリラーを監督したのか興味津々でした。が、つまらなくはないが、私にはとても傑作とは言えないな…と見ました。多重人格の誘拐映画か…と、チョットまあーネ、ナイト・シャマランの映画の限界を見たような気がしました。


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世界各地12か所に正体不明の未知の円錐状卵型の宇宙船が地球外から現れ、世界中を震かんさせ、地球を謎の混乱に陥れた。4本目は、地球外生命とコンタクトを取るために言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)と、数学者のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)が、アメリカ軍大佐のウェバー(フォレスト・ウィテカー)より宇宙人の正体を解明する密命を受ける『メッセージ/ARRIVAL』(2016年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督)でした。



果たして地球への飛来の目的は何か、地球侵略のためなの…か、宇宙人の船体内部に入り探索、黒い煙のような円環を恰も文字のように吐き出す、未知の得体のしれない言語を持つ生物とコミュュニケーションをとり始める。テッド・チャンのSF短編小説『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF、公手成幸 翻訳)を基にしたSF映画なのだが、最後の「理由と目的」、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と目的、人類に向けられた驚愕のメッセージだと判明した時に、私はエ~と啞然としながらも、原作者とドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督の鬼才ぶりに感心しました…。 今迄にない未知との遭遇の映画と、従来の宇宙人対地球人の出現は、『インデペンデンス・デイ』(1996年、ローランド・エメリッヒ監督)に代表されるに地球の侵略でした。『世界侵略: ロサンゼルス決戦』(2011年、ジョナサン・リーベスマン監督)も『第9地区』(2009年)も敵対する宇宙人の侵略戦争でした。侵略戦争の既存の通念を覆して、地球人の一体感を演出していました。ところが、『メッセージ/ARRIVAL』の真相は、彼らは3000年後に人類から助けられたため、贈り物をするのだというメッセージをルイーズに告げる…もので、した従来の宇宙人の侵略戦争映画と比較した時に、「ET」だけが例外でした。その意味は、冒頭の娘の誕生と病死のルイーズの過去の悲しい生活史の映像のストーリによってはじめて分かりました。バンクス博士は、結婚し妊娠する以前から娘と自分と人生の全てを、現在いま、時間的に未来の時制に属するイメージを、宇宙人よりメッセージとして受け取っていたのでした…。チョット、原作の翻訳を読みたくなった作品でした。

5


5本目は、ボストン郊外で暮らす便利屋リー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャン
ドラー)の急死を機に帰郷し、16歳の甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人として一度離れた故郷に戻り、世話をする内に、子供たちの焼死の悲劇と、家族を一瞬で失った自身の抱えるトラウマと向き合う家族ドラママンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016年、ケネス・ロナーガン監督&脚本)でした。


リーの心の奥に秘められた心理的な謎解きのこの映画製作にマット・デイモンがプロデューサーとして参加している、ということ以外、大して特徴のない作品でした。敢えて見どころを挙げるとするならば、友達とバンド演奏を楽しみ、ガールフレンドを何人も持ち、バンドのボーカルの女の子とセックスを楽しみ青春を満喫している甥のパトリックに対して、子供たちを焼死させた罪悪感と、生き残った酒浸りの妻だった家族を捨てて故郷を離れて孤独な生活に自分を閉じ込めた暗い人生観との対比と映像描写は、見事だなと感心しました。






下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。  6/8の放送では、『メッセージ/ARRIVALのようです。木曜日を楽しみに待っています。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68  




(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)