前回,社会的証明が,通常私たちが意識している以上に強力であることを書きました。
これは前にも書いたことですが,①ゴミが全くない,②ゴミが1つだけある,③ゴミだらけの状況のうち,人がゴミをポイ捨てする確率が一番低いのはどれかという実験がされたことがあります。
一番低かったのは,②だったそうです。
①ゴミだらけだとゴミを捨てることが許されると判断する,③ゴミが全くないと捨てていいのか悪いのか判断が曖昧になる,②ゴミが1つだけの時が基本ほとんどの人が捨ててないと分かる状況で1つだけゴミがあることによりゴミを捨てることの酷さが際立ち,ゴミを捨てるまいと考えるそうです。
いずれにしても,こうした結果が出ることからも,人が,自分で意識している以上に,正しさの判断を他人に依拠していることが分かります。
前回はニューヨークの殺人事件の事例を挙げましたが,他にも,有名人などが自殺をした報道がなされると,その報道がなされた地域についてのみ,事故の発生件数が増加するという現象があります。
そして,その自殺が単独のものであれば単独の事故,殺人を伴う複数の死者が出るものであれば複数の犠牲者が出る事故が増えるそうです。
これも,著名人の自殺をまねて,事故を装った自殺が行われたものであり,やはり社会的証明の原理によるものだと推測されています。
さて,社会的証明が強力であることは,弁護士の仕事をしている中でも感じます。
交渉案件では,色々条件を詰めて,最終的な合意を目指すわけですが,単に損得を説明するだけでなく,同種の事案で同様の解決をした人がいるということを示した方が,功を奏しやすいです。
これは必ずしも相手方との交渉の場面においてだけでなく,依頼者との方針決定の打ち合わせにおいても感じられます。
最終的な依頼者の利益のためにはある面では損切りをした方が良いものの,本人としては感情的な部分でなかなか踏み出せない場合,やはり客観的な損得を説明するだけでなく,同種の事案で同様の解決をした人がいることを示した方が納得いただきやすいという面があります。
こうしたことも,人が客観的証拠以上に社会的証拠を重視していることの現れだと思います。
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