修習生の時,実務修習は,裁判所(刑事部)→検察庁→裁判所(民事部)→法律事務所の順番でした。
で,裁判所の民事部での修習中,記録を読んだ上で裁判を傍聴するわけですが,一方の書面が出て,相手の弁護士に裁判官が反論の書面を出すのにどれくらいかかりますか?といった質問をした際に,1ヶ月というのが普通でした。
そのとき思ったのは,えっ,この書面に対する反論に1ヶ月もかかるの???
証拠関係とか,これまでの流れからすれば,2,3日で書けるじゃんと。
しかし,法律事務所での修習,そして,自分が弁護士になって思ったのは,1ヶ月もなかなか厳しいということ。
というのは,裁判所にいる修習生の立場からすれば,その事件だけを個別にみてるわけですが,弁護士がかかえてる事件はそれだけではない。
一般民事を中心に扱っている弁護士であれば,少なくとも30件くらいはかかえていると思います。
なので,締切りの近い案件から順に処理をしていく関係上,その案件自体は数日でかけるものであっても,1ヶ月はかかるのです。
私の現在の案件も,40ちょっとくらいです。
なかには50件,60件を抱えている先生もおられるようですが,私は,これくらいが限界です。
複雑な案件,容易でない案件,特殊な案件を喜々として引き受け,拘り抜いた仕事をするという性質から,これ以上受けたら間違いなくパンクします。
もちろん,本来,単純な数字は意味がないです。
例えば,債務整理系なんかは定型的処理ができるので,仮に100件抱えてもまわっていきます。
また,同じ1件であっても,簡単に終わる案件もあれば,それこそ総計何百枚もの書面を出すことになる案件もあります。
ただ,債務整理系に注力するわけではない一般民事系の弁護士が,多くの案件を抱えると,だいたい平均化されて,私としてはおおよそ40件くらいというのが質を確保できるおおまかなラインになるんじゃないかと。
まあ,本当は数字ではそこまで限定できないんですが,質を確保するためには,量を制限することはやむをえないと思います。
弁護士になった当初,相当のキャリアがあったりする先生がなんでこんな稚拙な書面を出すんだと驚きました。
おそらく,これって,熱意のある新人弁護士の多くが初期の段階で感じることじゃないかと思います。
で,色々考えてみたんですが,おそらく案件を多く抱えすぎてるから,一件一件がぞんざいになってるんじゃないかという一応の推論に。
善意解釈ですが,どうしてもと頼まれてキャパシティを超える案件を受けているだけで,本来はこんなもんじゃないと信じたい。
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