冬の終わりと春を告げる作業に雪割りや氷割があるが、本日は氷割りの話である。
まもなく春とはいえ、圧雪が固まり硬く氷盤化している地面が方方にある。
氷は温度により硬さを変える。
気温や地温が氷点下の場合の氷は非常に硬い上に、地面に強く密着していてツルハシ等を打ち込んでもなかなか剥がれない。
しかし、今時期のように日中の温度がプラスになってくると、氷盤と地面の間の氷が融けてくる。
そのため、氷盤が地面から浮いた状態になる。
特に氷床の末端部は1センチ程地面から浮き上がっていて、薄い氷盤なら足で踏むと簡単に割れる。
こうなると、絶好の氷割りの時となる。
まず、足かカケヤで氷床の先端部を割る。
次に踏み割った氷床の先端に続く、第2の氷床の先端の氷と地面の間に鉄製のスコップを突っ込むと面白いように氷が剥がれてくる。
氷を剥がしていくに従い、内部まで暖気が届いていないため、氷と地面が密着してくる。
そこで氷床の厚さと硬さに応じて、道具を使い分けることとなる。
氷床の上に圧雪が覆っている場合は、ツルハシ等を打ち込んでも刺さるだけだ。
この場合、まず、刃が厚くて長い鍬で雪を削ぎ落とす。
次に地面近くの固く凍りついた氷盤をツルハシ等で割っていく。
この作業が、寒中の氷点下と違い“氷が地面に固着していない”ので非常に楽なのだ。
一見単純に見えて実際単純な作業ではあるが、氷を見極める長年の経験の差により、作業の捗りが違うのである。
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