くらい樹のトンネルをぬけて | 4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

アメリカ暮らし漫画と昔の日本での愛犬物語です。

 

 こうして、森のカーテンというかもつれにもつれた網をようやっと抜けたら、今度は落ち葉でびっしり埋めつくされたくだり坂です。
その落ち葉は、いったい何年分つもったものか、底なしに深く分厚いのです。
 

落ち葉の道の両側には、大きな木々がひしめき、まっくろいトンネルをつくっています。
トンネルの道は、滑るようにくだっていきます。

くだり坂では、自然と足のはこびが速くなります。

だから、まるで何かが後ろから追いかけてくるような、へんな気分になるのです。

 

意味もなく怖くなったわたしは、さらに足を速めました。

でも、ピピはあかるい顔をしてそばにいて、いったいどんなふうに感じているのか、だまってスイスイ進んでいきます。

それが、わたしのおびえた心を支えました。

 

 ついに、出口の穴のような光が見えました。
トンネルの左がわの壁が薄くなり、その先にある水いろの空や、下の家々が透けて見えます。


そして、わたしたちはいきなり  

ぷっ!  

 と吐きだされ、新しくできた老人ホームの、広い敷地のはじっこに立っていました。

 

老人ホームは大きな明るい白い建物で、わたしたちは山を抜け、となりの地区に来たのです。