大阪副首都にふさわしい大都市制度を考える(終) 総合区案を見ていこう #大阪都構想 | 選挙バカ一代~衆院選、参院選、統一地方選~

大阪副首都にふさわしい大都市制度を考える(終) 総合区案を見ていこう #大阪都構想

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http://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/page/0000369027.html

色々あって連載が中断してました。
という訳で、今日は第4回副首都推進本部会議に提出された総合区案を見ていきます。

まず、市長と総合区長の役割分担。

市長は、市全体の事について引き続き行います。
すなわち、
 ・市長固有の権限に属する事務(予算編成、条例提案など)
 ・地方公共団体として実施する事務(計画策定など)
 ・市域の統一性・一体性が求められる事務(許可基準など)
です。

一方、総合区長は
 ・総合区の政策・企画の立案
 ・総合区域内のまちづくり
 ・総合区の住民の交流促進
 ・福祉・保健のサービス
 ・法令で総合区長が執行することとされた事務
 ・条例で定める主として総合区域内に関する事務
を担います。

基本的には、「区長権限の強化(一般職→特別職、担当事務について区長が指定都市を代表)」及び「区事務の拡充(局→区)」が目的です。

期待効果は二つ。
 1.地域の実情に応じた、よりきめ細かい行政サービスの実現
  ・住民の声をより直接的に施策に反映
   ・意思決定がスピード化され、より迅速かつ適切な住民対応
   がより一層期待される
 2.住民協働のさらなる促進
   ・住民協働による地域課題の解決
  がより一層期待される

一方、課題も二つあります。
 1.効率性の確保
  ・行政サービスの実施主体が局(1か所)から区役所
   (複数か所)に移ることで、職員数の増加などの非効率が
   発生する
  ※実現のスピードは速まるが職員数が従来より増える恐れがあるという事  
 2.専門性の確保
  ・専門性の高い事務を各区役所で実施するためには、専門的な
   知識や経験を有する職員の確保や専門的な業務ノウハウ等の
   維持が課題となる

という訳で、今後総合区案を実現させるにあたっては、3つくらい論点が出てくるように思います。
今回の案はそのたたき台となるものです。
論点とは、
 1.事務分担
 2.職員体制
 3.区割り
といったところでしょうか。

今回の案では、事務分担及び効率性の観点から分けた複数の案からなります。
まず、事務分担の観点から3つに分けています。
すなわち、「A案(現行事務+限定事務)」「B案(一般市並み事務)」「C案(中核市並み事務)」です。
そして、効率性の観点から、区の数を3案出しています。
すなわち、「5区:人口45万程度」「8区:人口30万程度」「11区:人口20万程度」です。
これは、恐らく基礎自治体は人口20~50万程度が適切という説を意識しているように思います。
現在大阪市内には区は24ありますので、半分以下になります。要は合区は避けられないという訳です。

なので、「5区案」「8区案」「11区案」それぞれに「A案」「B案」「C案」が用意されているので、合計9つの案が用意されていることになります。
職員数だけで見ると、「5区案」かつ「A案」が一番効率化が図れるという訳ですが、これでは単なる合区であり、総合区の目的である「地域の実情に応じた、よりきめ細かい行政サービスの実現」につながるのかは不透明です。
一方、中核市並みの権限を持たせる「C案」になると、一番効率的な5区案でもMAX270人の職員数の増加になります。
結局、よりきめ細かい行政サービスの実現と行政組織の効率のバランスをどう図っていくかの議論になると思います。

なお、この組織改変によってどのようなメリットがあるかと言えば、例えば、道路の日常管理や放置自転車対策等が総合区の事務となることで、住民の要望に対し、総合区長のマネジメント
のもと、自転車等放置禁止区域の拡大や放置自転車の撤去回数の見直しなど、より迅速かつきめ細かい対応が可能となるなどです。
今までは区長から市長へ報告が上がり、市長が決裁しなければならなかったのが、区長が決める事ができるようになるという事です。
大企業に勤めていると良く分かるのですが、大きな組織で社長承認を得ようとするとどうしても時間がかかります。
しかし、現場の例えば部長、課長クラスの承認で良いとなればその分スピードアップが期待できるという事です。

このメリットはもちろん特別区、所謂都構想でも実現可能です。
ただ、都構想は特別区≒基礎自治体と位置づけるのに対し、総合区はあくまで政令指定都市の中の枠組みとして位置づけられます。
結局総合区の場合、市長は都道府県の仕事の権限を持ったままので、二重行政発生の懸念は消えません。
もちろん、副首都推進本部で府知事との調整の機能は持つため府知事・市長をいずれも維新が握っている今は何とかなってるんでしょうが、もし、府知事と市長を別の政党が握ってしまった場合、果たしてうまくいくのか。
一方、特別区の場合は広域行政は府に一本化されます。

更に思うのは、
 特別区は、「国ー大阪府ー特別区」の三層制ですが、
 総合区だと「国ー大阪府ー大阪市ー総合区」の四層制?
 まぁ、実際には大阪府にとって大阪市が治外法権的な位置づけとなって「国ー大阪市ー総合区」となるんでしょうが、その結果、大阪府と大阪市の足並みが揃わずに大阪の経済は低迷してきたんじゃなかったんでしたっけ???
うーん。やっぱり特別区の方がいいと思うんだけどなぁ。

まぁ、今後の議論でもこのあたりの仕組みは変わるみたいですし、今後の議論の行方を見守っていきましょう!

※総合区について、公明党だけでなく自民党も議論のテーブルに上がるようです。昨日、自民党と公明党の市議団が総合区について議論したそうです。
また、自民党が大阪市営地下鉄の民営化方針案にも条件付賛成の姿勢を示すなど、大阪市の保留案件が次々前へ進もうとしています。
他にも、いったん廃止された地方議員の年金制度を復活させようなどという国民を舐めたふざけた動きが自民党本部内にあるようですが、これに対して大阪府議会では、自民党府議団が「白紙撤回を求めるべきだ」と反対する方針を打ち出したそうです。
大阪以外では自民党が圧倒的な強さを誇り自民党がやりたい放題ですが、大阪では大阪維新の会が自民党に匹敵する強さを持つため自民党も緊張感を持って政治に取り組んでいます。
これこそ二大政党制の意義だと思います。自民と維新、お互いが自分の主張を持って切磋琢磨する。これこそ二大政党制のあるべき姿だと思います。
何でも反体政党の時代は終わりました。
とはいえ、大阪においても大阪維新の会はまだまだちっぽけな存在です。油断していれば、かつての民主党のようにあっという間に消え去ります。まだまだ我々市民が支えていかなければなりません。
頑張れ大阪維新の会