前回の続きです。


以前の原稿で書いた18歳のワガママな女性の山田さんの話をしたが、今回はその続きである。

 

山田さんが通所するようになって2か月も経つと次第にワガママぶりが目立つようになり始めたことは以前の原稿でも書いた。どうしても畑に行きたいというこだわりも強く、どうしても行きたいというので行ってもらっても彼女の華奢な体格で耕作など力がいる作業はなかなか難しく、農作業担当の指導員さんが作業のほとんどをやるという事態に陥っていた。

 

雨が降っていても降雨後地面がぬかるんでいてもお構いなしに行きたいと言い出すと聞く耳を持たなかった。前回も少し書いたが畑に行けないならすぐに帰ると言ったり午前中で帰るという日もあった。

 

特に体調が悪いというわけではなく最初の3か月は本来の作業時間は午後4時までだが、別段通院などの用事があるわけでもなく午後3時に帰る日が多かった。施設長の宇賀さんは4時までいるように説得はするものの耳を貸すことはなかった。ちなみに今はちゃんと4時までいるようになったものの通所後半年くらいは3時までで帰る日が多かったので他の利用者さんからはなぜ山田さんだけ3時で帰るのか疑問を持つ人も多かった。

 

この山田さんはワガママではあるが顔は比較的綺麗な方で化粧に凝るようになって化粧用品などについて施設長の宇賀さんや他の女性利用者に尋ねたりするようになっていた。化粧用品は値段はピンからキリまであるが高いものを欲しがる傾向があるようだった。

 

昼食休憩ではお茶を出したりテーブルを拭いたりしてからみんなで食事を始めるという流れになるが彼女はそんなことはお構いなしに時間が来たらすぐに自分のお弁当を出して食べ始めていた。これは職員や他の利用者さんがもう少し待ってくださいと声掛けしても改善されることはなかった。

 

作業においても彼女のこだわりは強く、周囲を振り回していた。自分のしたものについては手放したくないという考え方で、もうすぐに納品に持っていくと言っているのに手放さないと言って聞かなかったりお昼を含む休憩時間が来ても自分がやったものを手放そうとしなかったり、3時で帰るときでも自分がやった作業の部分は残してほしいというなど他の利用者さんや職員を振り回していた。

 

最近は職員も急ぎの時などは少しお手洗いなどで彼女が席を離れている間にすべて彼女がやった作業部分を使ってしまうなどして対抗(?)するようになった。その時にも彼女は自分がやった作業はどこに行ったのか真っ先に尋ねていた。施設長の宇賀さんなどが「もう使ってしまってないよ」というと渋々あきらめる様子だった。

 

この事業所ではお昼休憩のほかに午前中に1回、午後に1回15分ずつ休憩時間がある。午後の休憩時間は1人1個ずつのお菓子が出ることになっている。みんなは1人1個ずつと分かっているので誰か食べない人がいる場合を除き2個以上食べることはない。

 

ところがこの山田さんはお菓子が大好きでトレイに入れられたお菓子を全部ひとり占めしようとする。これも職員や他の利用者さんが1人1個ですよと言っても取り込んだお菓子を戻そうとすることはなく全部食べてしまう。最近はこれを分かっている他の利用者さんが山田さんにお菓子を譲るという光景も見られるようになった。

 

このように自分の思い通りにいかなければ気が済まないワガママ女王山田さんは他の利用者さんや職員を振り回していたが、最近は相手にしない人も増えるようになっており、少しずつでも自分のワガママが通らないことも理解するようになった。それでもまだまだワガママは主張すれば通ると考えているようである。

 

話は次回に続きます。

 

 

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