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前回の続きです。

 

この頃から女性利用者を中心に昼休みにパソコンを練習したいという声が出てくるようになった。最初はパソコンのタイピングソフトの練習をさせてあとはほったらかしというやり方だった。それでもローマ字の打ち方が分からないなどの理由でその階にいる職員を呼んでくる。

 

昼休みは原則勤務時間ではないが、いざ利用者の体調に何かあったときなどの対応はすぐに取らなければいけないので、休憩時間はあってないに等しい時間だった。

 

パソコンは就職するに当たっては必要不可欠な知識となりつつある。この事業所でも前年度はパソコン教室も行ってはいたが、作業の手待ち時間等に少し行っていただけなのでそんなに大きな成果は上がっていなかった。

 

そこで新年度からは全員1から同じ方針で教室を設けることに決まった。新年度からは担当が玉本さんから私になった。これは5月から実施することに決まり、月2回来所のある土曜日に午後から1時間で2人を2回、合計2時間で4人に対して教室を行うことに決まっていた。

 

これが決まるまでの間は主にタイピングのソフトを勝手にやりたい沼内さんといろいろな機能を覚えて一般事務や医療事務に就職したいと考えている久間さんがいた。

 

沼内さんはタイピングソフトを機嫌良くやっていて、特に不具合が出たときのみ職員が見に行けばいい程度で楽だったが、久間さんはタイピングソフトを早々とクリアしてしまい、次の段階に行きたいと考えているようだった。そこで私は市民新聞などの比較的読みやすい文書をピックアップしてそのままワードで打つよう伝えた。ワードの基本的な使い方は事前に説明してある。この久間さんは毎日休憩時間30分使って練習すると意気込んでいて、12時半になると、

 

「てつさんさん、パソコンお願いします」

 

と言ってくる。こうなると私の毎日の休憩時間は30分しかないということになってしまう。ところがこの久間さんには決定的な弱点があった。中学校レベルの比較的簡単な漢字も読めなくて、逐一私にどう読むのか聞いてくる。市民新聞ならまだ読みやすく書かれているからいいが、普通の新聞を教材にした日には読めない漢字の方が多いような状態だった。

 

久間さんは根気よくワードの入力練習をしていると、徐々にできるようになってきているので、ビジネス文書の作成に取りかかってもらうことにした。これもビジネス文書の様式をつくり、その入力をしてもらった上で文字の移動など根気のいる説明が必要になる。

 

毎日30分とはいえ久間さんは確実にパソコンの腕を上げていった。

 

 

話は次回に続きます。