ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

東山にある結婚式や催事会場「パビリオンコート」。明治時代の古美術品の展示収蔵施設の館

2015-03-28 | 歴史・史跡

さて、昨日リポートした「パゴン」のショーが開催された東山の「パビリオンコート」。「青蓮院」の大きなクスノキの前にある建物です。

現在、結婚式のパーティー会場や、さまざまな催事が開催されるスペースとなっています。

「なんか趣ある建物だね~」と、ミモロは、いつも前を通るたびに、「中ってどうなってるんだろ?」と思っていました。

たまたま「パゴン」の新作発表会が行われ、中に入ることができました。

「わ~りっぱ~」と、1階のホールに…

そもそもこの建物は、かつては、旧山中合名会社美術館だったところ。
美術商だった会社の、古美術の展示および収蔵施設として、洋館部分は、大正9年に建てられました。
設計者は、池村元之助。施工は、清水建設です。現在、登録有形文化財

かつて、ここには、諸外国のVIPなども訪れたそう。

ちなみに「旧山中合名会社」は、日本の美術工芸を明治時代に世界に広める役割を果たします。明治27年、ニューヨークで、日本工芸品の第1回即売会を開催。フェノロサ、モースなどの協力を得て、ニューヨークやボストンに店舗を構えます。また、美術商として、明治45年、清朝恭親王のコレクションを購入。ニューヨーク、ロンドンでオークションを開催します。

第1次世界大戦中、フランス人アンリ・ベーベルの浮世絵コレクションをロンドンの山中商会が、松方幸次郎に斡旋。海外に流出した貴重な浮世絵を日本に戻すことに。

太平洋戦争前まで、社長である山中定次郎は、ヨーロッパやアジアを歴訪し、多くの古美術品を収集し、展覧会を開催したり、古美術にかんする書物を著します。

美術収集家としての実力は、世界的に高く評価され、昭和6年には、スエーデン王室の収蔵品の鑑定も依頼されたそう。
欧米の都市に持っていた所蔵品は、日本の敗戦にともない、ことごとく接収されます。

まさに明治・大正・昭和の時代の流れと共に生きた世界的な美術商。
「へぇーそういう人がいたって知らなかった~」とミモロ。
現在も、大阪に本社があります。

詳しくは、「山中商会」のホームページで…すごい美術商がいたことがわかります。


「なるほそ~だから建物全体が美術品って感じ~」とミモロ。
美術商が作った建物だけあって、さまざまな部分に芸術的な装飾がみられます。


階段につけられた獅子の彫刻。なぜかこの日は、蝶ネクタイ姿でした。

欄間彫刻も壁を飾っています。


中国の骨董椅子。その彫刻の美しさと細かさに目を見張ります。


「美術品の展示スペースだったからかな~骨董品がいろいろある」とミモロは、あちこち歩き回ります。
「これ、使えるのかな?」
「わー古いタイプライター」


今や姿を消した品々が…。
電話機は、もはや家庭から姿を消しつつあるもの。携帯電話というひとり1台の時代です。それもどんどん薄くなり、腕時計タイプの時代の到来も予見させます。

また、タイプライターも、今の子供たちにとっては、骨董品。パソコンが、それに代わる時代です。

便利で快適な機械が次々に登場する時代…でも、そんなものがない時代にも、立派な建造物が作られていたわけで、その時代の人たちの賢さには、驚くばかりです。

「お手紙も昔のものは、後世に残るけど、これからはデータで残るのかな~なんかちょっと味気ないかも」と思うミモロです。

今の時代の書簡は、もはや後世に残らないものかも。博物館には、プリントアウトしたものが展示されるのでしょうか?

さて話がずれましたが、この「パビリオンコート」の入り口部分は、実はなかなか見応えがある建造物です。
ここの門は、大正元年に建てられ、寺院などの旧木材を使った趣あるもの。
また、エントランス部分となる和館は、明治時代に建てられ、昭和42年に現在の場所に移築されました。寺社深くなどに使われる蟇股や欄間彫刻など、よ~く見ると、素晴らしい建築構造がわかります。

京都に残る歴史的建造物の中には、現在、ここのように結婚式会場になったり、またレストランに改装されているところがいろいろあります。歴史的建造物を今に残すために、活用して、維持する…それも大切なことかもしれません。

かつて、世界的美術商が所蔵した建物。「こんな近くにそういう建物があったって知らなかった~」と思うミモロでした。


*「パビリオンコート」の詳しい情報は、ホームぺージで




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