ステロイドを使用すると、ニキビや赤ら顔がなおらないどころか、悪くなることがほとんどです。
ステロイドは強力な炎症抑制作用を持っています。
ニキビは皮膚に強い炎症を生じる現象なので、本来ならニキビの炎症を抑えて
良くなるはずです。
しかし最近ニキビの発症にTLR2というPattern Recognition Receptorパターン認識受容体
が関与していることが明らかになりました。
毛穴のアクネ菌が増殖すると、表皮細胞や皮脂腺細胞のTLR2がこれを認識して、表皮細胞の増殖を起こしてコメドを生じ皮脂腺細胞は皮脂の分泌を増加させることが判明しました。
TLR2を持つ細胞はサイトカインという物質を放出して、炎症を激しくしていることも明らかに
なりました。
【上記は悪化したニキビの患者さんです】
ステロイドは表皮細胞、皮脂腺細胞、炎症細胞が持っているTLR2の発現を増加させることが判明したのです。
つまり、ステロイドが皮脂の分泌を増やして、長期的な炎症を誘起しているから治りにくいということになります。
TLR2は正常組織では発現は弱いのですが、ニキビ肌の組織では発現は大幅に増加してしまいます。
ステロイドの使用には十分な注意が必要なのです。