TNFアルファとニキビ、赤ら顔とPPAR ガンマについて | 青山ヒフ科クリニック院長Dr.亀山のオフィシャルブログ

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表参道にある青山ヒフ科クリニック 院長 亀山孝一郎のブログです。

ニキビ、赤ら顔では炎症組織で、肥満細胞という炎症に関与する細胞がTNF-αというサイトカインを産生して炎症を激しくします。

これはアクネ菌をやっつけるためのものです。

(肥満細胞は細胞質にヒスタミンや蛋白分解酵素を含有する顆粒がたくさんあり太って見えるので、肥満細胞という名前が付きました。肥満と関係があるとわかったのはつい最近のことです)

 

肥満している方の脂肪細胞の周囲にも、ニキビ、赤ら顔に関与する肥満細胞が出現して、TNF-αを放出していることが明らかになりました。

TNF-αは腫瘍壊死因子という名前で、悪性腫瘍を壊死に陥らせる強い活性をもったサイトカインです。

おそらく、多すぎる脂肪細胞が生体に害をなすということを知っていて、少しでも脂肪細胞を減らすために脂肪組織に出現し、TNF-αを放出しているのでしょう。

 

このTNF-αはインスリンの受容体を減らしてインスリン抵抗性をあげることがわかっていました。

最近PPARγという脂質や糖の代謝に関与する受容体を不活化することが判明しました。PPARƳは筋肉での糖の取り込みを活性化して、インスリン感受性を上げる、アンチメタボの基礎となる物質です。

 

アスリートの人が代謝がいいのはPPARγが増加しているからなのです。

これを不活化するということは、血液中の血糖値が上昇して、インスリン抵抗性を増加させて、糖尿病予備軍にします。

TNF-αは遊離脂肪酸の取り込みを抑制して高脂血症までおこしてしまうのです。

ニキビ、赤ら顔をしっかり治して、TNF-αを下げて、肥満を防止することも必要です。また肥満を防止することもTNF-αの値を下げて、ニキビ、赤ら顔を速やかに治すことにつながるのです。

 

なぜ脂肪細胞の周囲にTNFが出現して、インスリンによる脂肪細胞への糖の取り込みを抑えてしまうのか?

僕は細胞の維持に必要な糖が入らないようにして、脂肪細胞の元気をなくして、脂肪細胞が増加しないようにするためだと考えています。

抗糖尿病薬というものは、脂肪細胞への糖の取り込みを上げて、脂肪細胞を元気にしてしまうわけです。

脂肪細胞を減らすための食事制限や運動は必須ということになりますね。

 

肥満細胞は細胞質に蛋白分解酵素やヒスタミンを含む顆粒をたっぷり持って太っているように見える細胞なので肥満細胞という名前がつきました。

最近のデータを見ると肥満細胞と太りすぎの肥満との間に関係があるので、肥満細胞とはいい名前かもしれませんね。