チーズオタクが引き寄せられる会社☆ | イタリアでモロッコごはん

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イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

チーズオタクシリーズ、第3話目です。

 
 
もう、ずっと何年も憧れていた
チーズの輸入卸売りをしている
株式会社フェルミエで働き始めたチーズオタク。
 
 
ここで働ける、チーズに触れられるだけでも
私にとって歓喜のあまり鼻血を出しそうだったのに
 
その環境を観察すれば、更なる驚きと興奮に
ますます胸が高鳴った!
 
 
 
そこには自分に似たオタクな人間がウジャウジャ溢れかえっていたのだ~!
 
 
オタクの系列はチーズだけに留まらず
ソムリエ、料理人、パンマニア、
チーズに生えるカビや発酵について熟知する人
あらゆるジャンルのオタクが集まってきて
一丸となって働いているエネルギー溢れる会社だった。
 
 
 
それぞれキャラが濃い人間ばかりで
ゲゲゲの鬼太郎 妖怪図鑑ならぬ
フェルミエ オタク図鑑が作成出来そうなカンジ。
 
 
ここで働いているオタクの皆さんは
ドンヨリ暗い性格ではなく
みんな好きな事を突き詰めていて
明るく溌剌とした人達ばかり。
 
 
何気なく発せられる会話がマニアックで
私は聞いているだけで嬉しくて腰が砕けそうだった。
 
 
 
朝は全国からのオーダーを集めて
皆一斉に何十種類ものチーズを切り始める。
温度管理された冷蔵庫には何百種類ものチーズが眠っている。
 
 
チーズを切っている側から
お味見の小さくカットされたチーズが回ってくる。
 
今週の入荷チーズの状態を皆が解っていないと
お客様から聞かれた時に即答出来ないので
お味と熟成の具合を把握している必要がある。
 
 
私は毎朝、毎日、チーズの試食をした。
3年間働いていたけれど、驚いたことに
1つのチーズが一度たりとも同じ味だったことがなかった!
 
 
年間を通して季節は変わり続け
動物たちが食べる草の成長具合も変わり
草の状態によってミルクの状態も変わるので
夏仕込みのボーフォールと
冬仕込みのそれは明らかに別物として出来上がる。
 
 
そこに加わる熟成の妙。
出来上がったチーズがどのような状態で
どれだけ熟成されたかによっても
お味には格段と差がつく。
 
 
 
 
 
 
今は社長の地位を退かれた本間るみ子氏
でも元同僚の中でも皆、社長〜と呼んでいたので
私の中では永遠にシャチョーなのだけど
 
本間社長はきちんと産地までいつも足を運んで
どんな牛やヤギ、羊が、どんなところで草を食み
どんな作り手、熟成士によって熟成され出荷に至るか
すべてを把握していた。
 
 
この、チーズひとつを取り上げても
その背景に広がるストーリーに思いを馳せるだけで
きっと一晩語り合えるのではないかと思うほど
浪漫溢れる愛しい食べ物なのだ♡
 
 
 
今私はイタリアに住んでいるけれど
残念ながら、ここにいても
フェルミエで学んだ知識ほど膨大な量の情報は集められない。
 
 
ここフィレンツェには主にトスカーナ産のチーズが売られていて
他にはイタリア各地のメジャーなチーズと
フランスチーズ少ししかお目にかからない。
 
 
フェルミエではヨーロッパ各地の数百種類のチーズが溢れ
それも殆どが農家製の選び抜かれたもの。
 
 
フェルミエで扱っていた南や北イタリアのこだわりのチーズには
ここフィレンツェではなかなか出会えない。
 
 
 
 
 
第一話で私がチーズオタクを貫き通すだけで
不思議とオタクが集まってくる体験を書いたけれど
本間社長はそれを世界レベルで貫き通し
国内外からあらゆる業界のオタクが引き寄せられていた。
とんでもないパワーの持ち主だ!
 
 
フェルミエではチーズのみならず
ワイン、オリーブオイル、ハチミツ、パン等
チーズを取り巻くあらゆる食品の知識を学べた。
それもかなり高いレベルの情報が飛び交っていた。
 
日本や世界各地の美食家からいつも美味しいモノが会社に届き
社員用キッチンのテーブルには
なんじゃこれは!ってくらいお届け物の美味しいものが
どうぞお食べください、と置かれていた。
 
 
 
本間社長が台風の目と例えると
彼女を中心に渦巻く情報が
私達社員をも巻き込み、国内外の食通も巻き込み
グルグルと物凄い勢いで何処かへ突進しているようだった。
 
 
私は働いていた時、そこで働いているだけで
得られる情報量に唖然としながら
必死に吸収することに努めていたけれど
 
イタリアに渡ってから
やはり、私は東京という
世界でもトップレベルで情報が集まるところにいたんだ!
と、ノンビリとした田舎のフィレンツェで気が付いた。
 
 
何かへの愛を貫き通すと
ここまで壮大なスケールでの引き寄せが起こることを
私はフェルミエで働くことで身をもって体験した。
 
この体験は、今でも私にパワーをくれる「天からのプレゼント」だった☆
 
 
 
つづく