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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

怯えるタイピスト

2017-04-22 18:15:29 | 読んだ本
E・S・ガードナー/宇野利泰訳 昭和54年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
原題は「THE CASE OF THE TERRIFIED TYPIST」という1956年の作品、私のもってる文庫は昭和63年の五刷、たぶん古本。
スペンサーをひとつ読むと、ついでにひとつ読み返すことにしているペリイ・メイスンシリーズ。
乗り物のなかで読んでたりすると、すらすらといいリズムでページめくっていける、軽やかさが好きだ。
スペンサーシリーズもプロットが短くて早く読めるんだけど、ペリイ・メイスンも読むのは早い。
一応いわゆる推理小説のたぐいなんだろうけど、謎解きが必要になっても立ち止まって考えるひまもなく、メイスンが行動開始したり、反対訊問で相手を追い込んでくれるんで、次はどうなるって進んでっちゃうから。
今回の事件は、臨時雇いのタイピストが必要な状況のメイスンの事務所に、おどおどしている女性のタイピストがやってくるところから始まる。
態度はおかしいが仕事を与えると、すばらしいスピードと正確さで書類をタイプしていくその女性、仕事が終わりかけたところで目を離すと姿を消していた。
なにやら周囲が騒がしくなってきたが、同じ建物のなかにある南アフリカ宝石貿易商会のオフィスに、若い女の泥棒が入ったのを警察などが捜索しているという。
当然、そのうち死体がみつかって、メイスンのところに紛れ込んできた怯えるタイピストが依頼人になって、またホントのことを弁護士に言ってくれないのに困りながらも弁護するんだろうな、と想像したんだけど。
予想とは違って、メイスンの依頼人は宝石商会のほうで、共同経営者のひとりが殺人容疑で逮捕された、殺されたのは宝石密輸業者だという。
ところが、肝心の被害者の遺体は見つかっていない状態、船から海に飛び込んだまま行方不明なのだが、目撃者の証言で被害者がボートに上がるところを容疑者が刺したとされている。
そもそも被害者の行動は、自殺を装って海に飛び込むことによって、税関とかを通ることなくダイヤを密輸するための芝居だし、密輸業者の一味は被告以上にうさんくさい人物たち。
しかし、メイスンに依頼していきた宝石商も信用できない言動ばかりで、その交友関係を追ってくと、ロボトミー手術を受けた兄を介護してるフランス女なんていう謎の存在が浮かびあがったりする。
被告本人も、メイスンに対しても自分の言いたくないことは言わないと頑固に言い切る始末だし、イギリス人っぽい態度で陪審の印象は悪いし、裁判でメイスンは苦労する。
で、問題のタイピストは、検察側の証人として出廷してきて、宝石商会でごたごたして、メイスンの事務所に飛び込んだときは机にダイヤを隠したなんて、被告に不利な証言をするんだが、陪審員には好感をもたれて信用される。
かくして、死体がなくても殺人は立証することができるって裁判長の見解も示されて、有罪の判決が下されることになるんだが。
最後の最後に、どんでんがえしが待っていて、メイスンは再審理を要求する。

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