フリークで以前、お仕事用の車をご購入頂いた方ですが、
プライベートで AMG S63 を所有されていまして、
そのS63が、ブレーキパッド警告灯が点灯したというので連絡を頂きました。
しかし、入庫頂くまでの数日間の間に、突然エンジンから異音が出る様になり、
「エンジンの音も変わってしまった!!おかしい!!診て欲しい!」
と電話が入り、そのまますぐにお預かりとなりました。
お預かりした AMG S63 です。
ちょっと動かすのも怖い位、異様な音がしています。
振動も、もの凄い!!(^^;
エンジンをかけると、うぉぉぉぉーーーーん
そして振動が、ガタガタガタガタガタガタ・・・・・
Q)ちなみに、今まではどこでメンテナンスを?
A)会社の車を診て貰っている整備工場で!
他にも色々とチェックしておきましょう!
ダクトやカバー等を取り除いて、色々と点検を進めて行きます。
同時に、強烈な振動と、変な異音の原因も探って行きます。
まず振動の原因。
やっぱりここ。エンジンマウントです。
現在走行は9万キロ手前なのに、
今まで一度も交換されていない様子。
上下ボルト共に、工具がかけられた痕跡は無し。
それに・・・オイルが漏れてます(^^;
左側は、オイル漏れまでは無いものの、
「グシャッ!」と潰れています。
取り外して新品と比較。
カバーを外すと、違いがあらわになります。
左右共に外して並べました。
右側は完全に破綻していましたが・・・
左側もやっぱり破綻寸前。
横にすると、封入されているオイルが漏れて来ます。
左右共に新品を装着。
ミッションマウントもご覧の通りです。
装着されていたのが左側ですが、かなり下がっています。
ドライブベルトはヒビだらけ・・・
いつ破断してもおかしくない状態でした。
もし破断したら、メチャクチャお金が掛かります(T_T)
新品に交換です。
ちなみに、コンチ。
コンチネンタルはタイヤだけと思っている方も多いかも知れませんが、
実は、コンチは世界的大手の自動車部品サプライヤーなんです。
スパークプラグ、全くダメ!!
何じゃこりゃ!?って、感じ。
せめて、車検の時くらい、チェックしてあげて~
新品に交換です。
メーター内に、「ブレーキの交換をしなさい」との警告!!
AMGのブレーキパッドは、8枚全部交換ですごい金額となるらしく、その余りの価格にびっくりされて、そもそも今回フリークに電話を頂きました。
ローター交換まで含め、80万円とか・・・(^^;
どこの業者さんに聞かれたのか分かりませんが、
けっしてそんな事はありません。
ブレーキパッドをセットして、パッドセンサーも新調。
本当はローターも交換を検討して頂いていましたが、
他にも重なっているトラブル修理に費用が結構掛かりそうなので、
断腸の思いで見送り。
AMGのキャリパーカバーは綺麗に掃除をして装着。
数日後には元通りになるのだろうけど・・・(^^;
自己満足と言いますか
ここまで一連の作業を終え・・・
当初振動が酷かったので、
異様に響いてくる音もマウントに原因があるかもとも思い、
ここまで作業をして試運転。
しかし、異音は全く収まっておらず(-_-;)
エンジン始動と同時に始まる、うぉぉぉぉぉ―――んという異常な音。
まるで、走る事を妨げようとしているかのような音。
XentryDASでも、全く異常は発見できず。
でも、アイドリングから異音が即発生。
そして、1500rpm頃から特に大きく発生するもの凄い反響音と、
腰元から伝わってくる微振動・・・
これはABCに原因があるのかもと、様々な要因から判断。
まずは比較的費用の掛からないABCオイルフィルター交換から。
(目詰まりにより不具合を発生する例が報告されています)
ストレーナーを交換して、
真っ黒に汚れたABCオイルを回収。
新油を充填して様子を見るも、残念ながら全く変化無し(-_-;)
元々、ABCポンプやアキュームレータからの音も気になっていたので、その辺りに絞り込み。
ただ、ポンプ本体ならものすごーーーい金額になってしまうので、
まずはアキュームレータから。
作業性が非常に悪いので、周辺の部品を取り外してアクセス。
ちなみに、頭に付いている六角は、力をかけた瞬間にポキッ(^^;
こんな丸い物体、取り外し用の六角無しで、どうやって外そうか・・・
これは少々困りました。
ポンプラ使っても回らない。
クリアランスが無さ過ぎて、オイルフィルター用チェーンは掛かる事すら無く・・・
仕方ないので穴をあけて、長めのプライヤーを差し込んで回す事に!
安物とは言え、瞬殺玉砕(笑)
錆で固着でもしているのか、メチャクチャ硬いです(^^;
こりゃどうしたものかと考え中、
工場長が、「どんなですか??」と近寄って来る。
ここから二人の共同作業。
工場長は、長めのマイナスを使って、小さくコンコンと緩む方向に衝撃を与え・・・
私はライトを照らしながら、「緩めーーーー!!!」と念力を送る!
もし根元から折れたらポンプ本体を外そうと二人で決意していましたが、
念力が効いたのか??
なんと!!緩みました!!!
上の写真は外れた後の物ですが、
実は、緩みはしたものの、クリアランスが無さ過ぎて外す事が出来ず。
頭がエンジンに当たって抜けないんです。
ドライブベルトをいったん取り外して、
プーリーをずらし、ABCポンプ本体に少し緩みを持たせる為、
取付ボルトを取り外していきます。
構造はこんな感じ。
赤矢印が、問題のアキュームレータです。
そもそも、「アキュームレータ」って何ぞや!?という方には、
凄く分かり易い動画がありましたのでチェックしてみて下さい。
ポンプが作り出してしまう脈動と異音を消滅してくれるという部品です。
アキュームレータが外れた跡を綺麗に掃除して、
新しいアキュームレータを装着します。
後は元通り戻していけばOK!!
一通り作業完了して試運転に!
今までの異音がうその様に消えていて、走りも素晴らしい。
音が消えてくれて良かった~!!!
そして、ABCポンプのアキュームレータ不良の「異音」が聞けて良かった!!
異音診断は、言ってしまえば「音」を聞いた経験がメチャクチャ重要なので、
「この音」は、「こうしたら直った」という道筋が経験として出来たので、
今後の整備に生かす事が出来ます。
安心したところで、その他の作業に移行。
オイルフィルターカートリッジ、
ヒダの拠れがメンテナンスの悪さを物語っています。
オイルの黒さも尋常ではない。
エンジンオイル排出。
オイルフィルターカートリッジを交換。
エンジン内部はまだ大丈夫!!
MOTUL 8100X-CESS 100%化学合成オイル 5w-40を充填。
新品に交換。
リヤのバッテリーもダメ。
当然交換です。
診断機を繋いでまずはショートテスト。
バッテリーを外したり、ABCオイルを抜き替えたり、
異音の原因を探る流れの中でドライブベルトを外した状態でエンジンをかけたりしたので、大量のフォルトをメモリーしています。
過去のエラーを削除して再びショートテスト。
上から下まで全てフォルト無し!!
優秀過ぎる~
エンジンオイルは、しばらく交換されていないのか、それとも診断機に繋がれていなかったのか、サービスシステムは長く触られていない様子。
エンジンオイル交換も行っているので、インスペクションもリセット。
全てを元通りに戻して、エンジンルームを洗浄。
事務所から大声で話しかけてくる息子を軽く相手にしながら最終チェック。
今回の異音修理やブレーキその他メンテナンスでは、
上記内容も含め以下の作業を行っております。
・フロントブレーキディスクパッド交換
・フロントブレーキディスクパッドセンサー交換
・エンジンマウント(右側)交換
・エンジンマウント(左側)交換
・ミッションマウント交換
・ABCオイル交換
・ABCオイルフィルター交換
・ABCアキュームレータ交換
・スパークプラグ交換
・ドライブベルト交換
・サブバッテリー交換
・メインバッテリー交換
・エンジンオイル交換
・オイルフィルターカートリッジ交換
・コンピュータ診断/フォルトメモリーチェック/ABCオイルエア抜き/ABCオイルロデオ/エアサス診断/その他
今回の修理ご請求額は、 ¥ 460,000- となっております。
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
<参考データ:車両走行距離 88,880km>
※同じ内容の整備でも、部品価格の変更や作業内容及び手順・個体差や経年劣化により、必ずしも同一価格とはなりません。上記価格を他の整備工場さんに強要する様な行為はご遠慮下さい。
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