国立劇場十二月歌舞伎公演 『今様三番三』 『隅田春妓女容性』 | nonco diary

国立劇場十二月歌舞伎公演 『今様三番三』 『隅田春妓女容性』

 

今様三番三

「三番叟物」の一つ。今様とは、宝暦五年(1755)の初演時での今様(現代風)。

三番叟を女方の舞踊に仕立てた、本名題「今様四季三番三」、〈布晒し〉の振りが取り入れられていることから、通称「晒三番叟」とも。

箱根権現へ祈誓する曽我二ノ宮(実は)平忠度の娘・如月姫が源氏の武者に見咎められ、三番叟を奉納すると誤魔化し、舞い出す。

前半は能楽『翁』の千歳や翁の詞章を踏まえた文句で艶やかに、後半の源氏の武者を翻弄し打ち払う様は凛々しく。華麗さと格調を併せ持つ舞踊劇で、曽我二ノ宮(実は平忠度の娘・如月姫)を演ずるのは雀右衛門丈。

 

通し狂言 隅田春妓女容性 三幕九場

     ―御存梅の由兵衛― 

序幕  柳島妙見堂の場
     同  橋本座敷の場
     同     入口塀外の場
二幕目 蔵前米屋店先の場
      同     塀外の場
      同     奥座敷の場
      本所大川端の場
大詰   梅堀由兵衛内の場
      同  仕返しの場

大坂の梅渋由兵衛が元禄二年(1689)天王寺屋の丁稚を殺して百両を奪うというという事件を起こし、この実在の人物が梅の由兵衛の原型。この事件を題材に多くの作品が上方で作られ、その後も様々な脚色をもって由兵衛は物語に登場したそう。

実在の由兵衛は悪党であったけれども、江戸歌舞伎に登場する由兵衛は義心ある侠客として脚色され、『隅田春妓女容性』は寛政八年(1796)江戸桐座において初演。

この作品は明治期から上演が途絶え戦後にはたった三回しか上演されておらず、今回は昭和五十三年(1978)以来、39年ぶりの上演とのこと。

 

由兵衛の旧主への義心と女房小梅への情愛の深さ、小梅の弟と知らずに長吉を殺してしまった悲嘆、由兵衛の苦悩を察する小梅の苦しみ。それらが細やかに伝わる夫婦の佇まいが胸に沁みるよう。

女房と義弟への思いと旧主への義心の葛藤の末に、旧主の娘と婿の明るい門出で志を遂げる由兵衛の姿が救い。

由兵衛を演ずるのは吉右衛門丈、女房小梅と小梅の弟・長吉二役を演ずるのは菊之助丈。

 

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