雨の降る夜

雨の降る夜

ほとんど小説オンリーです。

現在、いろんな人のアドバイスをうけながら手直し中です!

受験が終わったので、またこれから更新していきたいと思います。

Amebaでブログを始めよう!

「部屋はここを使ってください。 ベッドはすでに注文したので後で取りに行きます。 他に必要な物があれば、町を案内するつもりですのでその時に」


そう言ってカレンに案内されたのは、最初に看病されたクロの部屋と同じくらいの、1人部屋にしては少々大きい部屋だった。机だけポツンと置かれているのが余計に広く感じる。


「ありがとう。 何から何まですまないな」


「かまいません。どうせ使ってない部屋ですから」


カレンは相変わらずの無表情で答える。


「前はシグが使っていたのですが。 シグは研究室にこもりっぱなしでほとんどこの部屋には来なかったのです。 最終的にベッドまで運んでしまいました」


向かいの部屋はクロの部屋、左隣はカレン、そのまた左はカノンの部屋だとも教えてくれた。


他の部屋も案内する、と言われて、ダイニングルームに移動する。


入口から入って目の前にあるのがこのダイニングルームだ。


食事は基本カレンが作るが、全員が揃って食べることはごく稀にしかないそうだ。仲が悪いという訳ではなく、仕事で引切りなしに誰かが出ていくためだ。


そこから右の通路に行くとそれぞれの部屋。2人は左の通路に進む。


「ここが医務室です。 説明の必要はありませんでしたか」


何日も寝かされていた部屋は流石に知っていた。


「隣は第一研究室、またはシグの部屋です」


向かいは書斎があり、その他いろいろな物置きの部屋があり、さらに奥の、突き当りの床にある扉が――


「ここは第二研究し「『A.S』だ」


突然現れたカノンがカレンの言葉を遮った。


「帰っていたのですかカノン。 ここは第二研究室です」


「何故『A.S』なんだ?」


カレンが無視しかけたカノンの発言を、リイアが拾う。


「『(A)開けたら(S)死ぬぞ』だ」


「…………」


「そう呼んでいるのはカノンだけです。 私達は通称『第二』と呼んでいます」


「これ以上ぴったりなネーミングはないぜ。 本当に、ここから先は恐怖の館だ。 特にシグがここに入って3日間以上出てこない時は絶対に入るな」


凄みのある声でカノンは言う。


その時、


「人聞き悪いなー。 普通の研究室だよー」


床の扉が開き、シグレが中から出て来た。


「わっ! お前中にいたのかよ」


「カノン君が来た頃あたりから聞き耳立ててたんだよー」


「ならすぐ出て来いよ! ビビんだろ!」


というカノンのつっこみを無視して、


「ここはねー、僕が治療用じゃない薬を作ってるとこなんだよー」


シグレがリイアに言う。


「……? 治療以外に薬の必要な場所なんてあるのか?」


「あるよー。 一般的に毒って言われるものだねー」


「ど、毒!?」


「何を今更驚いてんのー。 リイア君の世界では無かったのー?」


「いや、あるにはあるが……」


ホームメイドの毒は初めて聞いた。


「あ、そうそうー。 君が殺しかけた男にさー、注射打ったでしょー?」


「……あぁ」


『殺しかけた』男。


出来ることなら無かったことにしたいものだった。


あれだけの出血をさせたのだから、普通なら死んでいるはずだ。


あの時は気が動転していたが、確か注射した後あの男が死んだように動かなくなって、でも死んでなくて。


「あの時の薬も僕のオリジナルでねー。 人間を仮死状態にする薬なんだー。 心臓が止まることはないけど、人体活動は止まるねー」


「仮死状態にする薬を持ち歩いているのか?」


「だって考えてもみなよー。 ハンターを狩るって言っても、僕等が人殺しをしちゃ、本末転倒でしょー?」


「あ、」


確かに言われてみればそうだ。


ハンターを狩るための人殺しが合法とされるのなら、ブレイカーもハンターも変わらないだろう。


「前は生け捕りにして牢屋に放り込んでたんだけどねー。 それでも誤って殺してしまうってのは少なくなかったんだー」


「……凄い」


「えー?」


「シグレは凄いな! 本当に凄い!」


「……シグでいいよー。 君もBLACKのメンバーなんだしねー」


シグレが照れたように言う。


「シグ、お前のおかげで命を救われた人間は相当な数になるんだろうな」


「『命』はねー。 ハンターとして1回でも人を殺したら、その人は罪人なんだー」


「それでもだ。 私もお前に救われたしな」


「俺はシグに殺されかけたけどな」


カノンの言葉に、リイアが驚いてシグレを見る。


「えー、カノン君まだあのこと根に持ってんのー?」


「当たり前だ!!」


そう言い怯えた目で第二研究室への扉を見る。


「あのこと、って何だ?」


「俺はシグレに毒薬の実験台にされかけたんだ」


「…………」


「無意識だったんだよー。 僕に非はないと思うんだー」


「あぁ、確かに完全にイってる目だったよな。 俺が何を叫んでも聞こえてなかったよな。 調合する薬の名前を呪文みたいにブツブツ言ってたもんな」


カノンの体が微妙に震えているのは気のせいだろうか。


「あの時クロが来なかったらどうなっていたか……」


「今生きているのだから良いではないですか」


「あの恐怖は一生ついてくんだよ!!」


「まぁ悪気はなかったんだ。 許してやれ」


「許すか! 俺があの扉を見ても震えなくなったら許してやるよ。 絶対そんなことありえねぇけどな!」


そう言ってカノンは自分の部屋へと歩いて行った。


「大丈夫だよー。 そんなことごく稀にしかないからー。 あ、でも勝手に入るのはやめてねー。 何が起こるか分からないからー」


ごく稀にあるのか、と思いながらも、


「分かった」


リイアは素直に返事をする。


「あ、忘れるとこだったー。 リイア君、手出してー」


言われたとおりに手を出す。


「はいこれ。 クロ君が自警団からもらってきたんだよー」


そう言ってシグレが渡したのは、小さなバッチだった。


「これで君も正式なブレイカーだよー。 自警団からハンターの出没場所の連絡が入るから、遠慮なしに狩りに行ってねー」


金とも銀とも言えない色で複雑な模様が裏まで彫られた、ブレイカーとしての証。


リイアはそれを、強く握りしめた。



















■□■□■アトガキ■□■□■

アト「結局、カノンとシグレのエピソードを出したかっただけっていうね」


レイン『そ、そうだよ! 何か悪いかい?』


「開き直りやがったこいつ。 数学ボロボロなくせに」


『それは関係ないでしょ!? 期末とかほとんど一夜漬けなんだから実力なんてついてるわけないんだよー!』


「管理人は今日実力テストがありました。 特に数学が難しかったです。 死ぬかと思いました。 死ねばいいのに」


『日記!? しかもなんか最後恐いこと言ってるよ!?』


「今日、管理人は深夜0時に切断されます。 疲れました」


『疲れるとか言う次元じゃないよねこれ。 確実にチェーンソー回ってるよねこれ』


「大丈夫。 近所迷惑にならないよう、悲鳴を上げる前に片づける」


『アトちゃん、そんなこと言っていいのかな? 友達からリクエストが来てるんだけど』


「なっふざけるにゃ! 管理人コロスにゃ! ちょっ、元に戻すにゃー!!」


『はい、猫耳アトちゃん(語尾はサービスで)の完成です! うへへへ』


「にゃんで絵、描けにゃいのに無理して猫耳なんて付けようとするんだにゃ!? さっさと戻すにゃー!!」


『はっはっは。 オプションでつけた猫手が上手くいったね。 チェーンソーの心配がない』


「コロスにゃ! 絶対コロスにゃー!!」


『その語尾じゃ迫力ないよー……ふぎゃあ!!』


「あ、頑張ったら爪出たにゃ。 ニヤリ」


『まさかの展開! アト猫め、このタイミングで奇跡呼びやがったぁぁぁ!』


「覚悟にゃぁぁぁぁ!!」



アトガキが長いと自分で思う。姉にも指摘されました。


でも猫じゃらしやマタタビで遊びたかった……。


アト猫め……。










   






 





「ローラ様」


執事服を着た青年の声かけに、


「何ですの?」


フワフワなゆるいカールの栗毛を持つ少女は振り向く。


服はドレスで、絵本の中の王女が飛びだしてきた様だった。


「先日お話しした『マスター会議』の件ですが――」


「あら、あら! もうすぐですわよね? 楽しみですの楽しみですの! 定期的にクロ様に逢えるなんて幸せですわ!」


少女の目が輝く。


「その件ですが。 例の孔雀が殺された件で、鳳凰が相当なお怒りの様子で。 自警団から、会議は延期した方が良いのではとの提案が来ているのですが、どうなされますか?」


「嫌よ」


即答だった。


「しかし」


「勘違いしないでほしいですの。 別に我が儘を言っているわけではありませんのよ」


少女は鉄扇を取り出し、広げた。


「わたくしだって、伊達に『女帝』を継いでいる訳ではありませんもの。 母様に何度着いて行ったと思ってますの? ガイキは、怒りで冷静さを欠くような愚か者ではありませんわ」


執事服の青年は、暫く口を開けて何も言わずにいたが、


「分かりました。 では、伝えて置きます」


我に返ったように返答した。


「ところでセイン、母様の容体はどうですの?」


「あまり状況は良くないらしく――」






「マスター」


カラスマスクをつけた青年の声かけに、


「何だ」


同じ様にカラスマスクをつけた、仏頂面の青年は振り向く。


赤茶色の短髪を持っていて、顔半分を覆うマスクをつけていても目立つ特徴だろう。


「自警団から、会議の延期の提案が来ています」


「断れ」


即答だった。


「あいつらは馬鹿か。 今会議をしなくていつするというんだ」


「でもよーガイキ、お前大丈夫なのか?」


カラスマスクを外し、くるくると指で遊んでいる青年が言う。


「俺は愚者ではない。 有力な情報がもらえるかもしれないしな」


「そりゃそーか」


そう言って青年は、カラスマスクをつける。


「ライクを殺しておいて、今もまだ生きているんだぜ。 ぐちゃぐちゃの肉片にしねぇと、気が済まねーよ」


「サジ、お前は優しいな。 ――肉など残してなるものか」


殺意がこもったその声は、決して冗談ではなかった。


「死鳥(デス・バード)に喧嘩を売ったこと、後悔する間もなく殺してやる」






「クロ」


金髪ツインテールの少女の声かけに、


「何だい?」


黒髪の少年は振り向く。


「自警団から、例の件を考え会議を延期した方が良いのではという提案が来ているのですが」


「無理だろうね」


即答だった。


「ガイキ君が認める訳ないさ。 怒りで我を忘れるようなら、鳳凰は継がない」


少年は笑顔で続ける。


「君も、ルシファーと戦うときは気をつけた方がいい。 孔雀さんを殺した奴を狩ったりしたら、次の日ここに爆弾が投げ込まれるからね」


「肝に銘じて置きます」























  
















■□■□■アトガキ■□■□■

アト「何この駄文」


レイン『酷っ! ……しょうがないじゃん。 今回はマスターの紹介みたいなもんだったんだから』


「紹介ってほど紹介してないよね」


『それは言うな』


「つーかガイキ怖いね。 肉も残さず殺すなんて」


『アトちゃんもこの前私に同じようなこと言ってたけどね』


「そうだっけ? 忘れたかも」


『絶対言った。 チェーンソー振り回しながら言った』


「まぁ、管理人が悪いね」


『何で!? ……ところでアトちゃん』


「何?」


『以前はダボダボの服を着せたけどさ、友達は袖長の服が良いって言ってんのね』


「(ジャキッ)」


『だから今度はこの服をちょっとアトちゃん何でチェーンソーでズタボロにするのー!?』


「管理人コロス」


『だ、だって、絶対可愛いし! ゆくゆくはゴスロリや着ぐるみも着せようと』


「肉も残してなるものかぁぁぁぁ!!」


『ちょっアトちゃん! 流石の私も腕斬られたらバスケができなくなるからね!?』



管理人は市総体に出ることができるのか!?

「ドーピングっていうか、むしろその逆だねー。 君に流れる神崎一族の血の活性化を抑える薬だよー。 体に重度の負担がかかる程の力を、出る前に止めるんだー。 これだけで、持久力はグンと上がるはずだよー」


場所はBLACK基地の前、回復したリイアに、シグレは出来たばかりの薬の説明をする。


「感情が高ぶると、上手く力を制御できないみたいだからねー。 自分では抑えきれない力を、薬が代わりに抑えるって訳だよー」


リイアの服は血だらけになってしまったので、それによく似た白い絹地のワンピースを着ていた。カレンが買ってきてくれたらしい。


「一回打ったら、効果は1時間ってとこかなー。 それが切れたら、暫くは使えないからねー、使う場面は気をつけてねー」


双子とクロも、この場にいる。


この基地にいる必要のなくなったリイアを見送るためだ。


「あと、どうしても改善できなかったんだけどねー、その目を青くしちゃったら、見る見るうちに薬は切れるからー。 薬打ってる間は使わないでねー」


そしてシグレは、大きめのケースをリイアに渡した。


中には注射器が5本入っている。


「いろいろめんどくさいだろうから、もう注射器にセットしといたからー。 まぁ、普通に生活してて戦闘することなんてほとんどないから、5本も必要ないと思うけどねー」


「この道を真っ直ぐ進むと、街がある。 さらに街の端に行ったところに、エリックさんっていうおばあさんが住んでる。 大体の事情は書いといたから、そのおばあさんにこの紙を見せるんだ。 あの人は世話好きだから、きっと了承してくれるよ」


言いながら、クロは紙を渡した。


「…………」


リイアは動かない。


4人も、動かない理由を察している。


「……クロ「駄目だ」


リイアが何か言う前に、クロは言った。


「君の性格は分かったし、君の強さも分かる。 君が何を思っているのかも……。 でも、絶対に駄目だ。 僕は君を、ブレイカーとして認めない」


頼む前から断られ、リイアは俯く。


「そもそも君はこの世界にいてはいけない人間だ。 本来なら、どうしたら元の世界に戻れるかを考えなくちゃいけないんだよ? そんな君を、僕らの仕事に就かせるわけにはいかない」


「…………」


リイアは動かない。


「……はっきり言って、迷惑なんだ。 さっさと行ってくれ」


クロは冷たく言う。


それでも動こうとしないリイアに、クロはもう何も言わず背を向ける。


基地の中に入ろうとしたが、とつざん響いたザンッという音に振り向く。


リイアが刀を地面に突き刺した音だった。

 

「この刀は『輪廻刀』、護刀流に継がれる刀だ」


クロの目を真っ直ぐ見据え、リイアは言葉を紡ぐ。


「護刀流は、どういう流派だと思う? 護刀流は、何がために刀を振るうと思う?」


一度もそらすことなく、クロの目を見つめる。


「その名の通りだ。 護刀流の刀は、誰かを傷つける刀じゃない。 護刀流の刀は――」


刀の鞘をしっかりと握り、自らの誇りを再確認するように、少女は語る。



「――何かを、護る刀」



曇りのない目で、少女は言う。


一族の皆に嫌われ、蔑まれ、殴られ、罵られ、それでも少女は、一族に誇りを持っていた。


「護る対象は代々違う。 それは時に一国の王であり、やくざの頭であり、……一般人の女の子でもあった」



当主に刀を授けられ、何を護りたいかと問われた。


少女は答えた。たった1人の友を護りたいと。


唯一自分を、化け物としてではなく、『友達』として見てくれた親友を護りたい、と。


しかし、少女の護るものはもうなくなった。


護るもののない護刀流に、存在価値などない。



「私に、お前達を護らせてほしい。 私に、私の生きる価値を与えてほしいんだ!」



そう言いながら、クロからもらった紙を思いっきり破り捨てる。



見ず知らずの自分を助け、看病してくれた。


勝手に戦って勝手に倒れた自分を、本気で心配してくれた。


銀髪を見ても、金色の目を見ても、寿命の見える目を知っても、怖がらずに接してくれた。


そして、「君は悪くない」と言ってくれた。



護りたい、と思った。


この人達を、自分に優しさをくれた人達を、心から護りたいと思った。



「駄目だ」


そんなリイアの願いは、またも断られる。


「もう君に、血を見せたくないんだよ。 天使には、汚れのない姿で笑っていてほしいんだよ。 君を、ブレイカーにすることはできない」


「……それなら、こんな刀いらない」


「?」


「護るもののない護刀流に、意味なんてないんだ。 どうしても出ていけというのなら、この刀はここに置いていく」


神崎一族は、呪われた血。


刀を失くした護刀流は、その運動能力を奪われる。


その状態でハンターに襲われば、待っているのは確実に死だろう。


「それでもまだ納得してもられないのなら、この腕もいらない」


リイアは左手で刀を抜き、自分の右腕に構える。


「この腕も、何かを護るための腕だ。 そのために刀を振るうためだけのの腕だ。 私に、誰かが傷つく裏で平然と生きろというのなら、こんな腕など――!!」


「……っ!」


腕に振り下ろされる寸前のところで、クロが刀をはじいた。


「……本気、だっただろう。 今僕が出ていかなければ、本気で自分の腕を斬り落とすつもりだっただろう。 君は……君はなんて馬鹿なことをするんだ!?」


「本気に決まっている! 元々は友のための腕! 友のための命! 護るべき者がいなくなり、絶望し! やっとまた護りたいものができたのに、何故それを見捨てることなどできよう!!」


リイアの目は、決して揺るがない。


クロの目から、絶対に目をそらさない。


「……ハァ。 何で、いつもこう……」


クロは額に手を当て、ため息をついた。


それからまたリイアと向き直り、言った。



「BLACKのマスター、クロが承認する。 神崎リイア――ブレイカーとして、寿命を狩る、ハンターを狩れ」



こうして、神崎一族ならびに護刀流17代目当主、天使の様な銀髪と呪われた目を持つ少女は、ブレイカーとしての命を受けたのだった。




  
















■□■□■アトガキ■□■□■

アト「おぉ。 2日連続で投稿するとは、僕の脅し……注意が効いたかな」


レイン『アトちゃん、もうごまかしようのない腹黒だからね』


「にしても、やっとリイアがブレイカーになったね」


『長かった……』


「いたるところで戦闘ストーリーって宣伝してる割には、戦闘ほとんど入ってないよね」


『うっ……、これから入るんだもん! もうちょっと先になるかもだけど……』


「時に管理人、パソコンに向かってていいの?」


『どーゆーことさ』


「部活行くまでに宿題全部終わらせなきゃいけないんでしょ?」


『hahahahahahahaha』


「うわ、壊れた」


『I am Rein! hahahahahahahaha』


「もう中3なんだから、もうちょっと難しい英語使ってよ」


『無理だね


「あ、戻った」


『とくに話すこともないし、そろそろ終わろうか』


「宿題しないと、母様に怒られるもんね」


『hahahahahahahaha』



グダってすみません;



大声と共に、乱暴に扉を開ける音が聞こえ、荒々しい足音が響いた。


足音の主は、病室の扉を開けた状態で止まっているクロを見つけると、迷わず蹴りを繰り出した。クロは慣れた様に避け、その拍子に2人とも病室の中へと入っていった。


「誰かと思ったらハリス隊長殿ではないですか。 この部屋には病人もいるので少しはわきまえてもらえないでしょうか」


ハリス隊長と呼ばれた男は追撃を開始しようとしたが、リイアの姿を見て何とか踏みとどまる。


20代と言われてもまだ納得できるが、30代と言われたら思いっきり頷ける様な、若者とは言い難い容姿だった。


服装は紺色の軍服で、腰には海賊が持っている様な湾曲した剣を左右2本ずつ、計4本さしている。


「……黒猫! てめぇは何度バッチを失くしたら気が済むんだ。 これで何回目だと思ってやがる!!」


バッチと聞き、リイアはシグレに見せてもらったものを思い出す。


確か、高価な鉱石を使っているため失くしたら自警団からの信用が落ちるとか。


「13回目だね」


よくマスターの称号が剥奪されないものだ。


「そんな細かい数字を覚えてるぐらいなら、ちょっとは気をつけやがれ!」


「でも隊長、普通戦闘してたらポロッと落ちるものだよ」


「普通はポロッと落ちないところに保管するものだがな」


「別にそんなものなくても、さすがにもう僕の顔は覚えただろ? ブレイカーとしての証明なんだから、僕には必要ないじゃないか」


「ブレイカーとして動きたいがために顔を変える馬鹿野郎もいんだよ」


扉の方を見ると、いつの間にか双子もいた。


リイアが耳打ちで、


「あの人は……?」


とシグレに聞いた。


「自警団第一部隊の隊長さんだよー。 自警団は第十五部隊まであって、戦闘をする隊士の中では、実質あの人がトップなんだよー」


「すごい人じゃないか! ため口で大丈夫なのか?」


「うーん、本来は敬語で話すべきなんだけどねー。 クロ君はあの人の親が自警団に入団してからの付き合いだからねー。 第一部隊とは何かと関わりも多いしねー」


言いながら、シグレはポケットから時計を取り出して見た。


「そろそろドーピングも切れるし、横になっとこうかー」


リイアを寝かし、また器具を着ける。


麻酔を投与した様で、リイアの目はだんだんととろんとしていき、眠りについた。


「シグレ、リイアは大丈夫なのですか?」


カレンが心配そうに聞いてきた。


「大丈夫だよー。 着々と回復してるからー。 ドーピングの方も、これで多分完成するー……してみせるよー、僕の名誉にかけて絶対にー」


神崎一族のドーピングを簡単に作ることが出来なかったのが余程悔しかったのか、シグレの目は闘志に燃えていた。


そもそも、新しい薬を作るということはそんなに簡単なことではないのだが。


リイアがちゃんと回復していることを聞き、カレンは安堵のため息をつく。


その横では、クロに殴りかかろうとするハリスを、カノンが必死で止めていた。


「止めんじゃねぇ! 今日という今日は絶対ぶん殴る!!」


「ま、まぁ落ち着いてくださいよ隊長。 あんたら2人がガチ喧嘩したらこの家吹っ飛びますから! ってかクロもニコニコ笑ってないでさっさと謝れー!!」


そんな可哀想なカノンを背景に、シグレは椅子から立ち上がった。


どうやらこれからまたドーピング作りに没頭するようだ。


「待て」


病室から出ようとするシグレに、ハリスが声をかけた。


「一応てめぇらも聞いといた方がいいだろう。 業務連絡だ」


4人全員がハリスに顔を向ける。


「ローラ嬢が、今日付けでマスターを継いだ」


クロの笑顔が微妙に、本当に微妙に引き攣った。


「……早くない?」


「先代が病を患ってな。 善は急げと継いだそうだ。 次の会議から参加する」


「あぁ、そう……。 それなら、しょうがないね……」


笑顔のまま床を見つめるクロ。


その様子を、シグレは楽しそうに、カノンは苦笑いで、カレンは無表情で見る。


「それともう1つ」


ハリスの声に、緊張感が入った。



「『死鳥(デス・バード)』の4番目が殺られた」



沈黙が流れる。


意味が分からないという訳ではない。分かった上で、尚も誰も口を開かない。


暫くしてクロが、何かを考え込むように口元に手をやりながら、言った。


「4番目って言うと……孔雀さんかな」


「あぁ、孔雀のライクだ。 ズタボロになった死体が、死鳥(デス・バード)の基地の前に捨てられてたらしい」



死鳥(デス・バード)――鳳凰ガイキが率いるブレイカーグループ。


団員は全員カラスマスクをしており、鳥名の二つ名を持っている。


15人近くいるこのグループには、他とは群を抜くトップ5がいる。


その中の1人、孔雀のライク。


4番目と言っても、国を支える一角の中の4番目だ。その戦闘力は凄まじい。


ただのハンターに、殺られる様な人間ではない。



「ルシファーの仕業だと、俺は思う」


「たぶん正解だよ。 そんな大胆なこと、それなりの自信がなくちゃできない。 ……ガイキ君、まだ正気を保ってる?」


「相当お怒りだ。 俺に報告する時の目もめちゃくちゃ血走ってたぜ。 ありゃルシファーを本気で潰しにかかるな」


そこまで言って、ハリスはクロにバッチを投げた。


「お前らも気をつけろ。 下手すりゃブレイカーがハンターに喰われることになりかねねぇ。 黒猫、もう絶対バッチ失くすなよ。 失くすなよ。 失くすなよ」


きっかり3回言って、ハリスは出て行った。


「んー……、また何でガイキ君を逆撫でするようなことするんだろー。 死体なんて適当に処理しとけば、行方不明で済んだのにー」


「挑発、でしょう。 自分達はその気になればブレイカーを潰せる、とでも言いたいのはないですか?」


「ちっ、悪趣味だぜ」


「全くだね。 後々絶対後悔するよ」


クロはいつもの笑顔で、



「『鳳凰』を本気で怒らせて生きている人間なんて、僕の知る300年では見たことない」














■□■□■アトガキ■□■□■

アト「遅すぎ」


レイン『アトちゃん、開口一番でそれはないと思う……」


「そもそも管理人は一話分を書き始めてから投稿するまでが長すぎるんだよ。 一回紙に書いてから写せばいいのに」


『だって、めんどくさいじゃん♪』


「その考えのせいで、今まで何度アトガキまでいって全てが白紙になったのかな?」


『い、今はちゃんと小まめに保存するようになったもん!』


「まぁいいや。 死鳥(デス・バード)って……。 『死鳥』の部分いる? 何でわざわざ漢字を無理やり……」


『BLACKは英語なのにデス・バードは片仮名って変じゃん。 禁書目録ではよくつかわれる表現だしさ。 憧れてたんだよ』


「パクリかよ」


『パクリだよ』


「開き直りやがったこいつ」


『それより、皆様に謝罪することがあります。 前回、シグレがブレイカーの数を「20人くらい」と言っていたのですが、話の都合上「40人くらい」に変えました。 誠に申し訳ありません』


「20人と40人って大分違うよね」


『ほら、アトちゃんも謝って!』


「この度は僕の躾が足らず、ご迷惑をおかけしました。 全ては管理人の責任です」


『君に躾けられた覚えはないし、結局全部私のせいになってるよねこれ? まぁそうなんだけどさー』


「ノープランでいくから……」


『という訳でアトちゃん、君にどうしてもやってもらいたいことがあるんだ』


「え? あ、ちょっ、やめ……!」


――――しばらくお待ちください――――


「どくしゃのみなしゃん、ほんとうにすみまちぇんでした」


『萌え~~~!! ロリっ娘が! ショタっ子が! ダボダボの服を着て! 上目遣いで!!』


「管理人コロス」


『へっへーん! 結局君は私によって作られているんだよ! 妄想アトちゃんマジ可愛いからうふえへあは』


「誰かこいつを底なし沼に沈めてくれ」


『けして私はロリコンでもショタコンでもないんだよ。 ただお持ち帰りしたくなるだけでアトちゃんチェーンソーは流石に死ぬからやめてー!!


「僕のロリショタ設定は覆されないのか……!!」


『もう諦めなさい。 私は大好物だ』


「管理人コロス」


『ア、アトちゃんが本気で殺人計画を練り始めたので、今回はこの辺で。 長文失礼しましぎゃぁぁぁぁ!!』


「管理人コロス!!」



管理人の無事をお祈りください――。













   












初めて自分の体の弱さを知ったのは、幼稚園の運動会だった。


立って歩けるようになった頃から刀を持ち修行していたリイアは、特に足に自信を持っていた。


つまりは、かけっこが楽しみだった。


いつも鬼ごっこで速いと言われている子よりも、絶対自分の方が速い。


スタートラインに立つ。周りのざわめきが聞こえる。


銀色の髪に金色の瞳という日本人離れした外見は、自然と周りの目を変えさせた。


それは、幼いリイアも何となく感じていた。


みんなに認めてもらえれば、きっと友達になってくれる。きっと、一緒に遊んでくれる。


鉄砲の音がして、走り出す。


誰よりも速く走って、誰よりも速くゴールに着いて、みんながすごいと言ってくれる――はずだった。


(足が、上手く動かない……!!)


周りの目は、全く変わらなかった。


自分は特別な体をしているんだ、と後で父上から聞いた。


刀なしでは生きていけない神崎一族。その中でも、自分は特別弱い体をしていると。




「じゃあ、その目があるせいでリイア君の体は弱くなってるのー?」


「多分だがな。 この目が青くなっている時は、体の消耗も早い」


シグレの問いに、2度目の簡易的ドーピングを打たれて意識を取り戻したリイアが答えた。


他の3人はどこだと聞いたら、仕事だよー、と言われた。


「なるほどねー。 だから、なかなか繋がらなかったんだー」


それはそれは清々しい顔をしたシグレが、メモ用紙にすごい勢いで何かを書き込んでいく。


リイアは少しだけ覗き込んでみたが、見たことない単語や記号が並んでいたため目をそらした。


「ちょっと目、変えてくれるー? 青い目の時の血を採取したいんだー」


もちろん、と承諾し、前と同じように右目を手で覆い、青い目に変えた。


「うーん、金色が青に変わる瞬間も見てみたいんだけどなー」


「勘弁してくれ。 結構集中力が必要なんだ。 本来、勝手に青くなっては元に戻るのを無理やり制御しているんだしな」


残念がりながらも、着々と注射の準備をするシグレ。


それを見ながら、そういえば、と思い出した疑問を口にした。


「何であの時は制御できなかったんだろう?」


この世界に来たばかりの頃、その目は何度戻そうとしても戻らなかった。


「あー、多分まだこの世界に慣れてなかったんだろうねー。 不安定だったんだよー」


言いながら、リイアの腕に注射器を射した。


突然の痛みに顔をしかめるリイアに悪びれる様子は全くなく、専用の容器に注射器を入れた。


「……シグレは、ブレイカーとやらじゃないのか?」


「んー? 僕もブレイカーだよー。 BLACKの一員ー」



ブレイカーとは何だ。


数々の話を聞いてきた中で、リイアに残っている疑問の1つだった。

話を聞いていると、ブレイカーというのは一種の職業だ。


名前も知らない男の子が死にたがっていたが、クロが言うには罪のない人間は殺さないらしい。


ちなみにその男の子が護りたかった妹は奇跡的に体調が良くなり、助かったそうだ。


まぁつまり、シグレの様な医者もブレイカーであれば、カレンやカノンの様に幼い(実際は何歳か知らないが)人間もブレイカーである。


ブレイカーとは、どのような人間を指すのだろうか。




「……ブレイカーについて、ちょっと説明しとこうかー」


リイアの疑問を察したのか、シグレは椅子に座って話し始めた。


「他の国のことは置いといてー、とりあえず僕らの国『カナリア』のブレイカーについて話すねー」


この国の名は『カナリア』というのか、という事も初めて知った。


「今リイア君が知ってるだけでも、ブレイカーは4人いるでしょー? もちろん僕ら以外にもいてー、うーん……40人くらいいるかなー。 正確な数は把握できてないけどー」


「40人……そんなものなのか?」


犯罪者を狩る、と一見警察の様な働きだから、てっきり100人くらいはいるのかと思った。


「基本的に自警団の仕事だからねー。 その中でも本物……っていうか正式なブレイカーは3人だけなんだよー」


「たった?」


「自警団直属なのはねー。 元々、当時、暴れてたハンターを次々戦闘不能にして名声を得た3人を見て、誰かがブレイカーって名付けたんだよー


「では他の者達は何なんだ?」


「仲間……部下、かな。 その3人をマスターって呼ぶんだけど、マスターからの承認を受けた人がブレイカーを名乗れるんだよー」


シグレは白衣の内ポケットから小さなバッチを取り出して、リイアに投げた。


それは金とも銀とも言えない妙な色で、裏まで複雑な模様が彫られていた。


「それ、ブレイカーの証ー」


そんなにぞんざいに扱っていい物なのかと思ったが、特に気にしている様子もないので、そこまで大切な物でもないのだろう。言えばいくらでももらえるのかもしれない。


「それ無くなったらその間はブレイカーじゃないからねー。 しかも簡単に複製されないように高額で珍しい鉱石使ってるみたいだから、失くしたら自警団からの信用もガタ落ちなんだよねー」


「っておい! めちゃくちゃ大切な物じゃないか!」


慌てて落としそうになったのを何とかキャッチしながら、こいつはこういう奴なのかと理解する。


「あ、ちなみにクロ君もマスターだからねー」


あたふたするリイアを全く気にすることなく、シグレは話し始めた。


クロがマスター――それは予想の範囲内だった。それどころかもしかしたら世界で一番初めのブレイカーはクロかもしれないのだ。


とすると、カレンやカノン、シグレのマスターはクロなのだろう。


つまりブレイカーとは、マスターから認められれば誰でもなれるものなのだ。


「……あれ? ってことは、ブレイカーになるにはマスターから認められる以外ないってことだよな」


「そうだよー」


「マスターは3人だけなんだろ? もしも死んだらそこでブレイカーの歴史は終わりか?」


そもそも、クロのような特例は置いといて、寿命が何百年ももつ筈がないのだ。


ならば何故、今もまだブレイカーは40人もいるのだろうか。


「あぁ、クロ君以外の初代マスターはとっくの昔に亡くなったよー」


「え? じゃあ今いる40人は全員クロが承認した者なのか?」


「違うよー。 マスターは受け継がれるんだー」


「受け継がれる……?」


「そうー。 子孫へ、もしくは最も信頼のおける仲間へー。 全ては前マスターの意で決定されるんだー」


「なるほど……」


確かに、そうすればブレイカーがいなくなることはない。


「質問はありますかー?」


まるで小学校の先生のように、シグレは首をかしげながら聞いた。


「……ブレイカーと自警団の違いは?」


「えっとねー、一応、ブレイカーは自警団の下についてるんだよー」


「一応ってのは?」


「自警団の強みは数の多さなんだー。 正義感の塊のような人間が大量にいるー。 でも、数だけじゃ対応しきれないって場合もあるでしょー?」



戦闘において、数ほど脅威なものはない。


少数派が多数派にぶつかったとき、少数派の誰もが、『勝てない』と心のどこかで思ってしまう。


精神的な引け目。そこが1番の突破口となる。


そして物理的にも、少数が有利になることはほとんどない。


精神的な引け目にくわえ、肉体的にももちろん引けが出る。


が、時に――ごくごく稀に、その理論が通用しない人間というものが存在する。



「圧倒的な、実力差……」


「そー。 そこで自警団は僕らに依頼するって仕組みー。 まぁ自警団にもブレイカークラスの人間はちらほらいるみたいだけどねー。 特に何故かこの国は、実力者ハンターが集まってるし、それだけじゃ全然足りないんだよー


迷惑なことにねー、と、シグレは背伸びをした。


とそこで、扉の開く音と共に話し声が聞こえた。


「あ、クロ君たち帰ってきたみたいだねー」


「なぁ、シグレ」


「何ー?」



「クロって本名か?」



「……違うよー。 良く分かったねー」


「何か、しっくりこなかったんだ。 何故偽名を?」


「本名は僕も知らないー。 あの通り、彼って真っ黒でしょー? そんで鎌なんて持ってるから、『死神クロ』っていう名前で勝手に噂されたんだよー。 まぁ、本名教えてくれる気もなさそうだし、もう定着しちゃったしねー」


「真っ黒だから、クロ……。 猫みたいだな」


リイアがそう言うと、シグレは少し驚いた顔をした。


「クロ君を猫だなんて例えたの、君で2人目だよー……」


すると、病室の扉が開いて、クロ達が入ってきた。


「ただいま。 リイアの状態はど「くーろーねーこー!!!!」


耳をつんざく大声が響いた。


「わー、来たー」


















■□■□■アトガキ■□■□■

「管理人、サボりすぎじゃない?」


レイン『はっ君は! このブログはシリアスムードが強すぎてギャグを作りにくいと私が授業中にほんの少しだけ思い浮かんだ性別不明のアトちゃんじゃないか!』


アト「説明ありがとう。 というわけで今回から管理人をシバいて行こうと思います、アトです。 よろしく」


『アトちゃん、私は君に何かしたかな?』


「そもそもアトガキに出るからアトって単純すぎるんだよ。 どうせ僕の容姿も考えてないんでしょ」


『失礼な! ロリショタ系ってのは決めてるさ!』


「管理人コロス」


『やーめーてー! 良いじゃん可愛いじゃん! あっそろそろ本題に入ろうよ。 ねっ?』


「ちっ……。 今回はリイアと読者への説明文だね。 やっぱ主人公がトリップするタイプは主人公に説明するふりして自然に読者にも説明できるからいいよね」


『……大人の事情は出さなくていいの』


「強いハンターが多い国『カナリア』、そこに存在する3人のマスターとその部下のブレイカー、そして自警団」


『んで、クロが本名じゃないっていう事実。 最後の大声は誰のものなのか』


「毎回こんな風にあとがき書いてるけどさ、結局これって本文のおさらいしてるだけだよね」


『そんなこと、君を作った私が1番思ってるさ!』


「じゃあ次からは、僕が管理人で……管理人と遊ぶってことで」


『アトちゃん、本心まる分かりです。 却下』


「そんな……。 管理人は僕のお母さんみたいなものなのに、一緒に遊びたいって思うのもダメなの……?」


『うっ……。 うる目なんかで私を落とせるとでもごめんねアトちゃん一緒に遊ぼう』


「じゃ、次回から『管理人に一喝!アトのきつ~い突っ込み!』はじまるよー」


『騙されたぁぁぁぁ!!』


「みんな! また見てくれよな!」


『誰!? あぁでも見てくださいお願いします!』


「まぁ駄文だけどね」


『否定はしないけど改めて言われるとムカつくね』


コメントお待ちしています♪






ある家に、決して大きくはない家に、少し変わった花の紋様を付けたその家の中に、とある少女と女性がいた。


少女はまだ幼く、辛そうな顔でベッドに横たわっていた。


そして少女の母親らしき女性はその隣の椅子に座り、祈るように少女の手を握っていた。髪はぼさぼさで痩せており、疲労が溜まっていることが見てとれた。


荒い息遣いをする少女の頭をを心配そうに撫でる女性の耳に、扉を叩く音が聞こえた。


「ニア!?」


急いで立ち上がり扉を開けたが、そこにいたのは望んだ我が子の姿ではなかった。


「あ……。すみません、何用でしょうか?」


黒いマントを纏った黒髪の少年は、失礼します、とだけ言って家の中へと入った。その手には、大きく長い袋のようなものを持っていた。


「え、ちょっと! そっちには病気の娘が……!」


女性の声は聞かず、不思議そうに少年を見つめる少女の顔をじっと見た。


「やっぱりだ。確かこの子と一緒にいたはず……」


「あ、あの。どちら様でしょうか?」


困惑した様子の女性に、


「あぁ、突然申し訳ありません。あなたに、とても大事なことを伝えに来ました」


今度はしっかりと受け答えた。


「大事なこと……?」


「そうです。あなたの子供はこの子だけですか? もう1人、お兄ちゃんがいませんか?」


「はい……確かにいます」


「そのお兄ちゃんは、行方不明になってたりしませんか?」


「え!? えっと……は、はい」


何故そんなことまで知っているのか。そもそも何故子供のことを知っているのか。



女性には、今ベッドに寝ている少女の他に、もう1人子供がいる。


が、少年の言うように、その子は数日前から姿を見せない。ちょっと出かけてくる、と言ったきり、そのままずっと帰ってこないのだ。


黒髪の少年に間違えて言った『ニア』とは、その子の名前だった。



「それで、もしかしてそこの子は、メイちゃんだったりしませんか?」


「え……」


そこまで知っていると気味が悪い。知り合いならまだしも、初対面で、しかも見慣れない黒髪なのだ。


「何でそんなに知っているのですか……?」


さりげなく娘と少年の間に体を入れながら、女性が聞いた。


「あなたの息子さんに聞きました」


「ニアを見たんですか! あの子は今どこに!?」




「お亡くなりになりました」




淡々と、少年は女性に告げた。


「え……? 今、何と?」



聞こえなかった。聞き取れなかった。



「あなたの息子は、お亡くなりになったんです」



また聞こえなかった。この人は何を言っているのだろう。



「ハンターに殺されました」



聞こえない。聞こえない。聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない――。



「すみません。息子さんを、助けることができなかった」


「あ……、あぁ……」


はっきりと、聞こえてしまった。


女性は言葉を失った。


1つ、また1つと涙が落ちて行き、女性は膝から崩れ落ち泣き叫んだ。


「どうして……。 どうしてニアまで……!!」


ベッドに横たわる少女は、まだ言語能力が不十分らしく、何故母親が泣いているのか分かっていなかった。



「悲しみのところ悪いのですが、……本題はここからなんです。少しメイちゃんと離れられますか?


女性は半分放心状態だったが、震える体で頷き、少年を別の部屋へと案内した。


少年は袋を担ぎ、女性の後について行った。



「何で……しょうか……」


だいぶ落ち着きを取り戻した女性が、少年に聞いた。


「多分、ニア君は死ぬためにわざわざ危険地区に来たんです」


「死ぬ、ために!? 何であの子が死ななくてはならないのですか!」


掴みかかりそうな女性の疑問に、少年は答えた。


「妹を、メイちゃんを助けるためですよ」


「メイを? ニアが死んだらメイの病気が治るというんですか? あの子はもう治らない。もう死ぬんです! ……まさか」



そうです、と言って少年は続けた。



「ニア君は、瀕死の状態で家に帰り、メイちゃんに殺されるつもりだったんです」



「何て、馬鹿なことを……」


「まだあんな小さな子供です。自分で瀕死の状態になるのは、やっぱり怖かったんでしょうね」


女性は再び泣き崩れた。


少し変わった花の紋様は、ベチア教の証。


ベチア教は、命の延命を試みること――つまりは殺人を何よりも許さない。


それを破ってでも、我が息子は妹を護るためにその命を散らすことを覚悟したのだ。


そして息子の試みは失敗し、2人とも死んでいく。


自分を取り残して。



「何で……。お願いだから、1人にしないで……」


そんな女性を見ながら、少年は担いでいた袋を女性の前に出した。


「開けてください」


言われたとおり開けて女性は、ひっ、と顔を引きつらせた。


その袋の中には、刀傷を大量につけた男が入っていた。


「この男は、ニア君を殺した張本人なんですが……」


少年は女性の手を引っ張り、男の脈を取らせた。


「この通り、彼はまだ生きてるんです。まぁ、二度と目を覚ますことはないですが」


確かに、男の体にはまだ血が巡っていた。


「そしてこの男はですね」


少年はそこで一度言葉を切って、女性の目を見た。



「これから僕の手違いで、命を落としそうなんです」



その言葉を聞き、女性の体が固まった。


「わ、私達は、ベチア教は常に、神への感……謝を胸に抱き、け、けして延命のために殺人を犯してはならない……。たとえ……たとえそれが、愛する者のためだとしても……」


「手違いなのだから仕方ないですよね。あ、そうそう。ニア君は死ぬ直前、胸に銃弾撃ち込まれた死にかけの状態で、メイのところに連れて行ってと、必死に僕に言ってきたんですよ」


「……」


女性は頭を抱え、自分の中の何かと戦っているように見えた。


「ところで、僕はこの近くでちょっと用があるのですが、暫くの間この『荷物』を預かってもらえませんか? そうですね……大体2時間くらいで戻ってきます」


そう言いながら男の体を袋の中に戻し、家から出て行った。


残されたのは、泣き崩れた女性と男が入った袋。


猶予は2時間。


1人にはなりたくない。このままだと、愛した人と同じ病気で娘は死んでしまう。


でも、娘に一生罪を背負って生きていけというのだろうか。



「う、あ……」



女性の中に、子供達との思い出が蘇る。


妹の手を引き、笑いながら歩く兄。


誰から見ても良い兄妹で、将来兄離れできるのかな、と心配したほどだ。


どんどん弱っていく妹を見て、思いつめた表情をしていた兄。


どうしてあの時に、気付いてやれなかったのだろう。



――胸に銃弾撃ち込まれた死にかけの状態で、メイのところに連れて行ってと、必死に僕に言ってきたんですよ。



「うあああああああ!!」



女性は拳を床に叩きつけた。


「ま、ま? どう……したの?」


途切れ途切れに聞こえてくる、苦しそうな娘の声。


「……」


「まま?」


女性は立ちあがって、部屋の中から何かを探し出し、娘が寝ている部屋へ戻った。


「何でもないよ? ごめんね。大丈夫だから」


「まま、ないて、る? いたいの……な、いない」


教えたおまじないを言いながら自分の手を握る娘を、愛おしそうに撫でた。


「大丈夫だって。 メイ、ちょっとこれ握って?」


「こーう?」


小さな娘は、自分が持っているものがどういうものかを知らない。


「じゃあ、そのまま腕振ってみて」




小さな娘は、言われたとおりに袋にナイフを突き刺した。





「助かりました。ありがとうございました」


そう言って黒髪の少年が、来た時にはなかった染みをつけた袋を受け取った。


「あなたは一体……何者なんですか?」


少年の真黒な目を見つめ、女性が訪ねた。


「ブレイカー、BLACKのメンバー……死神クロと呼ばれています」


「あ、あなたが……?」


驚きに目を見開く女性に、クロは人差し指を立てて自分の口元に持って行った。














■□■□■アトガキ■□■□■

春休みが終わり、今日から3年生です!

長期休暇って、最初は楽しいですよね。

でもだんだん、宿題しないとって雰囲気になって、周りが「どんぐらい終わったー?」って話してるとき頑張って話題から外れてるレインです。

この3日間、平均睡眠時間が3時間。必死のかいあって無事終わりました。

え? 最後の3日で終わるなら、何で最初の3日で終わらせないんだよ? そんなの私が1番思ってます。毎回思ってます。


さて、今回は5~8話に出てきた男の子の謎解きですね。

あの男の子――ニアは、妹メイの寿命を延ばすために自らの命を差し出そうとしたんです。

弱っていく妹を見て、自分が護りたいととった方法です。

それは心優しい兄で、とても残酷な息子です。

母を一番悲しませる方法なのですから

そして弱った娘を見た、息子の思いを感じた母親の決意。

母娘は十字架を背負う厳しい人生を生きていくのです。

1人で生きていく人生と、罪を犯し2人で生きていく人生。

果たしてどちらが正解だったのでしょうか。



ところで、疑問に思った方いると思いますが、寿命還元システムって、自殺するとどうなるんでしょうか。

それも後々書いていきたいと思います。


来週のレインさんは

   レイン、テストを受ける。

   レイン、テスト返却

   レイン、灰になる。

の3本です!

それではまた見てくださいね。

ジャン・ケン・ポン! うふふふふふふ♪



超長文失礼しました。




















































「…………」


クロの話を静かに聞いているリイアは、時に目に涙を浮かべ、時に怒りに震えていた。


「――っていうのが、この世界が壊れるまでの話だよ。まぁ僕らは無信教だけどね」


話が終わり、クロが長い息を吐いた。


「それで、それからまた数百年の時を経て、怯えてるだけだった民間人が、遅すぎるけど自警団の設置を提案したんだ」


「んで、ブレイカーに報酬を払うようにもなったんだよー」


シグレが、椅子を回しながら言った。


リイアはなるほど、と頷いた。そして、


「え? ちょ、ちょっと待て。じゃあお前らの寿命がそんなに長いのは……」


言った疑問に、クロが悲しげな目で答えた。


分かるだろ?」



人を、殺した――?



直後、リイアがクロの胸倉を乱暴に掴んだ。


怒りの目でクロを見据え、そして咳きこんだ。


「ほらー、まだ安静にしてなきゃダメだってー」


シグレが制止する手を払い、またクロを睨んだ。


「何人殺した?貴様等全員人殺しの経験があることは承知した。クロ、お前の寿命は尋常ではない。一体何人もの命を奪ったというんだ!?」


「1人だよ」


唇を噛み締めながら、苦々しくクロが言った。


予想外の言葉に、リイアは一瞬手を緩めた。


「僕は過去に、1人の命を奪った」


「嘘をつくな!! たった1人の寿命ではない!」


また強く握り、クロを問い詰める。


が、その手をカレンが押さえた。


「本当の事なんです。リイア」


「そんな訳がないだろう!? クロの寿命は――」


「リイア!」


カレンの叫び声で、自分が言ってはならないことまで言いそうになっていたのに気づく。


寿命を口にしないのは自らで決めたルールだった。


カレンはリイアの腕に手を持って行き、握った。


「とりあえず、この手を放してください。まだあなたは安静にしておかないといけません」


表情は変わらず無表情であり、声も先ほどの様に荒げることなく機械的な声だったが、腕の痛みから、彼女が怒っていることが分かった。


素直に応じ、クロの服を掴んでいた手を放す。


「……どういう事だ?」


「簡単な事です。クロは今まで1人しか殺していません。それは事実であり、そしてクロの寿命が大勢の命を奪ったように増えているのもまた、事実です」


「だから、それの意味が分からないんだ」


「少し考えれば分かる事。リイア、もし大量に殺人を犯した者を殺したら、その人はどうなると思いますか?」


「あ……」


単純な足し算だ。


3人を殺し3人分の寿命を得た人間を殺したら、4人分の寿命が手に入る。


100人殺した人間を殺したら、101人分の――。


「そうか。ではクロは、ブレイカーとしてハンターを殺してしまったのだな……」


全て納得がいった。


クロは誤ってハンターを殺してしまった。そして大量殺人をしていたそのハンターの寿命を受け継いでしまった。


「いや、僕が殺したのはハンターじゃない。罪などない1人の女性だよ」


「なっ……! ならば何故お前の寿命はそこまで――」


「僕は母を殺した。この世でたった1人しかいない、唯一無二の母親をね」


「!!」


「言っただろ? 君によく似た母さんが居たって。あ……そうか、そうだったんだ」


何かを思いついた風に、クロは口元に手を持って行った。


「もしかしたら母さんは、君と同じ目を持っていたのかもしれない」


「この……寿命の見える目を?」


「あぁ。そうか、だから母さんは右目を潰したんだ……」


1人で納得したクロは、また話を戻した。


「母さんは戦争で人を殺した。そしてその母さんを僕が殺した」


「だが、戦争はもう終わって平和になったと……」


「だから、僕はまだ戦争があった時代に母さんを殺したんだよ」


リイアの目が見開いた。


「それじゃあ……」


「僕は今何歳なんだろうね? 少なくとも300は超えてるよ」


あり得ない。あり得ないが、この世界の常識を考えれば考えうること。


容姿から見て、同じくらいの年だと思っていた。


さっきの話で、寿命が延びれば老いが遅くなると言っていたではないか。


「……悪いけど、ちょっと疲れたから寝るね。リイア、絶対安静だよ」


そう言って、クロは医務室から出て行った。


まるで、もうこの話はしたくないとでも言うように。


暫く誰もしゃべらず、沈黙が流れた。


その沈黙を破ったのはリイアだった。


「すまなかったな」


「え?」


「取り乱したりしてしまって。仕方ないことなんだよな。この世界では、人が殺されるのが当たり前の世界なんだよな。それでも――」


「そうだと思うか?」


カノンが、寂しげな笑顔を見せた。


「それを言われると、ブレイカーである俺たちの立場がなくなるんだけどな。クロの名誉のために言うけど、あいつは母親を憎み恨んで殺したわけじゃないんだぜ」


「そんなの分かるさ。あんなに悲しそうな顔をされたら、誰でも分かる。クロだけじゃない。お前らは好き好んで人を殺すような人間ではない。真っ直ぐな目をしているからな」


リイアの言葉を聞いたカレンが、隣のカノンの服をきゅっと掴んだ。


「クロは……母上様に殺させられたんです」


「殺させられた?」


「あまりその話はしてくれないのですが……。当時クロは病弱で、いつ死んでもおかしくない体だったそうです。いつも通り母上様の帰りを待っていたら、帰ってきた母上様は血だらけだったんです」


「…………」


「母上様はクロに、自分の鎌を持たせました。もう虫の息で、途切れ途切れにしか言葉が出せない状況で。そして、実の息子に自分を殺させたんです」


リイアの手は震え、シーツには水跡ができていた。


「分かるよねー? クロ君はこの世界が壊れるさまを自分の目で見てきたんだー。んで、最初は責任を感じてハンター狩りをし始めたんだよー」


「そうだったのか……責任?」


「えー? うん、責任ー。あ、言ってなかったねー。クロ君、『神の書』を解読した一族の末えいなんだよー」


驚くことが多すぎて、心臓がどうにかなってしまいそうだった。


それならば、クロの母親というのは――


「一族で唯一、戦争に参加した最強の女戦士――それがクロの母親だ」



思ったとおりだった。だからなんだという訳でもないが。


ここまで、常識を超えたいろいろな話を聞いてきたが、リイアの心境は複雑だった。



好き好んで人を殺すような人間ではないというのは分かる。


様々な人間を見てきて、目を見ればその人間が『そういう人間』かどうかは大体分かるようになっていた。


そうだとしても、それでも、殺人というのは許される事ではない。


とはいえ自分も、一時の間違いで人の命を脅かしたのだから、どうこう言える立場でもないが。


クロが止めていなければ、自分の寿命も増えていたのだろうか?



そこまで考えて、リイアの思考は停止した。


派手に咳きこみ、わずかに吐血をして、彼女の意識は遠のいた。


「……あー、シグ? 今の状況を具体的かつ簡潔的に教えろ」


「リイア君に打ってた簡易的ドーピングが切れたんだよー。まだ器具に繋がれてないとおかしい体だからねー。話聞くために無理やり体を勘違いさせてただけだからねー」


リイアに呼吸器を取り付けながら、シグレが答えた。


「お前って……」


「まぁ、データを取るためだから仕方ないって事でー。じゃ、僕は本物のドーピング作りに行ってくるねー」


「食事はどうしますか?」


「うーん、いらないかなー。ちょっと時間……かかりそうだし」


そう言ってシグレは医務室から出て行き、残されたのは双子と意識のないリイアだけとなった。


「今日は珍しいものばかり見るな。クロが母親のことを語って、シグレが薬作りに弱音を吐いた」


「そうですね」


時間がかかる、というのは決してできないという訳ではない。そもそもそんなに簡単にドーピングができたら神崎一族は苦労しないのだが、シグレを対象として見た場合は弱音になるらしい。


「……好き好んで人を殺すような人間ではない、ですか。私の場合、どうなのでしょうね」


カレンは基本無表情だ。が、生まれた時から一緒にいれば、今どういう感情か分かるのは容易いことだった。


彼女は泣いていた。


涙こそ流れていないが、実の兄はそう思ったし、絶対そうだという自信もあった。


「もう泣かないんじゃなかったっけ?」


「涙を流さなければセーフです」


そうかよ、と言ってカノンはカレンの頭をなでた。


「俺とお前は同罪だ。お前があの時のことを悔いるならどんな時でも隣にいてやる。二度と泣くな」


「……泣いてません」




「僕達は善ではない。その答えが聞きたかった……意味聞きそびれちゃったな」


誰もいない自室で、クロが1人呟いた。










■□■□■アトガキ■□■□■

わーん。なってしまいました。

アトガキを書き始める直前で全てが真っ白になる光景。

小まめに下書き保存をすることをお勧めします。


さて、今回はクロの過去……クロに流れる血などが出ましたね。

クロは『神の書』を解読した一族の末えいだったのです(あ、末えいって末裔って書くそうですけど難しいので私は末えいにします)。

母を殺し寿命を延ばした少年です。


そして、リイアの心の乱れ。

まぁ、常人なら発狂してもおかしくない話だけど、複雑な心境だけで終わることからリイアちゃんの自身の命への関心のなさを想像してくださいね。

殺人は許されぬこと。でもこの世界においては仕方のないことなのか。

いずれ彼女は答えを出すと思います。


そして双子。

『あの時』とは何の事なのか。


そしてそして、シグレは神崎一族のドーピングを作り出すことができるのか。



今回はこの辺でお開きとさせていただきます。

御手を拝借。よぉ~っぽん!


長文失礼しました。






人間の命は有限であり、この世に生を受けたその瞬間死が決まっている。


――事故で死ぬも病で死ぬも、全ては最初から決まった寿命なり。


人間がどう生きようと、死の時は変わらず。


しかし同じ人間が生を奪う、これ命の流れに逆らう事。


この世界において寿命は常に一定であり変わることの無きもの。


命を奪われた者は天寿を全うせず寿命を余す。


我はその者の十字架を背負い生きることを罪とする。


故に、寿命は命の流れに逆らった者が受け継ぐものなり――







ある一族は、偶然発見された『神の書』を何代にも渡って研究していた。


ついに解読された神の意は、後に『寿命還元システム』と呼ばれ世界を壊した。




時は何百年前にも遡る。


いくつもの国が軍隊を率い互いの領土を奪い合う――いわゆる戦争が始まったばかりの頃、ある一族は『神の書』を解読した。


そしてそれから13年後、『神の書』を燃やした。


人を殺すことで、寿命が延びる。


そんなことが世間に知れたら、この世は殺し合いが当たり前のように起こり、地獄となる。


その研究に携わったものは、この事実を墓まで持っていくことに決めた。


無論、初めから信じていたわけではない。信じられるわけがなかった。


あり得ない事実を目にした時、人はあり得ない現実を受け入れることとなる。



その一族のほとんどは、戦争に参加していなかった。


参加していたのは、一族でたった一人だけ――女だった。


その時代、戦場で最も恐れられた女戦士。彼女のおかげで、一族は戦争への非参加を認められた。


彼女は人を殺した。国のためと、自らに言い聞かせながら。


その数は百や千で数えられるものではない。


戦争が始まって13年たった頃、彼女は自身の体に異変を感じた。


戦争が始まって13年――彼女は全く老いていなかった。



そうして一族は確信した。


『神の書』は、本物だと。



いつしか戦争は終わり、国同士の協定が結ばれ、世界に平和が訪れた。


当たり前のことだが、戦争に参加し人を殺めた者は老いが遅かった。


男はほとんど参加していたため、また女は1人しか参加していなくその伝説の女は戦争中に血だらけのまま消えたため、これも男女の差かと考えられ始めた。


一族の者は誰ひとりとして事実を口にせず、また子供にも教えず、『神の書』の内容は闇に葬られる――はずだった。


終戦から数年後、国に事件が起こった。


赤子を狙った連続殺人事件。犠牲者は10人以上の赤ん坊。


戦争以外の意味がない殺人など、人々は考えたこともなかった。


誰もが非道だと泣き叫ぶ中、一族だけは意味なく犯した殺人ではないと分かっていた。


赤ん坊は、残された寿命が長い。


故に殺したら増える自分の寿命も大きい。



一族の秘密が漏れた。


否、犯人は一族の者だった。



その男は大病を患っていた。


自分は明日死ぬか、それとも今日死ぬか。


死と直面し、そしてその恐怖に負けた。


あと一週間生きられないだろうと言われた男は、一ヶ月間逃げのび、そして捕まった。


人の血を吸い生きていたその男は、すでに気が狂っていた。


そして処刑される直前、世界を壊した。


あろうことか、大声で『神の書』の内容を話し始めたのだ。


男が老いぬのもそのせいだと、そして一族の名をあげ、現に戦争に参加していないあの一族の男は老いている、そして自分も生きている、と。


国から国へ、『神の書』の内容は世界中に知れ渡った。



それからの世界はひどかった。地獄といっても過言ではない、それ以上のものだといっても。


まずは子供が殺された。


そして泣き叫ぶ母親が。


一家を護る父親は、皆『神の書』の毒に侵された。



そんな、殺しが日常的となった世界に、とある信教が流行った。


『ベチア教』 名前の由来は、ただベチアという宣教師が伝えたというだけのこと。



神は殺し合いの世界など望んではいない。


神は罪として寿命の還元を定めたというのに。


何故私たちは殺し合う。


神に祈り、神をたたえ、神を信じよう。



という演説は、寿命の奪い合いに疲れた人々を救った。


まずは女子供が、そして闇に沈んだ男が、『ベチア教』に入信した。


そして『ベチア教』は、『神の書』と同じように世界中へ広まり、世界の狂いはおさまった。


が、もちろん全員が入信したわけではなく、一部の者はまだ寿命を求め、殺した。


寿命を狩るその姿を見て、いつしかその者達はハンターと呼ばれるようになった。


そして、寿命を狩る者を狩る者を、ハンターの野望を砕く者――


『ハンターブレイカー』と呼んだ。








■□■□■アトガキ■□■□■

インフル キターーーー!!

喉・・・喉痛い・・・。


インフルを甘く見ていた……。

39.7……人って42度超えたら死ぬんですよー。

ま!私はインフルなんかに負けないけど!

今は37度ですし。


さて、今回は過去、寿命還元システムのことについて書かれてあります。

『神の書』を発見し解読した一族。

秘密にして一生他にもらさないことにした一族。

そんな一族のある男が、この世界を壊すきっかけとなったんです。


では、今日はこの辺で。


私は眠りにつきます。








「……めずらしいね。シグがそんな非現実的なことを言うなんて」


暫くの沈黙の後、クロが口を開いた。



パラレルワールド――この世には、『もしも』の数だけ世界があるという一説。


例えば石につまづいてこけたとする。


その時、もしもこけた先にガラスの破片があったら、もしも誰かにぶつかっていたら、そもそももしもそこに石がなかったら……。


そんな風に、もしもの世界は無数に枝分かれしていく。



「んー? 僕は今ある現状を冷静に分析した結果を話してるだけだよー。まぁ、ちょっと無理やりな気もするけど、それしか考えられないんだよー」


腕を組み笑顔でシグレは言った。


「いや、どう考えたらそうなるんだよ」


「考えが突発的すぎます。パラレルワールドの有無さえ証明されていないのですよ。仮にあったとしても、それを飛び越えることなど不可能です」


双子が否定するが、もうシグレの中で考えは決まっているようだった。


そうかなー、と続けた。


「だってさー、さっきも言ってたけど、僕達護刀流なんて全然知らないでしょー? でもリイア君は護刀流『17代目』当主。それにその刀、『輪廻刀』ってことは随分前から護刀流ってあったんじゃないー?」


「あぁ。いつできたのかは聞いていないが、少なくとも私が生まれるずっと前からあることは確かだ」


「ほらー。最近できたならまだしも、そんな前からあったのに僕達が知らないわけないって思わないー? 裏の世界にも関わってるって言ってたし、その『裏』ってのが僕達とは違う『裏』だったなら、納得がいくんだよー」


確かにクロ達は、裏の世界のことはかなり詳しい。大抵の情報は手に入るし、何よりあれほど強い剣士が有名にならない筈がない。


「そもそも『ハンター』と『寿命還元システム』のことを知らない時点でおかしいよー。それを知らないのに流派の意味があるのー?」


ちょっとムッとしたリイアを無視し、続けた。


「それにさー、クロ君から聞いたんだけど、君電車に轢かれそうだったのにいつの間にか空から降ってたんでしょー? それも充分非現実的だと思うよー。非現実的なことは非現実なことで解決するものでしょー」


「……」


クロは初めてリイアに逢ったときのことを思い出す。


何の前触れもなくいきなり降ってきた、天使のような少女。


傷はないのに意識はなく、何かに飛ばされたような風でもなかった。



「僕の考えを言うよー」


そう言ってシグレは、回転式椅子に腰かけた。


「リイア君は別の世界で生まれ育った。そして電車事故に遭い、生死の分かれ目に立った。リイア君がそこに立つことにより、パラレルワールドの境目にひびが入った。リイア君はそこからこの世界に飛ばされた」


いつの間にかシグレの意見を聞きいっていたクロだったが、それを聞いてまた疑問の声を上げた。


「何でそこでパラレルワールドの境目にひびが入るの? 誰かが死にそうになる度にひびが入るんだったら、パラレルワールドへの道は開きっぱなしみたいなもんじゃないか」


するとシグレは人差し指を振って、


「クロ君、普通の人間が死にそうになる度にひびが入るなんて言ってないでしょー。リイア君の人生が終わりそうになったから、ひびが入ったんだよー」


「だから何でそうなるんだよ? リイアだって普通の人間……」


言いかけて、あっ、とカノンはリイアの方を見た。



「普通の人間じゃないでしょー。リイア君にはその『目』があるんだよー」




リイアに宿る、寿命の見える目。人の死期を知ることのできる、普通は起こり得ない筈の『奇跡』。


ならば、人間の死期を知る者が死に直面した時にもまた、『奇跡』が起こる可能性はあるのだろうか。



この世界にある常識は、彼女の一族の常識ではない。


彼女の流派は誰もが知ってる流派で、でも自分達の中の誰ひとりとしてその名を聞いたことのある者はいない。


そして彼女はあの日、空から降ってきた。



「……本当に別の世界から来たの、かな?」


「どうだろうねー。でも、僕はそう思うよー。結構高い確率でねー」


「僕はそう思う、ってシグが言ったら大抵そうなんだよな……」


「信じられませんが、一理あるのも事実ですね」


「すごいな。パラレルワールドか」


「「「「……」」」」


まるで他人事のように軽く言うリイアに、全員が沈黙した。



「……君のことを言ってるんだよ?」


クロが、念のため確認すると、


「あぁ、そうだな。パラレルワールド……いつかテレビでやってたな。本当にあったのか」


と、やっぱり他人事のように返した。


がっている様子はなく、クロ達は、彼女はこういう性格なのだと理解する。


「でも、困ったね。どうやったら元の世界に戻れるんだろう……?」


体の具合が良くなれば、すぐにこの場所から離れさせようとしていたのだが、家が別世界ならばどうしようもない。


「そうだねー。古典的な方法で、思いっきり頭殴ってみるー?」


「待て待て待て! おかしい。何かおかしい! 記憶喪失じゃねぇんだぞ!?」


「えー。『死』っていう強いショックで気絶して落ちてきたんなら、また強いショックで気絶させたら上っていくんじゃないー?」


「とりあえずそのハンマーをしまえ! 上ったまま永久に戻れなくなる!」


「ちぇー」


まだ納得いかないという顔をしているシグレの手から、慌ててカノンがハンマーを奪い取った。


「本当にどうしようか。君が降ってきたとこに一回いってみる? 何か起こるかもしれないし」


「というか……」


提案したクロに、まだハンマー議論をしているシグレとカノンに、それを無表情で傍観するカレンに、リイアは言った。



「私としては、別に元の世界に戻らなくてもいいんだが」



じっくり3秒ほどまた沈黙が流れ、一斉にリイアに問いかけをし始めた。


何故。良く考えろ。どうして。生まれた故郷に戻りたくないのか。


「そもそもあなたは護刀流とやらの当主なのでしょう? あなたのいた世界では当主のいなくなった護刀流が露頭を彷徨っているのかもしれないのですよ」


「あー、そこは大丈夫なんだ。まぁそう簡単に当主が変わることはないが、今の神崎一族のほとんどは私のことを疎ましく思っているから。見たくもない顔を見なくてすんで護刀流はさらに強化されるかもしれない」


予想外の答えに驚く4人に、それに、とリイアは続けた。




「もう護るべき者がいなくなった世界に、私が存在する価値はない」




寂しげな表情をするリイアに、4人は何も追及することができなかった。




「……それより、教えてくれ。『寿命還元システム』というのは何のことなんだ?」


当然の疑問を訴えるが、クロは言っていいものかと少し考える。


「言うべきだしリイア君は知っておくべきだよねー。何よりこれからのためにー」


「そうだね。うん、言うべきだよね……いいかいリイア。『寿命還元システム』っていうのはね――」


クロはため息をついて、言った。






「人を殺すと、殺した人の寿命が自分の寿命に加算されるシステムのこと――だよ」










■□■□■アトガキ■□■□■

眠い……。眠いです。

でもこれ書いてから寝ます。明日大会です。がんばります。


今回は、わぉ、な新事実発覚ですね.

リイア、まさかのパラレルワールド旅行。

私が初めてパラレルワールドの存在を知ったとき、「あ~なるほど。確かに『もしも』っていっぱいあるよなー」と、ものすごく興味がわきました。

例えば、もしも私が小1の時に、実際はこけていないどこかでこけていたら、今私はバスケをしていないかもしれません。

そう考えると世の中のことすべてが未来につながっている――まぁ当たり前のことなんですが――ように思えて自分の行動一つ一つに重みが増しますよね。

あーはい。何かわけわからなくてすみません。


そして最後には『寿命還元システム』のことについて触れています。


次回、もっと詳しく触れます。

乞うご期待! ……と書いたからには期待に応えられるような文を書きたいと思います!


それでは、


♪ Good Night! ♪


↑あれ? これでいいんだっけ?























「寿命……?」


「……」



リイアは無言で目を閉じ、右目を手で押さえた。


次に目を開けたとき、その目は青色になっていた。



「「「「!!」」」」


全員が驚きの表情を浮かべる。


当のリイアは、唇を噛みわずかに下を向いていた。





「わ、私の右目は……寿命が見える」



――何その目、気持ち悪い……。近づかないで!




「信じられないかも、しれないが……嘘じゃないんだ。正確に、言えば、人の……残った人生が、年と日にちで見える……」



――本当にあれに17代目を!? 正気か当主! 




「実際に、数字が0の人が目の前で……死んだ。数字が1の人は翌日病気で死んだ……」




――異形の目を持つ呪われた化け物め……お前のせいで息子は……!!




「へぇ、そんな不思議な事もあるんだね」




「……え?」


黒い少年は、驚いた顔で言った。


怖がることもなく、軽蔑する事もなく、普通に驚いた顔で。


他の3人も同じように、驚いてはいるが恐れてはいない。


「怖く、ないのか?」


「え、何で?」


純粋に分からないと言うように、逆に質問してきた。


「何でって……寿命が見えるんだぞ? 私は人の死期を知っているんだぞ?」


(お前達の……とんでもない寿命も……)


「だから? 別にリイアが殺す訳じゃないんだろ? 目の前で人が死のうが、リイアは何もしてないし何も悪くないんだろ? 何でリイアが怖くなるの?」


「…………」



不意に、リイアの目から涙がこぼれた。




「え? ご、ごめん。僕何か悪いこと言った?」


慌てて謝るクロにリイアは、


「違う、違うんだ……」




実の父親以外は、誰もが自分を遠ざけた。


親友にも、怖くて言えなかった。


見えたから、明日死ぬことを伝えたら、自分が殺したと殴られた。


今は制御できているが、前触れもなく見える寿命が怖かった。


青くなった目を見て、怯え暴力をする同級生が、普通の目を持つ皆が、憎らしくて羨ましかった。


一族の者にも、自分を見る目は当主としてではなく、『異質な生物』としてだった。


呪われた目だと、何度罵られ、手を払われたことだろう。


いつも奇異の目で見られ、何度死のうと思ったことだろう。


それでも涙を見せるのは嫌で、ずっと、我慢していた。


孤独が好きなふりをして、ずっと、強がっていた。


本当はずっと、辛かった。


誰かに「お前は悪くない」と、言ってほしかった。







「ありがとう……」







クロも他の3人も、何故涙を流し何故お礼を言うのか全く分からなかった。


けど、彼女は笑っていた。



「あぁ、そうだ。言わなければならないことがある」


涙を拭きながら、また少し強張った声で言った。


「実は、もうお前達の寿命を見てしまった。現在進行形で見ている」


「まぁ、そうなるね」


やっぱり、怖がらない。


ほっとするリイアとは裏腹に、4人は決まりの悪そうな顔を浮かべた。



「どうして、お前等の寿命はそんなに長いんだ?」



「どうして、っていうのはどういう意味?」


少し低い声でクロが言った。


「もう、分かってんだろ?」


カノンも続けて言う。が、


「どういう意味とはどういう意味だ? 今までいろいろな人の寿命を見てきたが、こんな寿命は見たことがない。特にクロ、お前は長すぎる。どうなっているんだ?」


「……うーん、嫌味を言ってるわけじゃなさそうだねー」


「本当に分からないのか?」


「分からない。というより、目の前の数字が寿命というのも疑わしいほどだ」



すると、クロがあることを思い出した。


「そういえば、君はハンターのことも知らなかったね」


もしかして、とカレンが言った。


「『寿命還元システム』の事も知らないのですか!?」


「あぁ。聞こうと思ったがそれどころではなくなった」



確かに、『寿命還元システム』という言葉は聞いた。しかしリイアにはそれが何のことを言っているのか全く理解できなかった。



4人を見ると、全員ハンターを知らないといったときよりも驚いていた。



「何でそんな人間が流派の当主を、そもそも何故刀を……?」


「何かおかしいか? 確かに私は成り立てだが、父上の任務にはたびたびついていかされた。護刀流は表の世界だけでなく裏の世界でも有名だが、そんな言葉は聞いたことがない」


「有名ー?」


「あぁ。ってまさか、護刀流を知らなかったのか?」


全員が縦に首を振る。


「嘘だろ。裏の世界のことはともかく、護刀流は道行く人の誰に聞いても知っているほどかなり有名なんだぞ?」


「悪いが、聞いたこともない」


なっ、とリイアは顔を引きつらせる。



護刀流は、真剣だけではない。


神崎一族のみが使える技もあるが、その才を使って道場を開いている。


そしてその門下生の多くが大成し、名を馳せている。


まぁ、当主とはいえ道場に関わっていない、否関わらせてもらえないリイアには関係のないことだが。



とにかく知らない人間がいるのが信じられない訳で。



「本当に知らないのか?」


カレンに聞いても、


「はい。まだ無名なのかと」



「実は知ってるだろ?」


カノンに聞いても、


「知らないって」





「……もしかして、なんだけどー、リイア君ってさー」


すると、黙って会話を聞いていたシグレが、この場にいる全員に向かって話しかけた。








「別の世界から来た人なんじゃないー? 一種のパラレルワールドってやつー?」













■□■□■アトガキ■□■□■

すごい。この私が2日連続で更新できたなんて……!

これからもがんばろう……。


さて、今回は、当主であるリイアの悲しい部分が出ましたね。

『寿命の見える目』のせいで差別をされ続けるリイア。

それでも彼女は、神崎一族ならびに護刀流17代目当主なのです。

死にたいと思ったことは数知れず。それでも涙を我慢して……。

「自分は悪くない」 やっと聞いたその言葉は、リイアにとってかけがえのないものだったのでしょう。

そして「ありがとう」の言葉は、本当に心からの感謝だったのでしょう。

あ、すみません。ちょっと涙腺が……。


そして、最後にシグレが驚愕の言葉を言いましたね。

いやはや、一体どうなるのか。

待て、次回!



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