からだというものが、なんでできあがったのかとても興味がある。

 

ぼくらの体は、生命が誕生してからの数十億年の積み重ねの上にあって。

全部、進化の記憶を持っている。

 

からだに不調が出て、原因を探るとき。

 

「なぜ」を考えるときに、単に

冷えたから、

ストレスだから、

食べ過ぎだから、

生活が不規則だから

 

では、答えにならない。

 

ひとのからだを考える時に、なぜ、その器官ができたかを尋ねていく必要がある。

 

子宮や膣もそうだし、

肝臓や脊髄、脳

目や耳や口

肌の感覚やにおい。

 

ぜんぶちゃんと理由がある。

 

さかのぼって、さかのぼって

ずっと、ずっとさかのぼっていく。

するといろんなことが見えてきておもしろい。

 

 

たとえば人間には表情がある。

こころの動きを表現する。

笑う、泣く、怒る・・・

 

そんな表情をつくる筋肉、表情筋は少し特殊な筋肉だ。

大部分のからだの筋肉は、筋肉の両端が骨にくっついていて、骨を動かす。

腕を動かすとよくわかる。

 

でも、表情筋は一方の端は骨だけど、もう一方の端は顔の皮膚の裏側についていて皮膚を引っ張る。

皮膚を動かすことで表情を作る。

 

そして、表情は哺乳類だけのものだ。

魚やカエルやトカゲにはない。

表情筋がないから。

 

なぜ哺乳類にだけ表情筋が発達したかというと、おっぱいを吸うから。

母乳を飲むために口の周りの筋肉が発達した。

唇があるのも

それが、乳幼児の時期を過ぎて、口のまわりの表情を生み出すものとして残った。

 

表情筋は、その由来をたどると魚のエラから進化してる。

陸に上がって使わなくなったエラが、顔へと出てきた。

そして、エラは腸から進化してる。

 

唇だってそう。

唇は人間だけにしかない。

発生学的に見ると唇は皮膚じゃなくて、腸が由来で粘膜が外側に出たもの。

「ことば」を発する口も腸が由来。

 

 

ひとのこころを表現する顔の筋肉も、言葉を発する口も、原点が腸にある。

 

 

おっぱいを吸うから、表情ができたと思うとおもしろいね。

そりゃ人間、食べることに執着が強いわけだ。

 

こうやってたどっていくと、おもしろい。

知ることは興味深い。

全然違った世界が見える。