2日前の事。
いつも通る通学路にある家の前に、大きなベニヤ板が立て掛けられてあるのに気が付いた。
かなりの大きさのソレには、マジックペンで切実な問題が書かれてある。
『この鉢植えに、あなたの飼い犬のオシッコをさせないで下さい。私達はこの花たちを咲かせる為、毎日の手入れを欠かしません。その度に鉢植えにかけられた、あなた方の犬のオシッコの匂いに吐き気を覚えながら怒りに震えます。どうして他人の鉢植えの花に自分の飼い犬のオシッコをかけさせられますか?自分の育てた花にも同じ事をさせているのですか?どうか今日から止めて下さい。』

あまりの長いメッセージに、思わず立ち止まって読んでしまった。
しかし今日、その板に更なる犬のオシッコがかけられてあり、板の下の字だけが流れ落ちるような模様になっていた。

私がこの通学路で見かける女性は、いつも散歩に水を携帯している。最初、飲む用なのかと思っていたら、犬がオシッコをした後に水をかける用だった。後にも先にも、あの女性以外、水を携帯している人を見た事がないが、確かに鉢植えを避ける事はできぬものか。

私は犬を飼った事が無いが、自分の玄関先の庭に、もしや知らぬ間にオシッコをされていたりするのだろうか…

あまりの悲痛な訴えに、ちょっと同情してしまうと共に、その通りに住む義母はまさか飼い犬に…いやいやガーデニングをする義母の事、花を愛しているであろうから、それは無いか…と思いつつ、念のため、その板について言及しておいた。