天気予報にも出て来ないカーライルではあるが、一応「カーライルFM」なるラジオがあり、地元民からは愛されたラジオ放送である。
私は車移動の際、必ずこれを聴く。
交通渋滞情報が頻繁に流れるからである。
そしてもう1つ、カーライルに関するニュースが流れるからでもある。

今朝も車の中で「カーライルニュース」を聴いていた。
カーライルに唯一ある大学病院の産科を、試験的に閉鎖するという内容であった。
カーライル近郊に住む人で病院での出産を希望している場合、ここでしか子供が産めない。
それ以外の病院はカーライルから西か東か南に車で1時間以上走った場所にある。
経営状況の悪化による閉鎖と言うが、この4月から12か月間、試験的に閉鎖を決定した。

妊娠過程で出産にリスクを伴う事が既に予測される妊婦は、予定日より早めに入院しておけば、例えここから1時間以上車で走らねばならずとも問題は回避できるとの見解であり、それ以外の妊婦は余裕を持っての移動を勧めるとの事で、それほど問題は無いという判断であるとした。

車が無い人はどうするのだろうか、そんな人は車のある人にあらかじめ頼んでおくのだろうか・・
私が娘を出産する時、実は無痛分娩を希望していた。
しかし、カーライルの病院ではその設備がなく、どうしても希望するのならば、ここから1時間離れた病院まで行くしかないと言われ、万が一1人で行かねばならない状況を考え断念した経緯がある。
また担当の助産師さんから「無痛分娩はお産が長くなるよ。それに痛みも後になったら笑い話になるから、経験しときなさい。これが最後の出産になるかも知らんやろ?」と言われ、痛みから逃げようと考えていた私は「よっしゃ、頑張ろ」と思ったのである。

もともと、カーライル病院は他の大きな都市にある病院よりも受けられる医療サービスの選択肢が少ない。
そのため、腎臓の専門にかからねばならない人は車で40分の病院へ、この人はここへ・・と振り分けられている事が多いため、それに慣れてしまえば、もうそんなもんだと思うようになっていくのかも知れない。

ただ私が思うのは、「ゆりかごから墓場まで」という夢のような医療サービスが受けられる一方で、それが永久的に可能なのか否かという事である。
癌や小児医療が無料で受けられるのは素晴らしい。
出産も産んだら8時間で家に帰されるが、それが無料である事も素晴らしいと思う。
亡き義父の透析、インシュリン、それに通うための救急車移動も全て国が出してくれた。
その一方で、医療費を3割でも2割でも負担すべき医療内容をそろそろ選別しなければ、自分の住む町のたった1つの病院からまずは産科が、次は○○科が・・と消えて無くなる事も事実である。
また現役の助産師らは職を失う事になる。

今回、産科が選ばれたのは「病気」「重大性」に直結しないからだとニュースで言っていたが、今後ここに暮らす人達は不便な思いをするのであろうと思うと、カーライル病院に何が残るのだろうかと不安になる。
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