熟メン茶々丸の「毎日が美びっとカルチャー」

アルチンボルド展 国立西洋美術館



台風が縦断する中で、前から予定していた東京アート旅に出かけて来ました。

今回のアート旅での展覧会は、国立西洋美術館のアルチンボルド展とBunkamuraミュージアムのベルギー奇想の系譜展。
どちらも、古典絵画における異端で個性的な画家たちの展覧会です。

先ずは、アルチンボルド展から。今日の若冲ブームにより江戸絵画を中心に奇想の画家が注目されるなかで、西洋絵画におけるアルチンボルドの存在は、一般にはあまり知られていませんでしたが、本展覧会の開催を機にメディアに紹介されアルチンボルドの存在が急速に知られるようになりました。観賞した9月17日も台風が近づくあいにくの天気の中でも、開館前から鑑賞者の列が続き、会場内は活気にあふれていました。

アルチンボルドは、16世紀後半に活躍したイタリア・ミラノ出身の宮廷画家で、ウイーンとプラハのハウスブルク家の支援の基で、肖像画はもとより、その卓越した写実の技術から動植物をモチーフに生物学者にも多大な影響と評価をうける、その時代でも異彩を放つ画家です。

個人的には、花々により構成された肖像油彩画「春」が美術ファンには代表作として画家のイメージを印象付けていますが、今回、その作品に関連する「秋」「大地」「水」「冬」の4作品の油彩肖像画が一堂に介し、その卓越した生物への描写力と巧みに組み合わされた人物像は時にグロテスクな一面を持ち、観るを寄せ付けない凄みを持っています。しかしながら、その作品をじっと眺めていくうちに組み合された生物に豊かな生命力が宿り、不思議な魔力を持って見る者を惹きつけていきます。

そこには、並び比較されるトリックアートの世界とは一線を画すアルチンボルドの芸術に対する探求心と全ての生きる者への深い慈愛を感じまます。

今回は科学者の側面を持つダヴィンチのデッサン画やアルチンボルドの継承者の作品、パトロンであるハウブルク家の豊かな鑑識眼による美術工芸品なども展示され、アルチンボルドの芸術活動の歴史がうかがえる日本初の展覧会と言えます。

残り6日と迫った本展。東京での展覧会に足を運ぶ大きな価値のある展覧会を必見あれ。

※入口には、アルチンボルドの春をモチーフに自画像をCGで作ることができるコーナーが設置されています。写真はアルチンボルドな俺(笑)です。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「【美術鑑賞・イベント】」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事