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アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。 

一昨日、昨日(5月20日、21日)とカミさんと一緒に、借りて来ていたDVDの『LEADERS』(前編・後編)を観ました。
佐藤浩市の作業着姿がかっこいい。
脇役も豪華。

私は、サラリーマン時代にトヨタ・グループとGEの合弁会社に勤めていて、昭和24年のトヨタの経営危機のことを聞いていたので、より感動が胸に迫りました。

さて、入院先に『夏目 漱石全集』(春陽堂書店)のうちの一冊を持っていって50年ぶりに夏目漱石の『こころ』を読みました。

こころ 坊っちゃん
(文春文庫―現代日本文学館)
夏目 漱石
文藝春秋

私なりにまとめたこの小説のテーマは、次の3つのようです。

(1)歳の離れた知己(師弟、先生とわたし)との交流
(2)友人のKに対する激しい嫉妬
(3)その後の半生を自責の念を負い続ける「先生」の物語

私はこの本を今までに3度ほど読んだことがあります。

高校生1年生(15歳)の入院中の時、同じ高校生の別の時、大学生の時。

私にとっては、夏目漱石の中では最高の評価を与えている小説が、この『こころ』です。

50年ぶりに読んだこの本、今までとはかなり視点が違っていることを感じさせてくれました。

50年前の高校生、大学生の時は、どうしても大学生の「わたし」の立場で読みながら「先生」にも共感を寄せていました。

ところが、今になると「先生」の立場になって、さらには、アドラー心理学の視点も交えながら読むことができます。

(1)歳の離れた知己(師弟、先生とわたし)との交流

かなり内向型で世の中をひっそりと生きる先生に対して積極的にアプローチする外向型の「わたし」の対比が見事でした。

大学生の「わたし」にだんだんと心を許し、妻にも言えなかった生涯の負い目を手紙(遺書)で託す先生の信頼ぶりが印象に残りました。

なお、内向型/外向型に関しては『内向型人間のすごい力 ー 靜かな人間が世界を変える』(スーザン・ケイン著、古草秀子訳、講談社+α文庫、840円+税)をテキストとした「内向型人間を勇気づける本」シリーズの前半の4回をご参照いただくとわかりやすいです。

内向型人間のすごい力
静かな人が世界を変える
(講談社+α文庫)
スーザン・ケイン著
古草 秀子訳
講談社

1回目 1月11日 『内向型人間のすごい力』のはしがきから
2回目 1月12日 外向型が理想なのか?
3回目 1月14日 外向型に違和感を感じるとき
4回目 1月17日 創造性豊かな内向型

(2)友人のKに対する激しい嫉妬

「先生」は大学時代に高校・大学と同級で、身体面・学業面でも劣等感を抱いていたKと同じ「お嬢さん」を愛することになります。

元々は自分がほのかな好意を抱いていて、そのことを伝えられずにいたところに、Kの想いを聞いてから出し抜くかたちで「奥さん」に「お嬢さんをください」と訴え、そのことがきっかけとなってKを自殺に追い込みます。

この心理描写は漱石の得意とするところで、「こうすりゃいいのに」と読者に思わせながら、Kに嫉妬を抱きながら後手後手になっていく展開にアドラーの次の言葉が嫉妬の本質を探る言葉として、響いてきました。

・私たちが皆持っているわずかな羨望は、有益に使いさえすれば大目に見ても良い。しかし、嫉妬はずっと厄介で危険だ。なぜならば、嫉妬は有害であり、強くて深 い劣等感にもとづいているからだ。嫉妬は他者を自分の思い通りに操作しようとして使われるからだ。 『個人心理学講義』

(3)その後の半生を自責の念を負い続ける「先生」の物語

Kの遺書には「先生」を責める表現が皆無でした。

アドラーは自殺の目的を「非難」「復讐」「告発」としていますが、遺書にはそのメッセージが皆無であるにも関わらず、先生はそれ以来ずっと、自責の念を負い続けます。
これはまさに、Kによる復讐として作用し続けたのです。

アドラーは自責の念ならぬ罪悪感を「(優越性達成のための)自分を正直に見せるための手段」(『人生の意味の心理学 上』)と書いてある部分がありますが、先生の自責の念は他者ではなく自分自身に向けられた、自分を苦しめ責めさいなむように、抱き続けなければならない感情でした。


いずれにしろ、50年ぶりに読んだ『こころ』は、少年時代とは違った味わいを教えてくれる小説でした。

あなたも青春の頃に感動した小説を別の視点で読み直してみると、面白いことに気づくはずですよ。

◆今週のイベントのお知らせです。

(1)特別講座:マネジメント・カウンセリング懇話会主催 「リーダーのためのアンガーマネジメント」 
 今夜開催! 
 日 時:5月22日(月)18:30~20:00 
 場 所:ヒューマン・ギルド研修室
 講 師:阿井 優子さん (株式会社 プラスアイ 代表取締役、一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会 認定アンガーマネジメントファシリテーター)
 受講料:500円(中小企業診断士の勉強会 マネジメント・カウンセリング研究会の1年に一度のイベントであるための特別料金)
 http://www.hgld.co.jp/p_lecture/view/262 こちらから詳細確認及びお申し込みができます。

(2)岩井美弥子講演会:勇気づけの子育て
 日 時:5月25日(木)10時から12時 
 場 所:町田生涯学習センター
 費 用:3,000円
 申し込み:https://mailform.mface.jp/frms/namilove/npcr12qhq39g から

<お目休めコーナー>5月の花(20)

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