The Challenge of Rei Kawakubo


動画より一部文字起こししました・・・



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世界は川久保の何を評価したのだろうか、、、



1983-84 秋冬


1980年代初頭川久保はパリコレクションに衝撃をもたらした。黒い軍団が大またでかっぽする。笑顔はない、見るものは息を呑む、ボロ布のようなスカート、穴の開いたドレス、理解の超える服が人々の前に次々と出現した。


パリのジャーナリズムは一斉に批判を展開した。


「継ぎ接ぎ新品なのにボロ着、葬式のための黒、これは悪い未来をあらわす俗悪ファッションだ。あなた方にふさわしくはない・・・」



フィガロ記者・・・「初めて見たとき、大きな地震だと感じました。ファッション界が震えたんです。不愉快なショーで大災害を予感させるものでした。」





インターナショナル ヘラルトトリビューシ記者・・・ショーでは服は破壊されていました。
セーターには穴が開いていて、スイスチーズと呼んだのです。とてもショッキングでした。





当時の川久保の代名詞となった穴あきのセーターこの服も散々な酷評を受けた。




雑誌)パリス マーチ・・・そこらじゅう穴だらけ、これは貧乏人に○○たい人のためのファッションだ。税務署に行くときとか、賃上げ闘争の時とかにはよろしいかも・・・



川久保の服への反発をあらわにするジャーナリストたち、その一方、新しい表現を切り開くものとして、評価するデザイナーたちがいた。



ジャンポール ゴルチエ・・・「あれほど大きなショックは初めてでした。当時のファッションは伝統的でとても退屈でした。そんな中に彼女はすばらしい力をもたらしたのです。」




川久保が登場する前後のファッションは、女性を美しく見せるため体の線を強調することが求められた。こうした伝統的な価値観の中で、川久保はそれと異なった美しさを表現しようとした。




ジャンポール ゴルチエ・・・「彼女のコレクションは、毎回が革命なのです。小さな革命も大きな革命もあります。そこにはいつも革命があるのです。すそが膨らんだ不思議な形、これは、枕カバーを裏返したとき偶然生まれる形の面白さを表現している。川久保は新しい形を求め、さまざまな挑戦を繰り返す。批判すらもその意欲を駆り立てたと言う。



このコレクションは、袖や裾が断ち落とされ、ファスナーだけがぶら下がっている。川久保はこの作品で、未完成なもののもつ強さを前面に打ちだした。



川久保は毎回のコレクションで、それまでのファッションの価値観を、次々に広げて行った。新しいデザインを問い続けることで、ファッション界の評価は変わっていった。川久保はパリコレクションを代表する革新的デザイナーとなっていった。





カール ラガーフェルド・・・「彼女は我々のゲームを壊しました。まったく違ったものを出してきたのです。それは醜く見える恐れがありましたが、新しい美があったのです。」




ダナ・キャラン・・・川久保は驚くべきデザイナーです。女性として女性デザイナーとして、とても興味があります。彼女は物静かで内気な人だけど、作る服には強烈な主張があります。




今、町では黒があふれている。20年前、川久保がファッション界に衝撃を与えた黒、時代を経て黒は誰もが着る、日常の色になったのである。





ファッションジャーナリスト・・・「川久保の最初の印象はとにかくショックでした。果たしてファッションなのか、何かのメッセージなのか、正直言ってわからなかったのです。その後印象が変わりました。彼女は従来とは違う女性の見方を望んでいたのです。それは肉体的な美しさとは違う美の提言でした。今までの先入観をくつがえすのに川久保は長い時間を費やしました。」












新しいものをつくるために、川久保がつくりだしたデザイナーとパタンナーの独特な関係、そそ関係を川久保は次のように語っている。


「パターン(型紙)=デザインですけどね、そこからデザインはスタートしてますから、絵型の通りやるなら、皆、お茶の子さいさいですよ、何を考えているのか、私も明確じゃないわけですよ、お互い探りあいですから、それこそ、おかしくなる寸前までいきますからね、苦しいというのはそういう意味だと思います。それが苦しいんです。だから、見たことがないものが生まれるかもしれないわけですね。」