2017年06月26日

漢字ドリル

うんこ漢字ドリル先日上京した際、電車内の吊り広告に 「大ヒット漢字ドリル」 がありました。

・これまでの漢字ドリルとは異なる画期的な内容
・小学生が夢中になって取り組むドリル

などの謳い文句が記されていたと記憶しています。

ピンときた人もいるかもしれません。
そうです、「うんこ漢字ドリル」 です。

この広告を見た際に、軽い不快感を感じると同時に、まぁでも小学生にはウケるのかも・・・。と思いました。
親の立場からするとあまりオススメしたくないドリルながら、しかしこれで子供が一生懸命漢字の書き取りをするなら・・・という考えも頭をよぎります。
私がその立場ならば悩ましい選択です。

 # ある意味、就業中のノンアルコールビールは可か不可かという課題に近いかも。
 # ちなみに私は不可派ですが(笑

そんな 「うんこ漢字ドリル」 をはっきりと 「良くない」 と否定している文章を見つけました。
なるほど、学習の視点から見ても理にかなっていると思います。
という訳で、「うんこ漢字ドリル」 の導入を迷っている親御さんのために、要所抜粋で転載します。

該当記事はこちら。リンク先が生きているうちは、こちらを御覧頂いたほうが良いと思います。
http://president.jp/articles/-/22363

いつもならば、削除防止用に全文転載をするのですが、分量が多いので要所のみを以下に記してゆきます。




まずは冒頭見出しです。

大ヒット中の『うんこ漢字ドリル』。しかし中学受験講師で国語を指導する矢野耕平氏によれば、同書には残念な欠点があり「このドリルでは真の国語運用能力はつかない」という。なぜなのか――。そして、同書の効果的な活用法とは何か?

続いて、このドリルの特徴について記されています。

書き取り・読み取りドリルの文例のなかに、必ず「うんこ」ということばが使用されている(同書の特設サイトによると、3018の例文すべてに「うんこ」ということばが含まれているらしい)。

具体例して次の問題が挙げられています。(吊り広告にも幾つかの例文が記されていました)

「何年もうんこを見せていないなんて親不コウ*だよ」(書き取り)
「うんこ中の(私語)は禁止とする」**(読み取り)
 *カタカナ部分の書き取り。同書内では下線付きのひらがなで表記。
 **(  )内の漢字の読み取り。同書内では「私語」に下線付きで表記。

そして、一旦は次のような評価を下しています。

塾講師の目で見ても、この『うんこ漢字ドリル』はなかなか鋭い発想の賜物であり、随所に工夫が凝らされたレイアウト(「うんこ」のイラストであふれている)を見ても完成度の高いドリルだと感じる。ただし、残念なことに、ある落とし穴があるのだ……。


ここで、ある大学受験用の漢字練習テキストを例にあげます。
その漢字練習テキストは、その内容が問題視され販売停止・在庫回収となったといいます。
ここでは、サイトの記載順序を変えて、まずその例文を挙げておきます。

「彼女のなだらかなキュウリョウをうっとりと眺めた」
「胸のデカさに俺はキョソを失った」
「一定スイジュン以上の女の子しかここには入れないんだよ」
「夫婦間の家事ブンタンなんて幻想だ」


上記のカタカナ部分を漢字にするという問題です。
一応正解を記しておくと 丘陵、挙措、水準、分担 ということになります。
さて、見てお分かりの通り例文に問題があります。
セクハラ的要素、男女平等無視などという観点から批判が出るかと思います。

勿論、上記問題点について当然指摘がありますが、その後に次のように記されています。

しかし、この漢字練習テキストはセクハラ云々以前の問題を抱えていると私は考える。
それは先述した『うんこ漢字ドリル』の落とし穴と同じなのだ。


そして、大学受験用テキストの問題点について次のように記しています。

「彼女のなだらかなキュウリョウをうっとりと眺めた」
解答は「丘陵」である。しかし、この熟語の意味はこの一文を読んだだけではまったく分からない。しかも、この場合の「丘陵」は、女性のボディラインの比喩的に示したものであるからなおさらだ。
では、この書き取り問題を次のような例文に変更してみたらどうだろうか。
「関東平野には台地と山地の中間的性格を持つキュウリョウが多く存在していて、とりわけ多摩地域ではそのなだらかな起伏をいかした住宅地が造成されている」
下ネタ要素を除外したうえで、このような例文に変更すれば、「丘陵」の意味が前後の文脈からイメージ・類推しやすくなるのだ。


そして、同様に うんこ漢字ドリル の場合も解説しています。
少し長くなりますが、転載します。

「うんこ中の(私語)は禁止とする」(カッコ内の読み取り)
やはりこの一文だけでは「私語」の意味が皆目見当がつかない。
それでは、このドリルの作成方針である「うんこ縛り」にのっとって、新たな読み取り問題の例文を提示してみよう。
「授業中、先生の話をまったく聞かずに友人と(私語)をかわしていたら、それを見た先生がいかりのあまりうんこを大量にもらしてしまった」
生徒も生徒だが、先生もなかなか困った人である……。それはさておき、「私語」の意味を知らない小学生であっても、この文に目を通すことでぼんやりとでもその意味を見出すことができるのではないか。私は漢文学者の故白川静氏の著作を好んで読むのだが、漢字はその一つひとつに「ストーリー」を背負っている。だからこそ、子どもたちに漢字の「外形」だけを覚えさせる練習をやらせるのは実にもったいないことだと考えている。


そして、次のように切って捨てます。

加えて言うならば、「うんこ漢字ドリル」に代表される“おもしろドリル”は勉強を始める好機になるかもしれないが、本当の意味での国語運用能力がつくわけではない。


最後に次の様に記して締めくくっています。
ここは非常に大切ですし、共感するところなので全文転載しておきます。

親の「例文提示」で子どもは真の語彙力を身に付ける
先ほど「ぼんやりとその漢字(熟語)の意味を見出す」と申し上げたが、これは漢字や熟語に限った話ではなく、ことば全体に適用できる話である。

あなたはいまどれくらいのことばを知っているだろうか? そして、その中に辞書を引くことで獲得したことばはどれくらいあるだろうか? そう考えたとき、辞書を引いて身に付けたことばは案外少ないことに気づくのではないか。

つまり、血肉化された語彙というものは、周囲の会話内に登場したことばを耳にすることで、あるいは、本の中に繰り返し出てくることばを目にすることで、半ば自然な形で習得していく。よって、短い例文の中で漢字を覚えていくというドリル学習は、そういった自然習得とは真逆の世界にある。

私はこういうドリル学習にこそ、親のサポート、声かけが大切なのだろうと考えている。

つまり、一つの漢字を子が覚えようしているときに、親がその漢字を用いた「少し長めの例文」を複数提示してやることで、子がその漢字の意味を「ぼんやり」と見出していく。それを積み重ねることで、子が「文脈」の中で、確かな語彙力をゆるやかに獲得していけるよう働きかけていく。ことばの面白さ、奥深さを子が体感するように導いていく――。『うんこ漢字ドリル』を片手に、子とそんなコミュニケーションを楽しんでみてはいかがだろうか。


なるほど、漢字に興味を持つ入り口として程度であれば 「うんこ漢字ドリル」 は使って見る価値はありそうだけれども、本当の学力という意味では用をなさないということですね。まぁ 「うんこ」 は用を足した後の産物ですからあたりまえか・・・(失礼

そして、一番共感したところをもう一度記しておきます。

つまり、一つの漢字を子が覚えようしているときに、親がその漢字を用いた「少し長めの例文」を複数提示してやることで、子がその漢字の意味を「ぼんやり」と見出していく。

子とそんなコミュニケーションを楽しんでみてはいかがだろうか。


最近はコミュニケーション力の低い人が増えていますが、こういったことがその能力を高める1つの方策にも思います。

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