タイガース非公式サイト2代目

掛布２軍監督退任を巡って

　掛布２軍監督の退任に伴い、さまざまな過去記事やブログを見ていると、報道の言わんとするところがおぼろげに見えるように思います。

２０１６年３月の２軍監督就任当時のある記事では、次のような記述があります。

　金本監督の就任が決まると、掛布氏にも一軍スタッフ入りの要請がありました。しかし「金本監督と野球観が合わない」という理由で２軍監督への就任になったようです。

　この記事に信ぴょう性があるとすると、少なくとも２軍監督就任以前から、掛布さんには金本監督の野球観に対する違和感があったということになります。

　また、最近の別の記事では、次のような伏線があったと書かれています。

　昨年の秋季キャンプで、金本監督は２軍のコーチを通じて掛布２軍監督に「ファームの練習方法を変えてほしい」と要請し、徹底的に若手を鍛える広島方式への移行を希望した。しかし、掛布２軍監督は「選手のいいところを見つけ、自主性を重んじる」という持論を曲げなかった。

　ここでも野球観や育成方法の考えの差異が見られます。なお、余談ですが、この記事の後半では、なんと読売が掛布さんの指導力に惚れ込み、「長嶋カード」を使ってジャイアンツのスタッフへ取り込むこともありうると、物騒な話が書かれています。

　他球団のファンの人のブログでも掛布２軍監督の退任理由に触れたものがあります。９月１０日につぎのような記載がありました。

　阪神の２軍選手の成長ぶりは他球団から見ても伝わるほど素晴らしいものでした。そんな掛布監督の手腕を欲しがっている、そんな球団があるのかもしれません。なぜ監督やコーチにならないのか？って疑問に思ってました。しかし、いざなった阪神の掛布２郡監督は予想を超えるすごい指導力でした。さすがはミスタータイガースと感じさせてくれる人物でした。

　と、掛布二軍監督の手腕を評価したうえで、すでに他球団と話があるのではないかという憶測をしていますね。まあこれは今のところちょっと信ぴょう性が低いかなとは思いますが。

　更に今年７月の他の記事では、

　２０１５年に金本監督の就任が決定後、２軍の監督として掛布が呼ばれました。しかし、まだ借金が多く残っているため、掛布ファンのグッズなどを返済に充てていくことを球団と約束しているそうです。１軍への監督就任の声が上がったとしても、まずは個人の問題を解決するまでは１軍監督としてフロント側としても認めづらいのかもしれませんね。

　掛布の監督としての実力ですが、怪我や調子を落として2軍で掛布に見てもらった選手は高い確率で調子を戻すそうです。選手を上から押さえつけるのではなく、うまくモチベートしてやる気にさせることができる手腕が認められています。

　もしからしたら、その手腕から借金返済前に１軍の監督に？ということもあるのでしょうか。

　というものですが、現実的に掛布さんのフトコロ事情は分かりませんし、タイガースとの契約が切れた後を見てみないと何とも言えませんね。少なくとも１軍監督の目はありませんし。

　９月１２日の日刊ゲンダイは次のように書いています。

　「金本監督は若手をいわば『子供扱い』する。一人前にするには明確な育成プランを掲げて、強制的にやらせるものはやらせる。キャンプメニューしかり、シーズン中の若手のウエートトレしかりです。一方、掛布二軍監督は若手でも『大人扱い』する。指示待ち人間になるのではなく、自分自身が考えて課題を見つけて取り組み、成長してほしい、その手助けをしますよというスタンス。試合後も日が落ちるまで打撃指導するなど熱心なのですが、だからといって二軍では一日のメニューをビッシリ決めてやらせることはしなかった。要は手法が違う。結果的に、金本監督が交代を望んだといわれています」

　これは完全に指導方法、野球観の違いの指摘ですね。

至宝はまた野に下るのか

　どの記事やブログも掛布さんの指導者としての手腕を高く評価しています。結果を見ても掛布方式が間違いとは言えないでしょう。しかし、金本監督の説くスパルタ広島方式も間違いとは言えません。現実に広島はそうやって選手を育て強いチームを作ってきています。本来はスパルタの金本が２軍、自主性の掛布が１軍監督という配置のほうがよかったのかもしれません。

　この４年間、一軍に送り込まれてそれなりの成績を残せたタイガースの若手選手たちは掛布方式で育っています。今後方針が変わったときにどういう反応を示すか、順応していけるか、少し心配になります。今回の選択が、チームにとって良い結果を生むか、悪い結果となるかは、今の段階ではまったく予測不能ですね。秋季キャンプで方向性は見えてくるでしょうけど。

　一方、非公式サイトは掛布さんがフロント入りするとは思えない。退任については発表の２日前に掛布さんに伝えたということですから、フロントの形式的な幹部就任提案は外交辞令のように感じます。今回の退任劇は、タイガースがまたしても掛布雅之という至宝を手放してしまう結果になるようで、気持ちが重いです。