そこそこに年齢になっていれば、
誰にだってトラウマはあるものです。
過去の、
忘れられない苦い出来事。
たまに、軽いフラッシュバックを起こしてしまうこともあるでしょう。
私にも、ある。
そういう苦い思い出が。
昨日、電車に乗っていて、
軽くフラッシュバックした。
ただ電車に乗っていただけなのに、
急に過去の記憶が目の前に広がった。
思い出されるは、中学の頃の記憶。
私はバレー部で、
その日、審判をしていました。
主審ではなくて、線審。
ラインズマン。
コートの端の方に立って、
ボールがコートの枠内に落ちたか、枠外に落ちたか判定する仕事。
ボールが入ったら、こう。
床に向けて旗を下ろす。
攻撃した側の得点です。
ボールが枠外に落ちたら、こう。
旗を上げる。アウト。
攻撃された側の得点。
さらに、
誰かの体に触れた後、
コートの外に出たら、こう。
この場合は、攻撃した側の得点です。
基本はこの3つの動作だけ出来ればいい、
簡単なお仕事です。
全然複雑じゃない。
その日の審判は、
自分たちのチームの模擬戦などではなく、
何故か中学の体育館で試合をすることになった、
ママさんバレーのためにラインズマンをしていました。
ラインズマンとして借り出された形。
正直、全くやる気がなかった。
初対面のママさんたちのために、
居残って旗を振る仕事。
全然面白くない。
バレーやりたい。
それが出来ないなら、帰りたい。
そんなことを考えて、審判をやっていました。
まぁ、線審なんて、
そんな気を吐かずとも、こなせるんですよ。
難しくないんだから。
ボールが線を越えたかどうか見ればいいだけなんだから。
その油断が、良くなかった。
1本。
その1本を、全然見てなかった。
気が付くと笛がなっていて、
主審がジッとこちらを見ている。
主審が、私の判断を待っている。
主審の位置から見えない場所にボールが転がっている。
見てない。
ぼーっとしていて、見てなかった。
見てないけど、判定しないといけない。
ラインズマンが旗を振らなければ、
試合は進まないのだ。
テンパった私は、
これを出した。
テンパり過ぎて、これを出した。
主審は、首をひねりながら、
攻撃側に得点を与えた。
冷静に考えれば、あり得ない状況だった。
ボールには、誰も触れていないことが明白だった。
ブロックも間に合わない状態で、コートの隅にボールは落ちた。
主審は、そのボールが落ちた場所がコート内か、コート外かを知りたかった。
でも私は、
『誰かが触った』というサインを振った。
誰もいないのに。
触っているわけないのに、
触ったって判定した。
誤審。
火を見るよりも明らかな、誤審。
その場の全員が気付いた、誤審。
私は、穴があったら入りたくなってた。
はっきりと覚えている。
テンパった私があのサインを出した理由は、
一番動きが複雑だったから。
テンパった時、何故か最も複雑な動きをするべきだ、と思った。
ボールは見てない。
見てなかったことを素直に申告することも出来ない。
そんな状況で、
私は、ラインズマンの行動のうち、最も複雑な動きをした。
簡単に言うと、カッコつけたのだ。
最も複雑な動きが出来る俺。
それをアピールした。
ボールは何も見てない。
判断出来ない。
どちらの得点かは分からない。
でも、僕は、複雑な動きが出来るんだよ。
馬鹿。
本当に馬鹿。
本当に、馬鹿だ。
私は、この時の事を未だに思い出す。
20年経っても、このアホな誤審を思い出す。
何であそこでカッコつけようと思ったんだ!と心が苦しくなる。
ただ電車に乗っているだけで、思い出してしまう。
これが私のトラウマだ。
逆に、これよりツラかった思い出が、あんまりない。
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