白い月の白い光 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 夜、私は砂漠に敷いたビニールシートの上に仰向けに寝転がり、恋人と手を繋いで星空を眺めていた。巨大な白い月がゆっくりと地平線から出てこようとしていて空がそちら側から明るくなっていた。

 「月が出てきて星が見えなくなってきたね。そろそろ街に帰ろうか?」と私は提案した。すぐ近くの道路に自動車が停めてあるのだった。

 「そうね」と恋人は答えた。

 それで、私達は立ち上がってビニールシートを畳んだ。その間も巨大な月はどんどんと地平線から出てきていた。どうやら今夜は珍しく満月のようだった。完全な真円の月はいつもよりも一段と巨大に見えた。辺りはたちまち昼間のように明るくなったが、白い月が放つ白い光には白以外の色彩が一切含まれていないかのように見えた。太陽よりもずっと静かな光で、私はそれを浴びながら頭の中まで真っ白になっていきそうだと思った。

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