直線頭 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 仮面屋で線頭を購入した。帰宅してから被ってみると無性に直線を書きたくなってきた。

 それで、私は勉強机に向かい、鉛筆で紙に線を書いてみた。すると、予想していたよりも真っ直ぐな線を書けたので私は得意な気持ちになった。おそらく世界中のどこを探してもこれ程までに真っ直ぐな線を書く能力を持っている人間はいないだろうという考えが浮かんできた。
 
 それで、私は高揚感を覚えながら何本も線を書いた。どれも驚くくらい真っ直ぐな線になった。線を書く度に私の自信は着実に強固なものになっていった。自分が書いた直線は美術館に何千年も大切に展示され、数多の見物客を引き寄せるだけの魅力を持っているはずだと思われた。

 とても愉快な気分だった。私は今まで生きてきて自分という人間の価値をこれ程までに高く感じた経験がなかった。直線を書きながら笑いが止まらなくなっていた。感極まって涙まで出てきた。しかし、視界がぼやけても私は直線を書き続けた。真っ直ぐな線になっているという確信を持っていた。


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